辺境駐在員

ビジネス

「働き方改革」の行方を暗示する、日本人の”勤勉性” — 礫川全次「日本人はいつから働きすぎになったのかー<勤勉>の誕生」(平凡社)

どうやら、「働き方改革」の目指す方向は、”生産性の向上”という極めて日本的な方向を目指し始めたようで、その意味で、多くの経営者・労働者や、コンサルタントの方々には扱いやすい話になりはじめているようだ。 本書はそんな情勢に棹さすという意図はな...
ビジネス

「1992年以降の小学校入学+バブル崩壊後+スマホほぼ全員普及+SNS隆盛」という世代の特徴は? — 藤本耕平「つくし世代」(光文社新書)

「世代論」というのはいつの時代でも根強い人気があるもので、たいがいは年齢の上の世代から、下の世代に向かってなされるもので、たいていは「今時の・・・」とかで始まり、「時代も変わった・・・」「あの頃の世代は・・」てな繰り言で終わるのが常であまり...
歴史

古代中国の、歴史上埋もれてしまった「中原と草原」のもう一つの大戦争 — 臏(ビン)〜孫子異伝(ジャンプコミックスデラックス)

<br /> 岩波文庫版の史記列伝をみると、龐涓によって、膝から下を切断する刑を受けたということや、田忌将軍に雇用され、将軍が王子・貴族達との馬車レース、さらには魏の趙への侵攻を退けたり、龐涓との因縁の戦闘のあたりは記述があるのだが、残念な...
歴史

司馬史観にちょっとブレーキをかけてみる — 一坂太郎「司馬遼太郎が描かなかった幕末 松蔭・龍馬・晋作の実像」(集英社新書)

司馬遼太郎氏の著作は、大物経済人や政治家などなど多くの大物の方々が、座右の書としているどころか、坂本龍馬や高杉晋作に関する著作、例えば「龍馬がゆく」とか「世に棲む日々」とかは、多くの若者が熱狂するものでもあるのだが、そういったことに、横から...
ヒストリエ

エウメネスの大出世が始まりそうな予感がする — 岩明均「ヒストリエ 10」

買うには買ったが、積ん読状態が続いていた「ヒストリエ」の10巻。リアル本であれば、ふと手にとって読み始めるということがあるのだが、Kindle本は、そのあたりが、こちら側のアクションにかかっているあたりが、積ん読が増える所以でもあろうか。 ...
ワークスタイル

「働き方改革」の基本施策は、働く意欲のでる職場づくりにおくべきでは — 見波利幸「心が折れる職場」(日経プレミアムシリーズ)

政府から「働き方改革」が声高に言われるようになったな、と思っていたら、いつのまにか「生産性向上」の声に模様替えが始まっていて、いやいや、働き方改革と生産性向上は被さる所はあっても、同一ではないでしょ、とつぶやいてはみるんだが、当方の声が小さ...
ビジネス

”閉塞感漂う時代”の「ホリエモン」流生き方指南 — 堀江貴文「多動力」(幻冬社)

もともとは若い人向けの人生の羅針盤的な思いで書かれたものであるとは思うのだが、 当方のような、勤め人暮らしが長くなり、組織内の月旦や、組織内の人事序列が意識の中心になっている中高年世代でも、(自己評価は他者の評価の3割増しであるそうだから)...
ビジネス

”人生”は「ゼロ」に「イチ」を足していくこと — 堀江貴文「ゼロ」(ダイヤモンド社)

落 ち込んでいるが、這い上がりたいときには、堀江貴文氏の著作は、かなり特効薬的な効果があっって、特に仕事で不遇感にかられている時なぞは、薬が効きすぎて、「別にこの会社に拘らなくてもいいんだ」というような違った効用が出ることもあるのだが、まあ...
下川裕治

東南アジアの最南端駅から「茶のシルクロード」へと続く鉄道旅 — 下川裕治「ディープ過ぎるユーラシア縦断鉄道旅行」(KADOKAWA)

旅行記には、ひとところにどっぷりと落ち着いて”沈没”をするものと、ひたすら”移動”を続けるものがあって、どちらがより旅行記らしいかといえば、そこは好みの問題もあってなんともいえないのだが、両方こなせる旅行作家が下川裕治氏であろう。 収録は ...
組織論

”営業部”という永遠の嫌われ者の本当の価値 — 北澤孝太郎「営業部はバカなのか 」(新潮新書)

会社活動の基本と言われながら、多くの人が敬遠してしまうのが「営業職」というものらしい。それは、実戦が展開される危険な最前線よりも、机上の指揮がまかり通る安全な後方を好む「人の性(さが)」かもしれないし、幕政時代の”士農工商”的な価値観の影響...