時代小説・歴史小説

伊東潤

九州の名城「熊本城」をつくった天下一の城取りの物語=伊東潤「もっこすの城」

平成28年の熊本地震で被災し、現在でも復旧作業が続いている熊本城は、慶長12年、1607年に茶臼山と呼ばれた台地に加藤清正が建造して以来、加藤家の改易後は細川家の居城となり、明治となっても、西南戦争でも150日間に及ぶ、明治政府西郷軍との籠...
時代小説・歴史小説

正統派の「徳川家康」アンソロジーを読んでみよう=「家康がゆく 歴史小説傑作選」

2023年大河ドラマの「どうする 家康」をはじめとして、最近は「ヘタレ」な家康、悩みが大きくで人間臭い「家康」が、最近の家康像の流行ではあるように思うのですが、あの戦乱の中を潜り抜け、豊臣家を滅ぼして政権を奪い取った人物なのですから、キレイ...
時代小説・歴史小説

「神君」でも「ヘタレ」でもない家康がここにいる=「どうした家康」(講談社文庫)

今川と織田の勢力争いの余波で生母と生き別れ、少年時代は人質として暮らし、今川義元の戦死に乗じて独立したものの、織田信長に首根っこを押さえられた上に、武田信玄に翻弄され、秀吉の死後、大阪冬の陣で豊臣家を滅ぼすまで、隠忍自重、権力者たちの様子を...
伊東潤

桶狭間から豊臣家滅亡までの歴史の渦に翻弄された人々の物語=伊東潤「家康謀殺」

「桶狭間の戦い」から「大阪夏の陣」までの、群雄割拠の戦国時代から天下一統へと大きく流れが変わっていき、その後の徳川幕府による長い泰平の世へ続くまでの45年間。「桶狭間の戦」「桶狭間の戦」「関白秀次切腹」「文禄・慶長の役」「関ケ原の戦い」「大...
伊東潤

中国地方の盟主・毛利輝元は家康の手練れの謀略に立ち向かう=伊東潤「天下大乱」

豊臣秀吉の没後、日本中の武士勢力が豊臣方と徳川方の二派にわかれて争い、天下分け目の決戦となったのが「関ヶ原の戦い」。東軍の総大将となった徳川家康については、その権力奪取の動きや権謀術数の数々が様々な場面で語られ、彼の「狸親父」としてのイメー...
井原忠政

茂兵衛は真田家へ嫁ぐ於稲に同行して上田入りし、真田昌幸の企みに利用される=井原忠政「百人組頭仁義 三河雑兵心得11」

三河の国の、まだ小国の領主であった松平(徳川)家康の家臣団の最下層の足軽として「侍人生」をスタートさせた農民出身の「茂兵衛」。吹けば飛ぶような足軽を皮切りに、徳川家康が大大名となっていくのにあわせて、槍から鉄砲に武器を持ち替えて出世街道を登...
門井慶喜

「銀河鉄道の夜」は、父親の息子への愛と絶大な応援でできている=門井慶喜「銀河鉄道の父」

近代の東北が産んだ日本を代表する詩人・童話作家といえば、「宮沢賢治」を思い浮かべる人が多いと思います。 岩手県花巻市の富裕な商家に生まれ、仏教信仰と農民生活に根差した創作を行ったのですが、生前はほとんど評価されることなく、また、その狂信的と...
時代小説・歴史小説

豊臣秀吉の対外侵略戦争の狙いは何?=門井慶喜「なぜ秀吉は」

中大兄皇子の白村江の戦や、第二次世界大戦前の朝鮮半島侵攻と並んで、日本と朝鮮半島の国との間に大きな亀裂をもたらしたのが、豊臣秀吉による朝鮮侵攻となる「文禄・慶長の役」です。 15万もの大量の兵員を動員して、戦果と言えるものは獲得できなかった...
時代小説・歴史小説

キリスト教を禁じた徳川家康の外交戦略の本音はどこにある?=植松三十里「家康の海」

徳川幕府の外交政策といえば、信長時代のキリスト教の布教の自由を認めた開放政策から一変して、秀吉の伴天連追放令をさらに推し進めた、スペイン、ポルトガルなどとの貿易禁止、キリスト教の禁止などの「鎖国政策」が印象的なのですが、実は徳川家康の外交政...
時代小説・歴史小説

戦国の戦い方を一変させた「鉄砲」を取り巻く戦国絵巻が面白い=門井慶喜「信長、鉄砲で君臨する」

戦国時代後期、他の戦国大名に先んじて、合戦に大量の武器を持ち込んで、それまでの戦のやり方を根本から変えて、天下布武(日本統一)へと進んでいった織田信長。彼は「鉄砲」という武器の使途を一番早く見抜いた人物であるとともに、日本で一番、「鉄砲」に...