犯罪卿モリアーティと名探偵ホームズの最終対決の結果はいかに?=「憂国のモリアーティ」13・14

若干21歳でイギリスの名門・ダラム大学の数学教授に抜擢されたほどの類まれな頭脳と、あらゆる分野にわたる知識をもち、世界一有名な名探偵「シャーロック・ホームズ」の最大の敵役で、ロンドンで迷宮入りする事件の過半数は彼の犯行と噂される犯罪卿「モリアーティ教授」の犯罪と彼らの真の目的を描く、クライム・ストーリー「憂国のモリアーティ」の第13弾~第14弾。

前巻で、ワトソンの婚約者・メアリーに毎年、匿名で送られてくる大きな真珠の謎を解き、さらに、メアリーを脅迫していた脅迫王・ミルヴァートンの息の根をとめたホームズだったのですが、この殺害事件をきっかけに暴走をはじめたモリアーティと最後の対決の場面が訪れます。

あらすじと注目ポイント

第13巻 「貴族浄化」計画は最終段階に突入し、ウィリアムは大量殺人に手を染める

第13巻の構成は

#48 最後の事件 第一幕
#49 最後の事件 第二幕
#50 最後の事件 第三幕
#51 最後の事件 第四幕

となっていて、前巻の最終番で、ホームズにミルヴァートンを銃撃させてしまったことを悔やんで、ウィリアムは、計画していた「貴族浄化」のターゲット全てに鉄槌を下すことを決意します。どうやら、彼はモリアーティ・チーム以外の者にターゲットを殺害させたくなかったようですね。

一方、シャーロックのほうはロンドン市警に、ミルヴァートン殺害を自首し、勾留されるのですが、ミルヴァートンの別宅は全て焼け落ち、秘書は殉死、用心棒は逃亡しているため、殺害の目撃者や物証もなく、死体も海に落ちたため見つかっていない、という「完全犯罪」が成立してしまっています。

しかし、ミルヴァートンが自分の死後、犯罪卿の正体を新聞各紙で報道する、という仕掛けは有効に作動しているため、ウィリアムが犯罪卿であることが一斉に報道されるのですが、これに対抗するように、犯罪卿による貴族殺害計画も発表され、それに従って、次々と貴族たちが殺害されていきます。

自暴自棄ともいえるウィリアムの行動のわけは・・というのが第13巻の前半部分の読みどころですね。

犯罪卿・ウィリアムの連続殺人と、過去の事件との相関を推理していたシャーロックは、彼の連続殺人の目的と、彼が自分に割り振った「役割」に気づくのですが、連続殺人の余波でロンドンの治安は悪化、人通りは少なくなり、活気はどんどんなくなっていきます。

そして、この事態を重くみたヴィクトリア女王は、最後の切り札であるシャーロック・ホームズに事件の謎解きと解決を依頼するのですが・・といった展開です。

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第14巻 ホームズはモリアーティの希望を叶え、彼を救えるか?

第14巻の構成は

#52 最後の事件 第五幕
#53 最後の事件 第六幕
#54 最後の事件 第七幕
#55 最後の事件 第八幕
#56 最後の事件 第九幕

となっていて、冒頭では、ヴィクトリア女王に宮殿に招聘され、事件解決の依頼を受けたシャーロックが、何か交換条件を出しているシーンが描かれているのですが、その内容については後半部分までお預けですね。(ワトソンも兄・マイクロフトも驚いているのですが、ウィリアムの目的に沿い、彼の命を救う”条件”であることは間違いないようです)

そして、女王の依頼を受けた数日後、シャーロックの住居に忍んできたウィリアムは、シャーロックと最終対決をする場所と、ウィリアムの本当の正体と犯行計画の全貌がわかる書類、そして彼の”願い”をシャーロックに託すのですが・・という筋立てです。

この後、ロンドンの複数の地点で火の手があがり、さらに、大英帝国のシンボルともいえる「ロンドン塔」も放火されます。

ロンドン中が焼け落ちてしまうかもしれないという危機に、今まで対立していた貴族たちと労働者たちがとった行動は・・、というのが中盤部分での読みどころです。

そして、後半部分では、建設中のタワーブリッジの上で、犯罪卿「ウィリアム・モリアーティ」と名探偵「シャーロック・ホームズ」との最終対決が、ロンドンに住む多くの貴族・一般市民の面前で繰り広げられるのですが、シリーズ開始の場面である「悪魔は貴様だ!!シャーロック!!!」を皮切りに二人の大アクションが展開されていくのですが、その結果が産むのは一体・・というところは原書のほうでどうぞ。

少し、ネタバレしておくと、モリアーティとホームズは、原典の「最後の事件」と同じようなことになるのですが、その後の残された者たちがどうするか、が後半の読みどころの一つです。

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レビュアーの一言

貴族階級と市民階級との共同作業を産むことになるのが、モリアーティ・チームによるロンドン塔への放火です。

ロンドン塔は、ロンドンのテムズ川岸のイーストエンドに建築された中世の城塞なのですが、この当時は、儀礼的な武器の保管庫、礼拝所、そして身分の高い政治犯の収監場所として使用されていたはずで、ここに放火するということは大英帝国の国民そのものに対する宣戦布告として認識されたのでしょうね。

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