ヨーム戦士団の後継を争うバルト海を揺るがす大戦争の結末は?=幸村誠「ヴィンランド・サガ」18〜22

11世紀のイングランドからノルウェー・デンマークにかけたヨーロッパ北部で、その猛々しさと強さで巨大な北海勢力圏を築き上げたヴァイキングたちの中で勇名を馳せた父を殺され、その復讐のため、クヌート王の軍に参加するが、仇の死をきっかけに「ヴィンランド」に楽園を築こうとするアイスランド生まれのヴァイキング「トルフィン」の軌跡を描いたシリーズ『幸村誠「ヴィンランド・サガ」(アフタヌーンコミックス)』の第18弾から第22弾。

前巻までで、ヴァイキング時代にヒルダの父親を暗殺したことで、彼女から仇として付け狙われ、殺されそうになるところを、仲間の熱弁や、ヴィンランドに誰も殺されない楽園を築くという夢によって、猶予期間を与えられたトルフィンだったのですが、ノルウェーからデンマークへ移動したところで、ヴァイキング最強の軍団「ヨーム戦士団」の後継争いに巻き込まれていきます。

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第18巻 トルフィンはヨーム戦士団の後継争いに巻き込まれる

第18巻の構成は

第123話 借り物の命
第124話 ノルウェー出立
第125話 バルト海戦役①
第126話 バルト海戦役②
第127話 バルト海戦役③
第128話 バルト海戦役④
第129話 バルト海戦役⑤

となっていて、ノルウェーのベルゲンでクマ撃ち女性猟師のヒルダに家族の仇と狙われ、あやうく命を落としそうになったトルフィンだったのですが、その後の改心の状況をヒルダが監視することを条件に旅を続け、次の寄港地はデンマークのイェリングです。
ここはデンマーク王の拠点でもあるので、市場が立つ賑やかなところですね。トルフィンたちは、ここで航海用の保存食を仕入れるため立ち寄ったのですが、ここで、トルケル軍の昔の知り合いに偶然出会い、トルケルのもとへ連れていかれます。

ここで、トルケルヨーム戦士団のフローキから、現在、3代目団長が後継者を指名しないまま急死したため、幹部の一人ヴァグンが自らの配下を連れて本隊を離れ、時期をみて団長位を奪い取ろうとする動きを始めています。

血筋的に正当な跡継ぎは、二代目の子で、フローキの孫の「バルドル」なのですが彼はまだ10歳と幼く、中継ぎ役として、2代目団長シグヴァルディの娘を母親で、ヨーム戦士団の勇士の息子・トルフィンに白羽の矢が立った、というわけですね。

ヴィンランド開拓の夢を持ち、過去の殺戮行為を後悔しているトルフィンは当然、この誘いを断るのですが、フローキは、過去にトールズを謀殺した旧悪がバレることを恐れたのと、トルフィンにヨーム戦士団をのっとられると邪推し、彼を目立たないところで暗殺するよう配下に命じます。

このため、レイフたちの本隊と別れ、トルフィンとヒルダが別経路をとることにするのですが、これが逆効果。ヨーム戦士団の刺客たちがトルフィンに集中することになるのですが、という展開です。

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第19巻 フローキ大隊の傭兵・ガルム現る

第19巻から第22巻までは、前巻で始まった「バルト海戦役」編が続いていきます。

第18巻の最後で、フローキ陣営と対立するヴァグン陣営のエスキルとヴラーゲによって、ヨーム戦士団の次期団長候補としてヴァグン陣営に迎え入れられたトルフィンだったのですが、ヴァグンから父・トールズを暗殺した黒幕がフローキであることを知らされます。再び諍いの種が撒かれた感じですね。

一方、対抗するフローキ側は、後継候補のバルドルをべったり甘やかす一方で、護衛に槍遣いのガルムを護衛につけて守りを固めていくのですが、ここで、クヌート王からトルケル軍に特別な司令がくだされ、ヨーム戦士団の後継争いは新たな局面にさしかかります。
クヌートの狙いは、ヨーム戦士団の二大勢力を噛み合わせて双方の兵力を削り合わせ、弱ったところをトルケル軍に攻めさせて、バルト海の覇権を一手に握るつもりですね。
このあたりの詳細は第20巻の冒頭で明らかになります。

巻の中盤からは、フローキの命令を受けて、ヴァグンをあっさりと葬ったガルムがトルフィンに執拗に勝負を挑んできます。ガルムの仕込み槍に苦労するトルフィンの姿は原書のほうで。かなり、ボリュームのある戦闘シーンが連続します。

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第20巻 トルケルはフローキ軍と決別。三つ巴の戦争始まる

前巻の後半部分で戦いを挑んだのですが、トルフィンに逃げられてしまったガルムは、彼をおびき寄せるため、グズリーズたちを捕らえ、ヨーム戦士団の本拠地・ヨムスボルグへ連れ帰るのですが、ガルムにヴァグンを先に屠られたことに怒ったトルケルがフローキ側の贈った軍資金を送り返して不満を伝えてきたため、ガルムともども牢内に監禁されてしまいます。

フローキはトルケルの怒りを鎮めるため、ガルムを差し出すのですが、クヌート王からの密命もあり、もともと戦争好きなこともあり、トルケルはフローキの和平提案をけって戦争に突入していきます。

トルフィンを呼び寄せ役として残されていたギョロから事情を効いたトルフィンは砦内に潜入を試みるのですが、ちょうどその時、フローキの孫でヨーム戦士団の団長候補・バルケルの助けで牢から脱獄したレイフ、グズリーズたちは古井戸の抜け穴から砦からの脱出を目指すのですが、といった展開です。

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第21巻 砦内からグズリーズを救い出せ

前巻の後半で、井戸の抜け穴からレイフとエイナルは脱出したものの、砦の兵士をごまかすため、砦内に残留したグズリーズを救出するため、トルフィンが抜け穴から潜入していきます。その後を追ってシグルトたちも潜入してきます。

シグルトたちが砦兵に見つかり、さらにはガルムが自分の槍を探して砦内に入り込んできたことから、砦内は騒乱状態になり、これに乗じて、トルフィンたちはグズリーズのもとへたどり着きます。しかし、これを察知したフローキがトルフィンの前に現れたとき、トルフィンは怒りがこみ上げ、思わず剣を振り上げてしまうのですが、バルドルのある言葉に我に返り・・という展開です。

後半部分では、自ら捕虜となったバルドルを盾に砦を脱出しようとするグズリーズとシグルトと砦兵との戦闘や、周りには関係なく戦いを挑んでくるガルムとトルフィンとのバトルシーンが展開されていきます。

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第22巻 バルト海戦役終結。次期団長となったトルフィンの意外な決断

砦内で騒乱が起き始めたのをみたトルケルたちは砦への総攻撃を仕掛けます。トルケル軍には首領を殺されたヴァグン勢も加わっていますので、ヨーム戦士団を二分する最終決戦となっています。

一方、トルフィンとガルムのバトルも最終局面を迎えています。ナイフを捨てたトルフィンに仕込槍を抜いて二刀流となったガルムが向かっていくのですが、トルフィンの繰り出した技はアシェラッドがかつてトルフィンをあしらった技で、ということでどんな技7日は原書と第7巻をご覧ください。

ちなみに、この巻ではガルムの幼年時代の回想もでてきます。

そして、トルケル+ヴァグン連合軍に攻め落とされたヨムスボルグの砦の中で、彼らと対立したフローキとバルドルの処刑と、トルフィンのヨーム戦士団の次期団長への就任式が開かれるのですが、次期団長に就任したトルフィンが下した、ヨーム戦士団のこれからを左右するある決断で・・といった展開です。

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レビュアーの一言

トルフィンの劇的な決断で一挙に大きな転換を迎えるヨーム戦士団で、このシリーズの話展開には当然フィクションが混じっているわけですが、史実でも、1013年頃にイングランドに攻め込んで多額の退去料をぶんどり、イングランドのエゼルレッド王をノルウェーに逃亡させるなど、勢威をはっていたのですが、これから20〜30年の間に急速に力を失っています。

1043年にはノルウェーのマグヌス1世によって打ち負かされ、住民の多くが殺害され、生き残ったヴァイキングたちも処刑され、要塞も徹底的に破壊され、その力を失っています。

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