ガッツは魔術師や元騎士団長と新パーティーを組む。グリフィスは異国軍と全面対決=「ベルセルク」25~27

中世ヨーロッパを思わせる、キリスト教に似た宗教が強大な力を持ち、貴族階級と王権が支配する「ミッドランド」を舞台に、身の丈を超える巨大な剣を武器に、悪魔となった上に恋人を陵辱した、かつての盟友への復讐を志して旅を続ける死人から生まれた男「ガッツ」と、自らの国をこの世界につくりあげようと、暗黒の世界に落ちながら「蝕」の模倣によって再生した男「グリフィス」を軸に、剣と悪魔と魔獣が戦う「ダークファンター」シリーズの名作・三浦建太郎「ベルセルク」シリーズの「千年帝国の鷹篇 聖魔戦記の章」の後半部分をレビュー(単行本第25巻から第27巻)。

前回で、パックの故郷・妖精島へ向かう港へ行くため、峠越えをしたところで、トロール(獣鬼)の大群に襲われ、それが縁で霊樹の館に住む魔女・フローラの弟子・シールケがパーティーに加わったのですが、村を襲うトロールとのバトルが開始されていきます。

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あらすじと注目ポイント

第25巻 村を襲うトロールの群れをシールケの魔術で撃退する

第25巻の構成は

魔法の剣
罪の鏡
魔術
祈りの奥義
魔群①
魔群②
激流
シャーマン
闇(クリフォト)
汚濁

となっていて、村を集団で襲ってきたトロールに対し、シールケからもらった、風の加護を受けたシルフェの剣を装備したセルピコが立ち向かっていきます。魔術の力を借りた剣の力は相当なものなのですが、それをはるかに凌駕するのは、やはり、ガッツの剛剣ですね。

中盤では、村人たちの逃げ込んだ教会のまわりに集まってきたトロールたちに対し、シールケの魔術が炸裂します。司祭の制止を振り切って敷いた「光の防護陣」は、トロールたちを消し去るのですが、これぐらいで危機は去りません。トロールの親玉・巨鬼と川の中に棲む妖魔「ケルビー」が現れて、再び押しまくられる状態に。

ガッツとセルピコが必至に防御をして時間をつくり、その間にシールケが呼び出したのは、この土地に流れる谷川の精霊です。彼女の呼び出した精霊は、ほかの「水」も集め、大きな洪水となって、トロールやオーグ、ケルビーを破壊していきます。

そして、村をトロールの攻撃から守ったガッツとシールケは、村の外の洞窟に逃げ込んだキャスカとファルネーゼを救いに洞窟の奥へと向かっていきます。

第26巻 ガッツとシールケたちはチーム一丸になり、トロールを撃退する

第26巻の構成は

報い(むくい)
報い(すくい)
黄泉のほとり
胎海の娼姫
道連(なかま)
爪痕
炎上①
炎上②
狂戦士の甲冑①
狂戦士の甲冑②

となっていて、前半では、避難した洞窟の中まで追ってきたトロールたちからキャスカを守ろうと、ファルネーゼが奮闘しているところから始まります。トロールの撃退はガッツの力を借りないと無理なのですが、命を張って

キャスカを守ったことが、アルビオン修道院の惨事以来、自信をなくしていたファルネーゼに意欲を与えたようです。

中盤部分では、ガッツとトロールの戦いの血しぶきが呼び込んだのか、ゴッドハンドの一人「クリフォト」が、トロールの臓腑にとりついて実体化し、ガッツを闇の取り込もうとしてきます。ここで彼女とガッツとの地中でのバトルが展開されるのでお楽しみに。

そして、ガッツがクリフォトとの戦に力をとられているため、トロールの撃退は、シールケの肩にかかってきています。彼女は土の精霊の力を借りて、朽ちた木と汚泥の化身「腐根の主」を呼び出し、トロールを駆逐していきます。

ガッツは新しい仲間との共同戦を展開していく喜びをかみしめています。

しかし、トロールを撃退したのも束の間、フローラの棲む「霊樹の館」が使徒の群れに襲われ、屋形が炎上してしまいます。さらに、グリフィスの新生・白い鷹団の不死者・ゾッドほかの主要な武将たちも参戦し、ガッツたちは押しまくられていきます。

この危機を脱するため、シールケはフローラの最後の指示に従い、古の呪いのかかった「狂戦士の甲冑」をガッツに授け、甲冑の力を得たガッツは、使徒たちに立ち向かっていくのですが、その姿と強さは「魔神」ともいうべきもので・・という展開です。

第27巻 シールケは狂戦士の甲冑の呪いからガッツを解き放つ。グリフィスは首都ウィンダムに乗り込む

第27巻の構成は

火龍
業火の底
炎の旅立ち
魔都
恐帝
鬼兵(ダーカ)
魔騎士
魔神
眠り姫の目覚め
ー千年帝国の鷹編 鷹都の章ー
潮騒

となっていて、狂戦士の甲冑を身に着けたガッツは、グリフィス配下の北方の炎の巨人戦士・グルンベルトと互角以上の戦いをしていくのですが、徐々に、甲冑の呪いがガッツを蝕み、彼の心は正気を失っていきます。

そこで、シールケはフローラの遺言に従い、ガッツの心の中に入り込み、彼の心を正気に戻そうとするのですが果たして成功するのか・・という展開です。

中盤からは、舞台が、クシャーン人が侵攻したミッドランドの首都・ウィンダムに移ります。ミッドランドの国王崩御後、侵攻してきたクシャーン人によって王宮や都市は占拠され、シャルロット王女も王宮の塔内に監禁されています。

王宮を占拠しているクシャーン軍の主力は象兵や鬼兵で、それを統べる「恐帝」と呼ばれるガニシュカ大帝は、ほぼ魔物の化身といっていいですね。

これに対して、グリフィス率いる新生・白い鷹軍が攻めかかっていくわけですが、グリフィスの狙いは戦の勝利というより、別のところにあるようなのですが、詳細は原書で。

レビュアーの一言

「贖罪篇」までは、グリフィスとガッツとの友情物語と、ガッツが魔に落ちてキャスカを凌辱した恨みを晴らす物語で、ある意味、筋は一本化されていたのですが、アルビオン修道院で「蝕の模倣」によってグリフィスが蘇ってからは、ミッドランド国内に侵入した異国軍を撃退する「宗教戦争」っぽい要素も加わり、なおかつグリフィス自体が、魔の支配下にある様子も拭えないという多面的な物語展開になっています。

「贖罪篇」以前と「千年帝国の鷹篇」以降とでは、物語的には連続し。キャストも共通しているのですが、全く別物の物語と考えたほうがいいかもしれません。

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