「ちるらん 新撰組鎮魂歌」16~17 山南敬助、同士・土方歳三によって粛清される

幕末を彩る「新撰組」を、副長・土方歳三をメインキャストに、幕末の京都から戊辰戦争・函館戦争へと続く激動の時代を「ヤンキー漫画」テイストで描く「橋本エイジ・梅村真也「ちるらん 新撰組鎮魂歌」」のシリーズの第16弾から第17 弾。

前巻きまで、都の焼き討ちを発端とした江戸・上方での同時多発革命を企画する攘夷志士の大物たちの多くを池田屋で葬り去り、さらに、長州の過激的な倒幕派の中心人物であった久坂玄瑞たちが企てた御所の襲撃と帝の長州への拉致の企みを打ち砕き、久坂玄瑞を斃して、長州勢を京都市中から追い払った新選組だったのですが、今回は、多摩の試衛館以来の同士である山南敬助の裏切りに直面します。

第16巻 山南敬助へ大久保一蔵の裏切りの誘いが伸びる

第16巻の構成は

第六十七話 葛藤
第六十八話 羅節の夜
第六十九話 我流の強さ
第七十話  結果と原因

となっていて、冒頭では、京都に外れの岩倉村に逼塞している公家・岩倉具視のところを西郷吉之助と大久保一蔵が訪ねているところから始まります。

岩倉具視は下級とはいえ「公家」なのですが、今シリーズでは、ぎんぎんに体をマッチョに鍛え上げた怪人物として描かれています。

時期的には禁門の変の失敗で、長州でも佐幕を支持する「俗論派」が主流となり、高杉晋作たち倒幕を主張する勢力が弾圧を受けていた中、高杉たちが遊撃隊・力士隊の同士を集めて挙兵し、一気に長州の実権を奪い返したあたりです。

禁門の変では、会津や新選組と呼応して、長州を都から逐った西郷たちだったのですが、この時期には岩倉と頻繁に会見し、新選組の勢力を削ぐことを計画しているようです。

大久保が目をつけたのは、新選組きっての知恵者の副長・山南敬助です。大久保は時勢を見るに聡い山南を、幕府は早晩潰れると揺さぶって、薩摩側に引き込もうという作戦ですね。

山南自体は、幕府の行く末を予測しながらも、今まで一緒に戦ってきた新選組の仲間たちを裏切れずにいたのですが、ここで大久保たちが放つ次の一手が、幕末四大人斬りの一人・河上彦斎で、彼を使って新選組の隊士を襲わせ、新選組総出で犯人の逮捕に向かわせ、土方の周辺にいる隊士を手薄にするという作戦です。

彦斎は、幕末ものの漫画では人斬りを好む不気味なサイコパスとして描かれることが多いのですが、今シリーズでは彦斎という殺人サイコパスを別人格として抱え込んだ多重人格の子供、として描かれています。「子供」から一変して新選組を襲ってくる彦斎と斎藤一との一騎打ちのバトルが展開されていますので、詳細は原書のほうでお楽しみを。

新選組の隊士のほとんど彦斎の捕縛に向かったところで、山南は土方を西本願寺の境内へと連れ出します。

そこで待っていたのは、大久保が配備した薩摩の示現流の遣い手の侍たちと山南が呼び集めた「三牙」という刺客集団です。統制の取れた剣客と刺客集団の前に、たった一人の土方は劣勢に立たされ・・という展開です。

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第17巻 山南敬助、同士・土方歳三によって粛清される

第17巻の構成は

第七十一話 裏切りの代償
第七十二話 矛盾と苦悩
第七十三話 最期の約束
第七十四話 もう一人の英雄

となっていて、前巻の引き続いての西本願寺での、薩摩藩士と「三牙」との死闘が続いているのですが、多勢の前にあわやと思われた土方のもとへ、原田左之助と永倉新八が救援にかけつけます。

彦斎の新選組襲撃が山南の計略と思った近藤勇が新選組隊士へ、大捜索をかけたおかげで二人が間に合ったというところです。この二人の前では、「三牙」も薩摩藩士も的ではないですね。

物語のほうは、山南敬助と土方歳三の一騎打ちへと展開します。このバトルの途中で、仙台藩の上級武士の庶子として生まれ、優れた頭脳と剣技をもちながら、その出生のために仕官もできず、「存在しないモノ」として長年扱われてきた山南敬助が、脱藩後、試衛館に受け入れられ、居場所を得ていく様子が描かれています。

そして、二人の一騎打ちの結果は・・というところは原書のほうで。

今巻の後半部分では、幕府による第二次長州征伐が動き始め、幕府軍15万による長州藩包囲が始まる中、長州藩の実権を握った高杉晋作が、徹底抗戦に向けて藩論をまとめていく姿が描かれます。この時に、彼のそばで迎撃作戦を立てるのが、後の戊辰戦争で土方歳三と対峙していく村医者出身の「大村益次郎」です。

久坂玄瑞、吉田稔麿といった俊才を失いながらも、新たな才能が出現してくるのが、この時期の「長州」の粘り強さを物語っています。

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レビュアーの一言>山南敬助粛清の真相は?

山南敬助は、通説では「脱走」の罪で粛清されたことになっているのですが、今巻では、土方歳三を斃そうとして逆に討たれたことになっています。その理由も、私怨によるのではなく、幕府の行く末が危ういため、今のうちに新選組を「尊攘派」に鞍替えして、新選組が潰されていくのを防ごうとしたから、というものとなってます。

確かに、この後、新選組は会津藩と同等に攘夷派、尊王派の仇敵として扱われていき、明治新政府の目の敵とされていきます。ただ管理人としては、この段階で、尊攘派となったとしても、諸藩の武士や幕臣ではなく、浪士や農民・町人が主体として組織された新選組は、維新時の相楽総三の「赤報隊」のような草莽派と同じ運命を辿ってしまったような気がするのですが読者の皆さんはどう思われますか?

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