『書き出す・見直す「アウトプット思考」を通じてGTDを実践するiPad手帳術』でMy Wayな情報管理テクを見つけよう

「情報管理LOG」の主宰者で、手帳や本、ライフハックなど「情報」の整理・活用、そしてアウトプットの方法について精力的に情報発信されている「yoshinon」さんによる情報整理とiPadによるデジタル手帳の構築法についてのアドバイスの数々が収録されているのが本書『yoshinon@情報管理LOG「書き出す・見直す「アウトプット思考」を通じてGTDを実践するiPad手帳術」(KIMPUSHA)』です。

構成と注目ポイント

構成は

Ⅰ はじめに
Ⅱ 私にとっての情報整理について
 1 GTDとの出会い
 2 アウトプット思考法
Ⅲ 情報のフローとアーカイブ
 1 日常における情報の種類
 2 情報のインプットのフローについて
 3 情報のアウトプットのフローについて
 4 情報のアーカイブについて
Ⅳ iPadでデジタル手帳を実現する
 1 デジタル手帳に至るまでの変遷
 2 デジタル手帳のメリット
 3 デジタル手帳の実践
 4 デジタル手帳とアーカイブ化
Ⅴ おわりに

となっていて、Ⅰ~Ⅲまでが情報の整理・活用とアウトプットのノウハウ、Ⅳがデジタル手帳の構築法という構成になっています。

最初のⅠのところでは、情報管理やタスク管理に興味のある人なら誰もが通る道である「GTD」についての筆者の体験談が書かれているのですが、ここでおさえておきたいのはそれを踏まえてとの「アウトプット思考」。

筆者によるとアウトプット思考とは「自分の脳内にある事を書き出すこと」と「可視化してフィードバックすること」ということなので、GTDの肝の部分と考えておけばいいのですが、その具体的な手法は

①最初に「考え」や「気になること」、「やるべきこと」などを書き出す
②ツールは問わないが、先人達が良いといっている方法をなるべく採用する
③必ず見直す
④熟成期間をつくる
⑤書き足し、書き直し、削除は自由

となっていて、非常に柔軟な運営手法になっているように感じます。

これは、アウトプット思考法の実践方法でまず、頭の中に思いつくことを書き出すことが進められているのですが(これはGTDの王道ですね)、それを格納するツールは「自分が試してみて、しっくり:くるツールであるならば、そこに入れてしまうと良い」とされていて、ツールの指定がないのは嬉しいところですね。

とかく、情報管理のアドバイス本は、こうしたツールについても「ご指定」のものが多くて、当方のような不器用者は「ツール」の習熟に疲れ果てて、そこから先に進まないことが回避できるのはありがたいですね。

さらにこれは、筆者が情報をアーカイブする格納先も同じで、筆者の運用は情報の種類ごとに

Web上の情報 → Pocket
本や資料など → Scrapbox、Evernote
タスクややることリスト → Todoist → Googleカレンダー
メモや手帳 → Evernote、Goodnote5
アイデアなど → 紙Copi、Scrapbox
文章など → Googleドキュメント、紙Cop

といった感じで使い分けています。

よく情報管理のアドバイス本では、ポケットは一つにしろ、というアドバイスがされていて、使うツールのほうも一つに絞っていくことが推奨されていることが多いのですが、実際に使ってみると、ツールごとに得意不得意があるので、こういう使い分けの「お墨付き」は百万の味方を得た感じです。
ついでいうと、Scrapboxは、いまいち使いきれていなかったのですが、本書の読書メモやアイデアの保管庫としての使い方は非常に参考になりますね。

さらに、本の後半部分のiPadを使ったデジタル手帳は、五藤隆介・春菜さんご夫妻の「iPadオンリーなライフスタイル:バレットジャーナルやノートアプリの使い分け」と並んで、手帳好きやバレットジャーナルに興味のある人はアナログ派であってもおさえておいたほうがよいと思います。

レビュアーの一言

本書の最後のところで、「エバーグリーンノート」という考え方が紹介されています。もともとはAndy Matuschak氏が提唱した「ノート」づくりについての考え方で「ノートを「使い切り」のものにするのではなく、「いつまでも使えるノート」を目指そう」というものらしいのですが、筆者は「庭師のように自分のデジタルデータに手を入れ続けることによって、いつでも使い勝手の良い情報整理を行う」手法と定義して、

①1つのトピックの内容は1つの絞る
②受け取った情報の印象や考えを書く
③様々なアイデアや考えとリンクできるようにしておく
④そのリンクは有機的なつながりをうむように配慮しておく

ということが大事だとしています。スマホとクラウドの普及によって、掌の中に膨大な情報を抱えることとなった現在、「デジタル・ノート」にどう向き合うかは、紙のノートや手帳を愛好するアナログ派も、タブレットやスマホのアプリがメインのデジタル派のどちらもが常に考えておかない事柄になっていて、本書はその大事な道標になると思います。

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