内藤了「桜底 警視庁異能処理班ミカヅチ」=都内各地に封じられた怪異を人知れず「処理」せよ

幼い頃から「怪異」が見えるため、周囲の人から気味悪がられ、定職にもつけず、定住もできないため、フリーの「祓い師」をしていた青年・安田怜が、ヤクザの若親分の「祓い」をきっかけに警視庁の異能処理班の職員として雇われ、世の中にはみ出してくる怪異の「処理」を行う、ホラー系ミステリー・シリーズ「警視庁異能処理班ミカヅチ」の第一弾が『内藤了「桜底 警視庁異能処理班ミカヅチ」(講談社タイガ文庫)』です。

これに先んじる「よろず建物因縁帳」の最終巻「隠温羅」の巻末にエピソード1のさわりのところが掲載されていたのですが、それに続く本編の開始です。

あらすじと注目ポイント

構成は

エピソード1 手足を奪う霊

プロローグ
其の一 肢解刑場跡地の怪
其の二 桜田門に拾われる
其の三 背中の幽霊
其の四 肢解刑場の惨劇
其の五 警視庁異能処理班ミカヅチ

エピソード2 札の辻キリシタン無念の火

プロローグ
其の一 大晦日の怪
其の二 成就の夜
エピローグ

となっていて、まず冒頭のプロローグのところで、本シリーズの主人公である安田怜が霞が関の官庁街の近辺にある平将門の首塚の近くで、男二人が歩いているのを見かけるのですが、そのうちの背の高いほうに「死霊」がついているのをみかけます。怜は「そっちに行くのは凶ですよ」という忠告はしておくのですが・・という出だしです。これが後に、怜が「ミカヅチ」班に誘いをかけられるきっかけとなるので覚えておきましょう。

エピソード1 手足を奪う霊

物語のほうはまずアルバイト先のコンビニで、いつもオムライスを買っていた常連の女性客が事故死後に来店したり、店の奥のゴミ捨て場にホームレスの老人の「こだわり」が残っていたり、といったプチ怪異を経て、彼にスマホに「体に鱗ができた」というお祓いの依頼が入ります。

依頼主は大きな暴力組織の若社長で、彼は大和田にあった刑場あとから山のほうへ踏み入ったところに残されている「禁足地」へ踏み入り、その土地についている「姦姦蛇螺」という怪異に魅入られてしまい、その生贄の証として腕に「爬虫類の鱗」が出現したというわけです。

この「姦姦蛇螺」の呪いを解くため、フリーの「祓い師」をしている怜のところへ、その若社長の属する組織から依頼がきて、呪いを解くため、若社長が無防備に入り込んで呪いをうけた「禁足地」へ再びやってきます。この「姦姦蛇螺」の呪いを解くためには、禁足地で「鱗」を切り落とすしかないからなのですが・・という展開です。

再び入り込んだ「禁足地」で起きたことは、かなりグロいシーンが続くので、この類が苦手な読者は心して読んだほうがいいでしょうね。

この「祓い師」のアルバイトと、首塚近くでの二人連れへのアドバイスがもとで、怜は土門という男から、警視庁の準公務員となる「異能処理班ミカヅチ」の採用試験を受けないかと誘われます。安定していそうな職らしいことに惹かれて、怜は試験を受けるため警視庁に向かうのですが・・といった筋立てです。この後、試験会場へ行くための通用口の場所を残留思念でつきとめたり、清掃員も兼務している怪しげな三人の老婆に案内されたり、幽霊となっている異能処理班の責任者・折原警視正の面接を受けたり、といった怪しげな面接試験のほうは原書のほうで。

そして、異能処理班に採用になった「怜」に、禁足地で「姦姦蛇螺」に取り殺された若社長が憑いてやってきたことから、禁足地の「処理」に班のメンバー総出で乗り出します。昔の刑場で多くの人々が処刑された「紀禁足地」での異能処理班の作業はなんと「怪異」を祓って浄化することではなく・・といった展開です。

エピソード2 札の辻キリシタン無念の火

続くエピソード2は、移転前の辻の札にあった警視庁の三田警察署で毎年連続しておきている怪異の処理です。
その警察署の留置場では、毎年、10月頃に留置所に入れられている収容者が、火元もないのに黒焦げになって焼け死ぬという事件が起きています。昨年までは1年に一人づつの焼死だったのですが、今年はすでに二人死亡者がでていて、今年、三田署の建っている土地の「因縁」が解けると噂されているのですが、その二人目の焼死事件の時、現場に居合わせた刑事が「ろくばい、ろくばい」という不気味な声を聞いています。され、その意味は・・というところですね。

この地では、江戸時代初期、高札場のある小高い土地で、元和元年にここで50名の隠れキリシタンが火炙りにされ、その2月五、その殉教者の妻子24名と匿った者13名が処刑されているのですが、これと関係しているのでしょうか、というところですね。

処刑の行われた元和9年から397年経過し、今までこの呪いによって死んだと思われる者の数は299人。50人の6倍の300人まではあと一人なのですが・・といった設定です。

この三百人目の犠牲者の発生を防ぐため、異能処理班のメンバーは三婆の力を借りて、藁でつくった形代を用意して・・という展開です。

この怪異が火炙りにされた隠れキリシタンの恨みではなかったことを見抜いた「怜」の眼力はこれからのシリーズ展開の注目点ですね。

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レビュアーの一言

前々シリーズの「猟奇犯罪捜査班 藤堂比奈子」や「よろず建物因縁帳」の主人公たちは、本人が望まないままに猟奇事件や怪異に関わっていく「巻き込まれ型」だったのですが、今シリーズの主人公は小さな頃から「怪異」が見える特異体質で、そのせいで定職にもつけないまま「霊感アルバイト」をやっていることころを警視庁の異能処理班にスカウトされ、やっと居場所をみつけていくという流れになっています。

都内各地の警察署の地下に封じられている「怪異」に怜がどう関わっていくのか、そして、警視庁の地下に封じられているものは何なのか、これからの展開が楽しみです。

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