時代小説・歴史小説

和田はつ子

「炊き込みご飯」よろしく事件の種類がてんこ盛り — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 秋はまぐり」(時代小説文庫)

料理人季蔵シリーズの17弾目の「秋はまぐり」は、表題通り、季節は「秋」。前作の「夏まぐろ」を前編に、今巻を後編に、といった感じで読むとよい。収録は 第一話 長屋はぎ 第二話 さんま月 第三話 江戸粋丼 第四話 秋はまぐり 最初の「長屋はぎ」...
和田はつ子

マグロ料理の陰に殺人劇あり — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 夏まぐろ」(角川時代小説文庫)

料理人季蔵シリーズの第16弾のメイン素材は「まぐろ」である。本書によると、「まぐろ」は江戸っ子が珍重しない魚の代名詞らしく、 一年を通して獲ることのできる鮪は、下魚とされる秋刀魚や鰯にくらべても、さらに格が低かった。冬場、鮪の赤身を角に切り...
和田はつ子

季蔵が旅をすると目先が変わって新鮮ですな — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 春恋魚」(時代小説文庫)

「春恋魚」とは「はるこいうお」と読ませて秋刀魚の糠漬けのことらしく、本書で季蔵が旅する磐城平で、飢饉に備えるために、秋口に大量となる秋刀魚を長く食すための工夫の料理であるらしい。今回は「武家もの」の色合いが強く、捕物帳らしいのは良いのだが、...
佐々木裕一

美人の女盗賊は処刑後もいろいろ騒ぎをおこすのであった — 佐々木裕一「公家武者 松平信平 8 黄泉の女」(二見時代小説文庫)

公家武者シリーズの第8巻目は、前巻の女盗賊の話の後日談。 収録は   第一話 黄泉の女 第二話 雷鳴 第三話 駆け落ち 第四話 追い出された大名   となっていて、後日談は第一話、第二話。 大筋は、処刑されたはずの女盗賊「蛇の権六」が蘇った...
佐々木裕一

いずれの時代も、大災害の後は事件が多数発生 — 佐々木裕一「公家武者 松平信平 7 十万石の誘い」(二見時代小説文庫)

さて、公家武者シリーズの第7巻は、「振り袖火事」の後、まだ災害の余波が治まっていない江戸での様々な騒ぎや悪行を鷹司松平信平が平らかにしていく、といった構成。   第一話 信平、大名屋敷に乗り込む 第二話 十万石の誘い 第三話 土地争い 第四...
佐々木裕一

江戸は大火事に見舞われるが、信平が男気を示して声望を高めるのであった — 佐々木裕一「公家武者 松平信平 6 妖し火」(二見時代小説文庫)

明暦三年のいわゆる振り袖火事が舞台。折角、松姫との新婚生活に備えて建てた新居も焼失。もっとも江戸城の天守も焼け、御三家の屋敷も焼け、江戸市中が大焼けに焼けた大火であるから致し方ないか。   構成は   第一話 妖し火 第二話 狙われた四千両...
佐々木裕一

念願の千石超えまで、あと少し — 佐々木裕一「公家武者 松平信平 5 千石の夢」(二見時代文庫)

加増を重ねて、松姫と同居できる千石にはあと三百石届かない。さて、最後のハードルを、どうクリアするかな、というところが、この第5巻   構成は   第一話 桜の花びら 第二話 千石の夢 第三話 妖しき女 第四話 盗賊   となっていて、今巻で...
佐々木裕一

とんとん拍子のレベルアップ。ステージクリアも間近か? — 佐々木裕一「公家武者 松平信平 4 暴れ公卿」(二見時代文庫)

この公家武者シリーズは、一冊の中にいくつか小さな話はあるが、一つのまとまったストーリ展開というのが多いのだが、今回は久々にそれぞれが独立した物語に成っている。   収録は   第一話 子連れ善衛門 第二話 湯島天神参り 第三話 女剣士 第四...
佐々木裕一

信平の剣の技に憧れた、臣下志願が登場 — 佐々木裕一「公家武者 松平信平3 四谷の弁慶」(二見時代文庫)

由比正雪の残党の陰謀を阻止して、加増の上、四谷に屋敷を拝領し、松平信平の新しいステージ突入である。   収録は  第一話 侍の嫉妬  第二話 姉の心遣い  第三話 荒武者の涙  第四話 四谷の弁慶  第五話 葵の旦那 となっていて、話的には...
佐々木裕一

天下騒乱の騒ぎの陰で、松姫と信平の恋が育つのでありました — 佐々木裕一「公家武者 松平信平 姫のため息」(二見時代小説文庫)

関白鷹司家の四男で、将軍・徳川家光の義弟の松平信平が、紀伊大納言家の松姫と結婚するために、千石取りの旗本を目指す物語の第二弾。   収録は   第一話 浪人狩り 第二話 姫のため息 第三話 再会 第四話 陰謀   となっていて、今回の時代設...