港湾都市ヴリタニスを舞台に、クシャーン軍との最終戦争始まる=「ベルセルク」28〜30

中世ヨーロッパを思わせる、キリスト教に似た宗教が強大な力を持ち、貴族階級と王権が支配する「ミッドランド」を舞台に、身の丈を超える巨大な剣を武器に、悪魔となった上に恋人を陵辱した、かつての盟友への復讐を志して旅を続ける死人から生まれた男「ガッツ」と、自らの国をこの世界につくりあげようと、暗黒の世界に落ちながら「蝕」の模倣によって再生した男「グリフィス」を軸に、剣と悪魔と魔獣が戦う「ダークファンター」シリーズの名作・三浦建太郎「ベルセルク」シリーズの「千年帝国の鷹篇 鷹都(ファルコニア)の章」の前半部分をレビュー(単行本第28巻から第30巻)。

前回までで、「蝕の模倣」によって再生したグリフィスが率いる「白い鷹団」がミッドランド王都に侵入したクシャーン帝国軍に戦を挑む一方で、キャスカの身の安全と図るため、パックの故郷の妖精島を目指して旅を始めたガッツたちだったのですが、ファルネーゼやセルピコ、イシドロといったアルビオン修道院で出会った仲間と再会し、さらにシールケという魔術師見習いの少女も加わり、パックの故郷である「妖精島」を目指して旅を続けます。

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あらすじと注目ポイント

第28巻 浜辺の村でワニの獣兵と海獣がガッツ一行を襲う

第28巻の構成は

告げられし兆し
月下の少年
使い魔
怪霧
海獣(マカラ)
海鳴り
超者(ジャンアーニン)
鎮守府
人間の都市
桟橋のトンビとフクロウ

となっていて、浜辺に着いたガッツ一行の前に、髑髏の騎士が現れます。彼はシールケの師・フローラを葬ったのが。グリフィスの意向であったことや、ガッツはこのまま狂戦士の甲冑を身に着けて使徒たちと戦い続ければ五巻を失ってしまうことを告げるとともに、妖精島の主「花吹雪く王」の霊力でキャスカの心がもとに戻る可能性を示唆します。
ちょうどその頃、キャスカは波打ち際で黒髪の小さな子供に会っていて、この子供が誰なのかが、これ以降の物語の謎の一つになりますね。

中盤では、浜辺の小屋で一夜を過ごしているガッツたちを狙って、槍をもったワニたちの群れが襲ってきます。ワニたちの群れを操っている術者たちをシールケの魔術で倒し、一難去ったか、と思えたのですが長い鼻をもった海獣が次に襲ってきます。ガッツはこれを撃退するため、狂戦士の甲冑と一体化するのですが、甲冑の呪いに心をのっとられそうになります。これを阻止したのが、光る精霊のようなものなのですが、どうやら、キャスカが浜辺で会った小さな子供に関係がありそうですね。

そして、沖合には海獣をけしかけていた張本人であろう、インドの魔術師っぽい風体の老人の乗っている巨船が停泊していて、どうやらこの人物が今回戦う敵の主力となりそうです。

後半では、港湾都市・ヴリタニスへやってきたガッツたちは、ミッドランド周辺国からやってきた傭兵団が募兵しているところに遭遇します。白い鷹団とクシャーン帝国軍との対決を前に、自軍を高く売るために兵を募集しているというわけですね。そしてこの対決の余波で、町にしたクシャーン人たちが見せしめのため処刑されています。この処刑現場に居合わせたシールケは、クシャーン人たちの魂を魔術で解放したのですが、それを見てシールケを魔女と見抜く、一人の風変わりな少女と出会います。シールケとその少女は、埠頭の桟橋であれこれと語り合うのですが、その詳細は原書のほうで。

第29巻 ファルネーゼは実家に船の調達を頼むが、藪蛇の軟禁状態になる

第29巻の構成は
刃傷
武者
ささやかな晩餐
帰巣
ヴァンディミオン
庭園にて
野の白百合

舞踏会
列柱の間

となっていて、前半部分では桟橋で語り合うシールケと少女のもとに、海賊が転身した奴隷商人たちが近寄ってきて彼女たちを拉致しようとします。そこに現れたのが、シールケの身を案じたイシドロと、一人のミッドランドの若い騎士です。二人は勇敢にも奴隷商人(海賊)たちに立ち向かっていくのですが、残念ながら、奴隷商人の頭目によって簡単に蹴散らされてしまいます。
あやうく全員が拉致されそうになるところを、偶然そこに居合わせた鉄棍を持った騎士(元聖鉄鎖騎士団の副団長アザンかと思われます)に救われるのですが、その様子は原書のほうで。
このバトルの最後で、少女は、グリフィス率いる白い鷹団の巫女ソーニャであることが判明します。

中盤では、妖精島へ渡る船が見つからない中、ファルネーゼは実家のヴァンデミオン家に頼って船を調達しようと試みるのですが、父親によって屋敷内に留め置かれてしまいます。兄に頼んで、なんとか船を調達する段取りをつけたのですが、屋敷を出ることはできず、ファルネーゼはガッツ一行と離れることを強いられそうなのですが、という筋立てです。

ファルネーゼは、幼い頃、屋敷に放火した前科を隠すために、ミッドランド王国一の財力を有するヴァンデミオン家の力を使って聖鉄鎖騎士団の団長に押し込んだものの、アルビオン修道院事件で、騎士団を壊滅させるという事態を引き起こしているので、ヴァンデミオン家の当主である父親としては、ファルネーゼを軟禁状態にして、世間から葬り去るつもりのようですね。

失意に沈むファルネーゼなのですが、父親とは一線を画している母親のススメで。クシャーン帝国軍との戦の出陣式を兼ねた府主催の舞踏会に出席し、そこで北方の海洋国「イース」の王族「ロデリック」と知り合うことで、ファルネーゼだけでなく、ガッツ一行の運命も大きく影響を受けることとなります。

第30巻 市庁舎の舞踏会を襲撃するクシャーンの獣兵の大軍との戦闘開始 

第30巻の構成は

決闘(DUEL)
教圏の宗主
妖虎
乱入
錆びた鳥籠
宣戦布告
妖獣侵攻
天啓
妖獣都市①
妖獣都市②

となっていて、冒頭では、ファルネーゼに会って真意を確かめようと舞踏会場に侵入したガッツを阻止しようとするセルピコとの間で戦いが始まります。二人の剣の達人によるは黒くあるバトルをお楽しみください。

そして、二人が戦闘を続けるのを尻目に、舞踏会場の大広間には、虎に似た異界の怪物が侵入してきます。怪物は集まってきている人々を食い散らかし始め、会場は大混乱に。そこへ、セルピコとのバトルを中断したガッツたちが乗り込んできて、怪物の撃退に成功します。ここではファルネーゼも覚えたての魔術で怪物を拘束するなど戦いの支援をしています。

ガッツたちによって助かったにもかかわらず、ファルネーゼの父・ヴァンデミオン卿は、クシャーンによって送り込まれた軍用獣で、法王庁を中心とする連合軍を混乱させようとするもので、今まで見たのは幻覚だ、と起きていることを認めないのですが、それをあざ笑うかのように、クシャーン帝国のガニシュカ大帝の巨大な顔が出現し、宣戦を布告します。それを合図にしたかのように、街中にクシャーンの妖獣兵たちが現れ、街の守備兵たちに襲いかかってきて・・という展開です。

ベルセルク30

レビュアーの一言

「贖罪篇」から「「千年帝国の鷹篇」に変わってからは、キャスカの心をもとに戻すために妖精島を目指すガッツ一行の旅と、ミッドランド国内に侵攻し、国を支配下におこうとするガニシュカ大帝に率いられたクシャーン帝国との宗教戦争の様相のふた筋で展開していきます。
こちらの歴史でいうと、ビザンティン帝国の首都コンスタンティノープルを巡るキリスト教諸国とオスマン・トルコのメフメト2世軍との攻防のようなものかもしれません。

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