異端審問官の死は、グリフィスの甦りを生む=「ベルセルク」19~21

中世ヨーロッパを思わせる、キリスト教に似た宗教が強大な力を持ち、貴族階級と王権が支配する「ミッドランド」を舞台に、身の丈を超える巨大な剣を武器に、悪魔となった上に恋人を陵辱した、かつての盟友への復讐を志して旅を続ける死人から生まれた男「ガッツ」と、自らの国をこの世界につくりあげようと、暗黒の世界に身を売り、蘇った男「グリフィス」を軸に、剣と悪魔と魔獣が戦う「ダークファンター」シリーズの名作・三浦建太郎「ベルセルク」シリーズの「断罪篇 生誕祭の章」の後半部分(単行本第19巻から単行本第21巻まで)をレビュー。

前回では、鍛冶屋のゴドー親方のところから出奔して行方不明となったキャスカを探して、旅に出たガッツだったのですが、髑髏の騎士の予言によって、聖鉄鎖騎士団のファルネーゼやキャスカたちのいるアルビオン修道院に引き寄せられていきます。そして、そこでグリフィスを「魔界」へ引き込んだ「蝕」に再び出くわすこととなります。

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あらすじと注目ポイント

第19巻 キャスカは邪教徒の谷へ拉致され、三つ巴の戦いが始まる

第19巻の構成は

聖地の黒い騎士
迷走
野望少年
魔窟
再会
伏兵
断崖
虜囚
鉄の処女
亡者の血流①
亡者の血流②

となっていて、冒頭では聖鉄鎖騎士団に捕縛されそうになっているルカ姉たちのもとへ、ガッツがやってきて騎士団とバトルを始める所から始まります。

これが縁で、キャスカはルカたち遊女集団のところにいることがわかるのですが、ガッツが彼女たちのテントに着いた頃には、ニーナに連れられて、キャスカは邪教徒たちの棲む隠れ谷へ行った後です。

この隠れ谷で、キャスカたちは邪教徒の生贄の儀式に使われそうになるのですが、キャスカの「生贄の印」から「魔」が噴出し、邪教徒たちに憑りつきます。そこへ、邪教徒の殲滅に聖鉄鎖騎士団が乗り込み、さらにはキャスカ救出を図るガッツもやってきて、三つ巴のバトルが展開されていきます。

ここでは、脱出路の崖路でのガッツとファルネーゼの守護騎士・セルピコとの一騎打ちが見所です。

中盤からは、聖鉄鎖騎士団に捕まり、修道院内の地下牢に監禁されてしまったキャスカとニーナの救出のため、ガッツとルカ、イシドロが院内へ潜入します。

そして、ニーナの自白で、キャスカは魔女として「鉄の処女」の中に入れられ、拷問にかけられることになるのですが、蓋が閉まる寸前に、彼女の「生贄の烙印」が魔物たちを呼び寄せ、周囲にいた修道士たちを襲いはじめ・・という展開です。

第20巻 アルビオン修道院内でガッツと拷問執行人との死闘が展開される

第20巻の構成は

蜘蛛(くも)の糸
頂に舞うもの底に這うもの
ヘルス・エンジェルス
底の底の知られぬ者
脅えし者
兆し
殉教
イデアの影①
イデアの影②
イデアの影③

となっていて、キャスカの「印」から呼び出された魔物たちを祓うため、キャスカを火刑にしようとする異端審問官・モズグスにガッツが立ち向かっていき、モズグス配下の5人の拷問執行人とのバトルが始まります。

一方、ニーナをかばって、城壁外に広がる「奈落」の底に転落したルカは「ベヘリット」の見せる世界の実相を見せられます。「ベルセルク」の世界観の一端がここで明らかになりますので見逃さないようにしましょうね。

そして、ガッツと拷問執行人との死闘が継続する中、奈落の中から、たくさんの「魔」が噴出して、修道院の周辺にいる人々を呑み込んでいきます。

この巻は、全巻にわたってバトルシーンが展開されるので、アクション好きな人には嬉しい一冊かと思います。

第21巻 異端審問官が斃され、修道院が魔に包まれる中、グリフィスが蘇る

第21巻の構成は

跳魚
怪僧①
怪僧②
縋(すが)る者踠(もが)く者
闇の津波①
闇の津波②
共鳴
天堕つ
暁(あかつき)
出現
決意と旅立ち

となっていて、冒頭では、城壁近くで火刑となりそうなキャスカをイシドロが救出に飛び降ります。そして、それを阻止しようとして石の怪物に変化した異端審問官・モズグスとガッツの間で激しい争いが展開されていきます。このバトルは巻の中盤ぐらいまで続くので、迫力ある闘いをお楽しみください。

ガッツとのバトルの末、モズグスが斃れた後、城内に逃げ込もうとする民衆に向かって、奈落の中から噴き出してきた「魔」たちが襲いかかり、それらは全て、奈落の底にある巨大なベヘリットに吸収され、修道院の城壁が崩れ始め・・という展開です。

そして、クシャーンの兵士たちが進軍してくる中、瓦礫をかきわけて出現したのが「不死身のゾッド」。その後に姿を現したのが、復活した「グリフィス」で・・という展開で、新章へと続いていきます。

レビュアーの一言

異端審問官・モズグスが、キャスカを拷問のためにいれようとするのが、いわゆる「鉄の処女」で、聖母マリアをかたどったともいわれる女性の形をした、高さ2メートルぐらいの大きさの中が空洞の人形(ひとがた)の拷問具です。中には長い釘が植えられていて、分厚くつくられていて中の悲鳴が外へ漏れ出さない工夫がされているそうです。

この「鉄の処女」は世界に14~15体あるそうなのですが、ほとんどが19世紀半ばごろの再現品で、この拷問具が用いられた公的な記録や資料がないため、ヨーロッパ中世に本当に実在したかどうか疑う声もあるそうです。

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