時代小説・歴史小説

山本巧次

御落胤騒動ってのは、いつの時代も変わらぬ騒動を引き起こすな — 山本功次「大江戸科学捜査 八丁掘のおゆう 両国橋の御落胤」(宝島社)

現代と江戸時代を往復して江戸の市中の謎を解く「おゆう」こと現代名・関口優佳の活躍を描くシリーズの第二作。 構成は 第一章 牛込からの手紙 第二章 備中から来た男 第三章 四谷の地蔵菩薩 第四章 押上の茶会 となっていて、今回、「おゆう」が扱...
和田はつ子

「白犬」に導かれて、「善光寺」ならぬ「殺人」巡り — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 23 花見弁当」(時代小説文庫)

気のあった料理人仲間であった武藤が行方をくらまし、心にすきま風が吹いている季蔵であったが、一人花見に出かけた先で、本巻の新たなキャストに出会うことになる。それは、なんと「白犬」である。   構成は   第一話 花見弁当 第二話 江戸っ子肴 ...
山本巧次

東京育ちの現代娘、「江戸」で名探偵になる — 山本功次「大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう」(宝島社)

<br /><br /> タイムスリップもののミステリーは柴田よしきさんの「小袖日記」などいくつかあるのだが、大抵は主人公が何かの天災に巻き込まれて別の時代に飛ばされて、とか、その時代の人物の精神と混じり込んでしまって、といった...
和田はつ子

腕利きの出張料理人の隠された真の姿は? — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 22  ゆず女房」(時代小説文庫)

長く続くシリーズものの登場人物は、とかくマンネリ化してくるもので、読者としては定期的に新キャラの投入を望みたいところなのだが、それが定着するキャラに育つかどうかは、作者のお好み次第というところであるらしい。   収録は   第一章 冬どんぶ...
和田はつ子

南町と北町の懇親が進むも、腕利き与力が過去の事件の犠牲になる — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 21 蓮美人」(時代小説文庫)

前作で、当方的には気に入っていた逸材の「さと香」を喪ってしまって、ちょっと残念なところで、今巻でのゲスト・キャラは、名門出の南町奉行である。   第一話 風流鮨 第二話 禅寺丸柿 第三話 蓮美人 第四話 牡蠣三昧   第一話は、南町奉行が北...
和田はつ子

おきゃんで美人の、武家出身の芸娘の運命や、如何に — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 20 おやこ豆」(時代小説文庫)

この巻を彩る新しい登場人物は、「さと香」という芸娘。二十歳前後ではあるが   白粉で塗り込められているせいで、顔こそ白かったが、弾むように若々しいだけではなく、きりっとひきしまった目元、口元に、妖艶さに同居した理知の輝きが見てとれた。   ...
和田はつ子

新キャストも登場して、料理の工夫も幅が広がってきました — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 19 料理侍」(時代小説文庫)

料理人季蔵シリーズには、それぞれの巻ごとに象徴する新しい登場人物があって、ほとんどが事件の犯人であったり、事件に巻き込まれたりして消えていくのだが、中には船頭の豪介や、噺家あがりの廻船問屋の長崎屋など継続して登場して、季蔵の手助けをしてくれ...
佐々木裕一

豊臣家の残党との最後の決戦。信平は幕府と家族を守れるか? — 佐々木裕一「公家武者 松平信平 16 暁の火花」(二見時代小説文庫)

第一シリーズ最強の敵「神宮寺 翔」と雌雄を決するのが本巻。 舞台は、九州の黒田藩の支藩である筑前朝倉藩を第一の舞台にしながら、江戸での最終決戦を迎える。 収録は 第一話 渡月橋の白鷺 第二話 竹林の風 第三話 獄門島の闇 第四話 暁の火花 ...
佐々木裕一

呪術の犠牲となった美少女は救われなければならない — 佐々木裕一「公家武者 松平信平 15 魔眼の光」(二見時代小説文庫)

幕府転覆を狙う豊臣秀吉の側近の末裔「神宮寺 翔」一派と、」家綱から、彼らの掃討を命じられた「信平」公との闘いがいよいよ火蓋が切られるのが本書。前巻までは、信平の実力を評価していなかった「神宮寺 翔」が本当の敵と認識し始め、いよいよ戦闘は本格...
佐々木裕一

豊臣家の恨みを果たそうとするシリーズ最大の強敵現る — 佐々木裕一「公家武者 松平信平 14 将軍の首」(二見時代小説文庫)

つかの間の平穏というべきか、大名・旗本家のお家騒動まがいや市中の小ぶりの事件を解決し、「水戸黄門」風の世間の評価も高まってきていた信平公なのだが、この巻からはそうはいかないようだ。 収録は 第一話 将軍の首 第二話 改易の危機 第三話 強敵...