邯鄲へ向けて進軍する秦軍に、李牧の策略の網が仕込まれる=「キングダム」65

中国の春秋戦国時代の末期、戦国七雄と呼ばれる七カ国同士の攻防が続く中、中華統一を目指す秦王「嬴政」と、戦争孤児の下僕から秦の軍隊へ入り、天下一の大将軍を目指す「信」が、ともにその夢の実現を目指していく歴史大スペクタクル「キングダム」シリーズ第65弾を総解説します。

前巻で、平陽の戦いで自軍8万を囮にして、趙軍24万を誘い込み、敵将・扈輒(こちょう)を自ら討ち取った後、捕虜とした10万の趙兵を斬首し、秦の伝説の猛将・白起の長平の40万坑殺に匹敵する恐怖と怨恨を趙軍に与えた恒騎だったのですが、趙国の息の根をとめるべく攻め込んでいくのですが、ここに、楚の項燕と並んで秦を退けた数少ない名将・李牧の謀略の網の目が張り巡らされていくのが本巻です。

あらすじと注目ポイント

構成は

第702話 驚くべきもの
第703話 逆手の大戦略
第704話 北上開始
第705話 鬼気迫る戦術
第706話 扈輒軍の精神
第707話 乗らない相手
第708話 復讐心の度合い
第709話 大きな
第710話 世界の違い
第711話 微妙な数
第712話 奇跡の躍進
第713話 決戦前夜

となっていて、冒頭では、北方へ左遷されていたところを、平陽の戦いでの趙軍の大敗北の結果、復活を果たした李牧が舜水樹・馬南慈や青歌城の将軍たちと趙軍逆転の作戦を練っているところから始まります。平陽の戦で勝利した恒騎軍と王翦・楊端和軍は、趙の首都・邯鄲をうかがう気配なので、国都防衛に専念すべきところなのですが、李牧は邯鄲の守備を舜水樹たちに任せ、カイネだけを連れて、青歌よりさらに北方の、かつての中山国の近くの「宜安」へ向かいます。すでに雪に覆われている地なのですが、李牧はここをキーにして、大逆転の秘策を仕掛け始めるのですが、この巻ではその全貌はまだ明らかではないですね。

一方、秦軍のほうは、平陽の戦で破れた趙軍が退却し、立てこもる平陽・武城の二城を囲み攻城戦を開始するのですが、その先にある国都・邯鄲の様子を視察した王翦は二城と邯鄲の間に長大な「長城」が築かれているのが明らかになります。

このまま平陽・武城を攻め落としても、邯鄲まで抜くには多くの犠牲が予測されるのと、邯鄲を陥としても王族は脱出し、北方へ逃れることが想定されるため、あらかじけ北方の城を陥落させておくことを、王翦は秦国宮廷に進言をします。その攻略地点となるのが「宜安」で、読者の皆さんには、李牧の策略が動き始めたのがわかりますね。

そして、王翦の進言をうけた秦軍の総司令・昌平君がたてた作戦が、王翦・恒騎軍が王都を大迂回して北上、一方、秦の北部軍と東部軍が両国国境近くにある「太原」から趙国へ侵入、このふたつが合流して大軍を構成し、宜安を攻め落とす、というものなのですが、李牧は太原と宜安の間に位置する小さな城「狼孟」へ、青歌城の北方の蛮族あがりの猛将のカン・サロとジ・アガを援軍として送り込んでいて、万全の迎撃体制をつくり始めています。

さらに、北方へ向かう途上にある「閼与」を攻めた王翦・恒騎連合軍なのですが、この城には、平陽の戦で恒騎によって惨殺された兵士の親や子、縁戚が集められていて、秦軍に対し道連れ覚悟の守備を見せます。

これによって、閼与陥落までに三倍の日数と死傷者を出すこととなり、王翦軍はここで脱落し、恒騎軍だけで宜安に向かうこととなります。

そして、太原から趙国内へと侵入した秦の東部軍・北部軍にも李牧の罠が発動し・・という展開です。

これからしばらくは、李牧の独断場になりそうな予感がします。

キングダム 65 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
秦連合軍、決戦の地へ! 紀元前233年趙国北部攻略戦 趙総大将・扈輒を討ち、武ռ...

レビュアーの一言

秦軍を翻弄する作戦をたてる李牧なのですが、その作戦会議の席に突然、趙の当代君主・幽繆王が現れる様子が本巻の前半部分にでてきます。
趙を救うために決死の作戦をたてている李牧たちに対し、彼は

とうそぶくのですが、このあたり秦との戦が一段落したところの二人の関係を暗示しているような気がします。

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