時代小説・歴史小説

今村翔吾

江戸の庶民を火事から守る「火消し組」誕生 ー 今村翔吾「火喰鳥 羽州ぼろ鳶組 1」(祥伝社文庫)

「火事と喧嘩は江戸の華」というのは、かなり使い古された言葉なのだが、江戸時代、その建築構造や住環境から火事が多かったのは間違いなくて、誰でも知っている有名なものだけでも「振袖火事」「八百屋お七の火事」といったところがあるのだが、そういう「火...
有馬美季子

居酒屋の美人女将が、自慢料理で謎を解く ー 有馬美季子「縄のれん福寿 細腕お園美味草紙」(祥伝社文庫)

江戸時代後期の文政の時代の日本橋小舟町にある「縄のれん福寿」を舞台にした、料理もの時代小説である。主人公は、料理人だった亭主・清次に疾走された後、この小舟町で小さな居酒屋を切り盛りしている「お園」という女性で、本書の最初のほうの 女将である...
西條奈加

初恋の人、親友の死、そして天保の飢饉を経て「僧」はどこを目指すのか ー 西條奈加「無暁の鈴」(光文社)

西條奈加さんの時代小説は、「善人長屋」をはじめ、人情深いながらも、明るさをもったものが多いように思っていたのだが、本作「無暁の鈴」は、僧侶を主人公としているせいか「暁」にような薄明るさはあるものの、少々暗めの話である。 それは話の舞台でもわ...
上田秀人

聡四郎の今度の任務は街道の監察。前作以上の大バトル招来か・・ ー 上田秀人「聡四郎巡検譚 1 旅発」(光文社文庫)

「勘定吟味役異聞」「御広敷用人 大奥記録」に続く、「水城聡四郎」シリーズのSeason3。いままで、幕府の小判改鋳や火事の復旧にからむ利権、あるいは将軍位をめぐる柳沢吉保の野望、大奥の支配権を巡っての天英院と月光院の権力争いと竹姫の御台所就...
西條奈加

ナンバーワン・メイドの幽霊とオタク警官、無教養イケメン警官の「アキバ」ミステリー ー 西條奈加「秋葉原先留交番 ゆうれい付き」

幽霊になってしまったメイド・カフェのナンバーワンの渡井季穂が、秋葉原駅から徒歩七分ほど、中央通りを西に折れ、蔵前橋通りに面した「先留交番」に駐在する警察官二人と彼女が死んだ真相と秋葉原に起きる数々の事件の謎を、解決していくのが本書『西條奈加...
上田秀人

天英院の意地悪が実って徳川吉宗と竹姫の「悲恋」完成 ー 上田秀人「御広敷用人 大奥記録 12 覚悟の紅」(光文社文庫)

水城聡四郎と紅夫婦の支援を受けながら、恋愛の成就に向けて頑張ってきた徳川吉宗と竹姫(2019年3月にフジテレビ系列で放映された「大奥 最終章」で浜辺美波ちゃんが熱演したキャラ)の恋愛の結末が出るのがこの最終巻。 前巻で、吉宗が、自ら大奥へ乗...
上田秀人

徳川吉宗と天英院、大奥で最終対決。勝つのはどっちだ ー 上田秀人「御広敷用人 大奥記録 11 呪詛の文」(光文社文庫)

徳川吉宗と竹姫(2019年3月にフジテレビ系列で放映された「大奥 最終章」で浜辺美波ちゃんが熱演したキャラ)の悲恋物語もいよいよ終盤に近づいた、上田ワールドの魅力全開の「御広敷用人」シリーズの第11弾。 今巻は、吉宗の長男の毒殺未遂から、竹...
上田秀人

尾張も江戸の大奥も「女性」の謀略は怖いぞ ー 上田秀人「御広敷用人 大奥記録 10 情愛の奸」(光文社文庫)

徳川吉宗と竹姫の悲恋物語と吉宗に大奥を取り仕切る御広敷用人に任命された水城聡四郎の活躍を描く、江戸中期を舞台にした時代小説の第10弾。 竹姫襲撃後、事態はどんどんと動き始めている。勢いとしては当然、吉宗と聡四郎の側の勢力が強いのだが「窮鼠猫...
上田秀人

公家との交渉事は、かなりの難物で、聡四郎苦戦 ー 上田秀人「御広敷用人 大奥記録 9 典雅の闇」(光文社文庫)

徳川吉宗と竹姫の悲恋物語と吉宗に大奥を取り仕切る御広敷用人に任命された水城聡四郎の活躍を描く、江戸中期を舞台にした時代小説の第9弾。 吉宗の命をうけて、将軍と竹姫との婚姻の根回し活動を京都で始める聡四郎なのだが、剣術を使った仕事ではないせい...
上田秀人

本多政長、江戸へ召喚。数馬の新たな任務とは ー 上田秀人「百万石の留守居役 12 分断」(講談社文庫)

外様の雄藩である加賀藩前田家の江戸留守居役・瀬能数馬をメインキャストにした、時代小説「百万石の留守居役」シリーズの第12弾。 前巻までは、参勤交代の差配をするために道中の藩との折衝に奔走したり、本家への復帰を狙う分家の家老による「前田綱紀」...