行方不明になったキャスカを追って、ガッツはアルビオン修道院へ=「ベルセルク」17~18

中世ヨーロッパを思わせる、キリスト教に似た宗教が強大な力を持ち、貴族階級と王権が支配する「ミッドランド」を舞台に、身の丈を超える巨大な剣を武器に、悪魔となった上に恋人を陵辱した、かつての盟友への復讐を志して旅を続ける死人から生まれた男「ガッツ」と、自らの国をこの世界につくりあげようと、暗黒の世界に身を売り、蘇った男「グリフィス」を軸に、剣と悪魔と魔獣が戦う「ダークファンター」シリーズの名作・三浦建太郎「ベルセルク」シリーズの「断罪篇 生誕祭の章」の前半部分(単行本第17巻から単行本第18巻まで)をレビュー。

前回は、「霧の谷」に巣食う「人食いエルフ」を斃し、自らも傷つき、貴族の娘「ファルネーゼ」率いる「聖鉄鎖騎士団」の捕らわれたガッツだったのですが、今回ではミッドランド国の首都ウィンダムに異民族の侵略軍が迫り、王国滅亡の危機を迎える中、「蝕の再発」の予言を聞いて、国境近くの修道院に向かいます。

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あらすじと注目ポイント

第17巻 王国崩壊の中、行方不明となったキャスカを探してガッツは旅に出る

第17巻の構成は

見ざる者
奇跡の夜
去来
真実の朝
ー断罪篇 生誕祭の章ー
啓示①
啓示②絵
啓示③
刃の(やいば)の亀裂
かよわき炎
聖地へ①
聖地へ②

となっていて、「断罪篇 生誕祭の章」は、疫病が流行し、魔物も出没してきて荒れ果てたミッドランド国内と、グリフィスの行方を国軍あげて執拗に捜索させている、衰えたミッドランド国王、そして。国都近くに迫る異教徒の大軍の様子から始まります。

世情不安の広がる中、「白い鷹」が再臨する、という噂が広まっていて、まさに王国滅亡前夜と言う感じですね。巻の後半で、首都ウィンダムが異教徒・クシャーン人の軍隊に占拠され、国王は崩御し、シャルロット王女は行方不明という情報が異端審問官・モズグスの護衛任務についている「聖鉄鎖騎士団」のアザン副団長の口から語られています。

そんな中、ガッツはひさびさに鍛冶屋のゴドー親方のところに帰還するのですが、そこで、リッケルトとエリカから、キャスカが木の実つみに連れ出した森で行方がわからなくなっていることを聞かされます。ガッツは旅に再び出て、キャスカを探し出すことを決断します。

ちょうどその頃、キャスカは、遊女らしい姿の女性の集団とともに、首都を逃れ、ミッドランド国境近くにある「アルビオン修道院」へ向かう難民たちの群れの中にいて・・という展開です。

第18巻 「蝕」の模倣の予言を受け、ガッツはアルビオン修道院に向かう

第18巻の構成は

クシャーン斥候①
クシャーン斥候②
影の塔①
影の塔②
影の子ら
猛信者
聖地のはらわた
魔女
怪道①
怪道②
炎の柱

となっていて、冒頭では、村の中を占拠している盗賊たちを簡単に片づけてしまうクシャーン人の斥候と、さらにそれを撃退するガッツの姿から始まります。ここで、ガッツは、以後、彼と一緒に旅をすることになる、盗人の浮浪児「イシドロ」と出会います。

さらに、斥候を斃すガッツの姿をバーキラカ一族の若き長が遠くから見つめていて、この章の主なキャストが登場してきます。このバーキラカ一族の若き長は、「黒い剣士篇」ででてきた素性不明の剣士と同一人物っぽいです。

一方、「アルビオン修道院」へやってきた、聖鉄鎖騎士団のファルネーゼは、異端審問官・モズグスの仕事の手伝いを始めています。ただ、彼女がそこでみたのは邪教の「異端審問」という名を借りた、狂信者による拷問の数々ですね。途中、彼女が保護した母親もその餌食となっています。ただ、今のところ、彼女も教義に忠実な信徒で、モズグスの行動に疑問をもっていないようです。

そしてファルネーゼと前後してアルビオン修道院の近くの貧民窟へやってきたキャスカは、「エレーン」という名前をつけられて、「ルカ」という姉御肌の女性が率いる遊女集団で暮らしています。

ここで、遊女集団の一人・ニーナが参加した邪教集団の密儀や、そこに迷い込んできたエレーンことキャスカの「生贄の烙印」によって呼びこまれた魔物たちが流民たちを喰らったりとといったエピソードがあるのですが、詳細は原書で、

巻の最後の方では、再びガッツの前に姿を現した髑髏の騎士による「蝕が模されようとしている」という忠告を受け、ガッツはアルビオン修道院へつ向かいます。ここで主要キャストが修道院へと集まっていきます。

さらに、ここでは聖鉄鎖騎士団長・ファルネーゼの邪教徒を喜んで火刑に処すという噂の真相が描かれます。

レビュアーの一言

法王庁の忠実な騎士団で、女性が団長となるのがきまりとなっている「聖鉄鎖騎士団」のモデルはどこかな、と調べてみたのですが、歴史上、女性がトップとなっている騎士団はいまのところ見つかっていません。ただ、モデルとして一番かな、と思われるのが、第1次十字軍の時に設立され、構成員が修道士としての資格ももっていた、中世ヨーロッパの三大騎士団の一つ「テンプル騎士団」でしょうか。

ほかの「聖ヨハネ騎士団」や「ドイツ騎士団」が「病院経営」というホスピタル騎士団の性格を色濃く持っているのに対し、テンプル騎士団は、イスラム軍と対決した強さと勇猛さで知られる騎士団であったようです。

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