池田屋事件勃発。総司は喀血による無意識下で剣をふるう=ヒラマツ・ミノル「アサギロ」25

幕末の歴史を、薩摩の西郷隆盛や長州の桂小五郎といった倒幕勢力や土佐の坂本龍馬といった維新志士たちの対抗勢力として、必殺の剛剣をふるって、京都の街を血で染め「浅葱色の狼」として恐れられた新選組の近藤勇や土方歳三、沖田総司の姿を描いた「アサギロ」シリーズの第25弾。

前巻で、宮部鼎蔵たちが反乱を企む「池田屋」へ乗り込んだ近藤勇と沖田総司たちだったのですが、集まった浪士たちが多く苦戦を強いられるとともに、沖田の三本突きも宮部に見切られたところで、池田屋の顛末が描かれるのが本巻です。

あらすじと注目ポイント

構成は

第151話 喀血
第152話 鬨の声
第153話 退路
第154話 閉ざされた門
第155話 凱旋
第156話 遭難

となっていて、池田屋の2階に踏み込んだ沖田総司だったのですが、労咳による喀血で戦闘力が落ちたかと見えたのですが、ここで意識が混濁する中、突然復活し浪士たち数名を片膝ついたままで斬り飛ばします。

ただ、喀血の影響は収まらず、さらに土方たちの到着も遅れる中で、意識の混濁が進み、宮部たちに逆襲にあいます。ここで彼を助けるのが、斎藤一です。彼は新選組の主流派とは別の動きをしているようですね。

気になるのは多くの藩士が加わっている、攘夷浪士の擁護をしている長州藩邸なのですが、予想とは違ってかなり冷たい対応です。藩邸からの応援を出さないばかりは、助けを求めてくる浪士や藩士も中にいれないという対応で、この時点では佐幕派が藩邸を牛耳っているのかもしれません。

その犠牲になったのが、長州藩の吉田稔麿と土佐藩の望月亀弥太で、池田屋の地下にある武器倉庫にある隠し通路から外へ逃れた彼らは長州藩邸を目指すのですが、彼らを待っていたのは、幕府の見廻組を新たに拝命した「佐々木只三郎」たちで・・という展開です。
吉田松陰から「俊才」として高く評価されていた吉田稔麿だったのですが、藩から排除される形で最期を迎えることになります。
彼の亡くなり方は、「ちるらん」の様子とはちょっと違うようですね。

ここで注目しておくべきは、池田屋事件のあとの京都の庶民の反応なのですが、池田屋の地下に鉄砲と火薬が貯蔵されていて、帝を拉致しようと企んでいたことを知って、新選組への指示を強めていきますね。このあたりは民衆心理としてマーケティング関係者は覚えておいたおうがいいかもしれません。

最後半部分では、佐久間象山が河上彦斎によって暗殺される場面が描かれているのですが、二人の思想のぶつかり合いが見えますので、原書のほうでお確かめください。

Bitly

レビュアーの一言

池田屋事件の場面では、沖田総司は、結核の発作が出て昏倒したままで、なんの働きもできなかったというのが通説なのですが、このシリーズではかなり好意的な解釈がされています。
さらに、見廻組の佐々木只三郎の初陣は禁門の変とされているのですが、他の隊士に先駆けて彼は京都入りしているので、池田屋事件への非公式な関与もあったのかもしれません。ここらはもう少し検証をしてみます。

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