時代小説・歴史小説

時代小説・歴史小説

ヨット体験から、「海賊モノ」の歴史小説へと妄想を広げる

昨日、知り合いのIT会社のK社長さんにヨットに乗せてもらう経験をさせてもらった。 夕方、集まって、それから海に乗り出すという魂胆なのだが、外海に出るというわけではなく、湾というか内海の中を航行するというもの。 なので、波も静かで、船酔いとい...
蓑輪諒

戦国末期の「忘れられた者たち」はこんなに魅力的だったのか — 蓑輪 諒「くせものの譜」

「御宿勘兵衛」と聞いて、ああ、あの、と応じることができるのは、よほどの歴史通以外いないであろう。本書は、そんな、昔は、真田幸村と並び称された武将であリながら、今では一般人が知ることの少ない、戦国時代末期の武将を主人公に仕立てた戦国物語である...
蓑輪諒

阿波の「狸」蜂須賀家政は、なかなかの「人物」であります — 蓑輪 諒「殿さま狸」(Gakken)

物語の最初の方では、主人公の大事な相棒として登場して、それなりの役割を果たすのだが、どういうわけか物語の進行につれて、すーっと脇役にうつるキャラというのがあって、豊臣秀吉の物語の場合は、蜂須賀小六がその嚆矢であろう。 本書は、その蜂須賀小六...
蓑輪諒

丹羽長秀・長重と江口正吉、丹羽家主従の逆境を跳ね返す大奮戦記 — 蓑輪 諒「うつろ屋軍師」(祥伝社文庫)

戦国時代をテーマにした歴史時代小説といえば、その主人公は織田信長や豊臣秀吉あるいは徳川家康と言った天下を統一した綺羅星のような武将か、あるいはその周辺の石田三成や伊達政宗、ちょっと変わったところでは武田信玄、上杉謙信といったところが大抵のパ...
山本巧次

天才浮世絵師「北斎」の娘「阿栄」がよい働きをいたします — 山本巧次「大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう 北斎に聞いてみろ」(宝島社文庫)

シリーズも4作目となると、現代の東京での分析ラボの連中とか、江戸時代での、なかなか最後の関係まで行かない伝三郎を始めとする南町奉行所の面々とか、登場人物も設定も落ち着いてくる反面、マンネリ感が出てくるのだが、今回は、サブキャストに工夫して、...
山本巧次

「錠前師」と「富くじ」の因果な関係 — 山本巧次「八丁堀のおゆう 千両富くじ根津の夢」(宝島社)

江戸と現代の東京を、祖母が残した家の押入れの奥の階段を使って行き来して暮らしている、現代の東京では失業OL、江戸では女十手持ちの、関口優佳こと「おゆう」さんの推理シリーズの第三段。 今回の構成は 第一章 本石町の蔵破り 第二章 根津の千両富...
和田はつ子

「おき玖」ちゃんも、ようやく幸せになれそうですな — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 27 あんず花菓子」(時代小説文庫)

巻を重ねてきた、このシリーズなのだが、今巻でひとまず第一シリーズが完結。   収録は   第一話 高輪御膳 第二話 名残り魚 第三話 あんず花菓子 第四話 彼岸鮨   となっていて、まずは、日本橋の米問屋・加嶋屋が、俳諧仲間の会合で、塩梅屋...
和田はつ子

大店の婚礼話には事件がつきもの — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 26 恋しるこ」(時代小説文庫)

さて、今回の料理人季蔵シリーズの収録は 第一話 師走魚 第二話 兄弟海苔 第三話 新年薬膳雑煮 第四話 恋しるこ となっていて、どちらかというとそれぞれが独立した単話仕立て。 まず、第一話は、両替屋・千田屋の法要料理を塩梅屋が務めることにな...
和田はつ子

長次郎ゆかりの熟柿泥棒の陰に悪人組織が巣食う — 和田はつ子「かぼちゃ小町」(時代小説文庫)

第一シリーズの第25弾となる本巻では、前巻まで、未解決となっていた不審死の真相が明らかになる。   構成は   第一話 あま干し柿 第二話 秋すっぽん 第三話 かぼちゃ小町 第四話 もみじ大根   となっていて、まず第一話では長次郎ゆかりの...
和田はつ子

男を手玉に取る悪女のあっけない最後は、どことなく哀れ — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 瑠璃の水菓子」(時代小説文庫)

このシリーズは、毎巻、その巻を彩る、いわばゲスト的なキャラクターが登場してくる。近くでは、出張料理人を偽っていた隠れ者の旗本とか、武家上がりのおきゃんな芸娘とかが登場していたのだが、今巻は、河童屋の平助というまっすぐな胡瓜を売る野菜売りと男...