夏希は北条一族への怨みを晴らす爆弾魔と対決する=「脳科学捜査官 真田夏希 ヘリテージ・グリーン」

脳科学と精神医学・心理学を専門にする医師で、とびっきりの美貌を誇りながら、激務から逃れて「ふつうの結婚」をするため病院勤務を辞め、婚活活動を続ける神奈川県警科学捜査研究所所属で、県警唯一の心理捜査官・真田夏希の活躍を描いた「脳科学捜査官」シリーズの第11弾が本書『鳴神響一「脳科学捜査官 真田夏希 ヘリテージ・グリーン」(角川文庫)』です。

前巻では、夏希が密かに憧れている織田と上杉の想い出の女性・五条香里奈の事故死に隠されていた警察の上級幹部の絡んだ犯罪を暴いたのですが、今回は、古都鎌倉で北条氏ゆかりの寺跡で連続爆破事件を起こす、北条氏に恨みを持つ「ワダヨシモリ」を自称する爆弾魔と対決します。

あらすじと注目ポイント

構成は

第一章 北条義時法華堂跡
第二章 夏希オンステージ
第三章 たび重なる不幸
第四章 ラストステージ

となっていて、まず第一の事件は正月で交通規制にかかっている鎌倉市内の「北条義時法華堂跡」で爆発事件がおきるところから始まります。ここには堂祠はすでになく、広々とした草地と石碑と燗番が立っているだけで、観光ルートからも外れているので、人的被害はなかったのですが、この爆発の犯行声明を出したのが「ワダヨシモリ」と名乗る人物。彼は「恨み重なる北条氏ゆかりの鎌倉の寺江を次々に爆破する」という犯行予告を出してきます。

和田義盛というのは鎌倉初期の武将で、鎌倉幕府の侍所別当をつとめた当時の有力武将なのですが、北条氏の謀みによって謀反を起こしたとして討伐されています。なぜ、すでに滅んだ一族を名乗って、さらにすでに直系の絶えている北条氏の復讐を図ろうとするのか・・といった筋立てです。

まあ、一番考えられるのは、人目をひきたがる「愉快犯」という推理なのですが、それにしても「鎌倉幕府」という設定はちょっとシブすぎますね。

で、犯人の意図をさぐるため、いつものように「かもめ★百合」としての夏希のSNSがはじまるのですが、呼応して投稿してきたのは、やけに上から目線で絡んでくる「サイコパス」ぽい人物です。

彼は、次の犯行を止めさせたかったら、「かもめ★百合」こと夏希が、かつて源義経の恋人「静御膳」が舞ったと伝わる、鶴岡八幡宮の「舞殿」で、人気テレビアニメのオープニングテーマソングをテレビカメラをいれて歌ってくれ、という無茶な要求をしてきます。

当然嫌がる夏希だったのですが、世間の声を考慮したのか、悪ノリしたのか、警察の上層部はこれを受け入れ、夏希はフルメイクでテレビカメラの前で熱傷させられる羽目になり・・という展開です。

ただ、「ワダヨシモリ」の要求はこれで終わらず、「東勝寺跡」や今は鎌倉文学館となっている「長楽寺跡」で爆破を繰り返し、その都度、神奈川県警の男性警察官グループによるキレキレダンスや警察幹部によるパラパラダンスと次々と要求してきます。

そして、ついには神奈川県警本部長による土下座要求までエスカレートしていきます。

ここで登場するのが、爆弾処理犬「アリシア」の調教担当で、血の気の多い小川くんで、弱腰の警察上層部の態度に怒った彼は独自に犯行が行われる北条氏ゆかりの廃寺跡を推理して乗り込んでいくのですが・・という展開なのですが、そうカッコよく「犯人確保」とはいかず、夏希までまきこんで犯人による監禁から乱闘シーンへと発展していきますので、詳細のほうは原書のほうで。

ちなみに、今巻では日本人とフランス人のハーフで、スレンダー美人の「小堀沙羅」という女性警察官が、夏希と同い年の警察官でケンカ相手の石田刑事の相棒役で登場します。てっきり、「ストレンジ・ピンク」と同じシチュエーションか、と思ったのですが、この推理は見事に外れましたのであしからず。

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レビュアーの一言

今回、犯人が使う「ハンドルネーム」は「ワダヨシモリ」で、北条義時に滅ぼされた和田義盛たち和田一族の恨みを晴らす、といった名目で犯行を重ねているのですが、北条一族に滅ぼされた鎌倉時代の有力御家人は、鎌倉時代初期だけで、梶原景時、比企能員、畠山重忠、名越光時、三浦泰村、千葉秀胤と数多く、さらにその後も安達泰盛と平頼綱と、少しでも北条氏を脅かしそうな感じになると早々と討ち滅ぼされています。

当時、北条氏は全国の半分を一族で守護となっていたそうなので、実質的な日本国を治めた一族なのですが、こんなに血で血を洗う粛清を繰り返していたら、それでかう「怨み」も相当なものであったでしょうね。

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