内藤了「隠温羅 よろず建物因縁帳」=仙龍を縛る金屋子神の古来からの呪縛を、春菜が解き放つ

広告代理店に勤務するバリキャリ・ギャルながら、怪異を呼び寄せてしまう「審神者」の能力もあわせもつ高沢春菜が、仙龍の号を持つ曳き屋師にして、古来から伝わる隠温羅流の導師である鐘鋳建設の経営者の守屋大地、守屋の会社の従業員で軽薄そのものの風貌ながら文化人類学の専門家・祟道浩一、廃寺三途寺の生臭住職・加藤雷助と、建物や山河に依った怪異を封じ浄めていく「よろず建物因縁帳」シリーズの最終巻が本書『内藤了「隠温羅 よろず建物因縁帳」(講談社タイガ文庫)』です。

前巻で、明治期に製糸業を営んでいた「坂崎家」の邸宅の中に祀られている「屋根神」に隠温羅流のルーツと当主が42歳で亡くなってしまう秘密が隠されていることに気付いた審神者である高沢春菜が、現当主の仙龍・守屋大地を隠温羅流の因縁から解き放つため、古代から伝承されてきた「金屋子神」の呪縛に挑みます。

あらすじと注目ポイント

構成は

プロローグ
其の一 坂崎蔵之介住宅及び撰繭場兼総顔の学術調査
其の二 隠温羅流の仕来り
其の三 蟲峯神の足
其の四 現実の敵
其の五 赤い部屋
其の六 孤峯神の箱
其の七 もう一人の仲間
其の八 巨大建物を曳く
エピローグ

となっていて、冒頭で鐘鋳建設の専務で、隠温羅流の長老でもある「棟梁」が急死するところから始まります。今回の死去は、自宅で迎えたもので、因縁建物が悪さしたものではないのですが、プロローグのところで市の直前、先祖らしき霊とあれこれ会話しているのを棟梁の奥さんが目撃しているのが気になるポイントです。このシーンの意味は、最終番の「蠱峯神」である「金屋子神」との対決のところで意味をもってきます。

この棟梁の死を悼みながら、春菜や民俗学の小林教授は、旧坂崎製糸場の建物の中に箱がいくつか安置されていて、柱の梁の上に置いてある小さな箱の中からは、人の足の骨が見つかります。これは、坂崎製糸場の元の主人が「福」を分けるものとしてどこかから手に入れ、安置したものらしいと推測されるのですが、さらに調査を進めると、お屋敷が建設されて5,6年後くらいに、出雲の地から「神様」を迎えると言って、白い布をかけた大きな箱と小さな箱が、神主のような姿の人物が先導して、屋敷内に迎え入れらていたことが判明します。

その箱の内容物がおそらくは、隠温羅流の始祖の「飛龍」の遺体と、金屋子神の依代ではないか、と推理した春菜と仙龍たちは、坂崎製糸場内の屋根裏にその箱がまだ保管されていることをつきとめます。
この飛龍の遺体とか金屋子神の依代を焼滅させることによって、隠温羅流の当主にかけられた呪縛を解き放つことができることを突き止めた春菜と仙龍は、飛龍の遺体に取り付いている「金屋子神」の化身と対決することになるのですが・・という展開です。

最後のところでは、隠温羅流の始祖で、金屋子神の村下を務めていた「飛龍」に固執する金屋子神と、隠温羅流の当代・仙龍の恋人・高沢春菜との「女同士」の対決で決着がつけられていくのですが、詳しくは原書のほうで

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レビュアーの一言

この巻の電子版には、特典として、次のシリーズである「警視庁異能処理班ミカヅチ」シリーズの第1弾「桜底」の冒頭部分が刊行前予告として収録されています。同じ筆者の「東京駅おもてうら交番 堀北恵平」シリーズでは、次巻の冒頭部分が予告編として収録されていたのですが、今回はシリーズをまたいだ予告編となっています。
次シリーズの誘い水なのでしょうが、なんか得した気分になるのは間違いない仕掛けですね。

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