西條奈加

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「猫」が操る江戸の名探偵は失踪事件の謎を解くー西條奈加「猫の傀儡」

「傀儡」というのを調べてみると「あやつり人形」「人の手先となって思いのままに使われる者」という意味で、褒め言葉ではないのですが、ひょっとしたら、自分は誰かに操られていたり、巧妙に誘導されているのでは、と自分自身を疑ったことは誰しもあるはず。...
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「南星屋」の新名物は諸国の菓子づくしー西條奈加「亥子ころころ」

江戸の麹町六丁目の狭い裏通りをはいったところにある小さな菓子舗「南星屋」を舞台に主人の治兵衛、娘でおかみのお永、孫娘のお君の三人をメインキャストに、南星屋の商売繁盛と菓子に由来する小さな謎解きと人情話が語られる「南星屋」シリーズの第2弾が『...
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長唄の美人師匠と薙刀の達人の奥方が、江戸の悪党をなぎ倒す ー 西條奈加「世直し小町りんりん」

舞台は江戸。日本橋を北に渡った東側にある高砂町に住む、長唄の師匠で「高砂弁天」こと「お蝶」を主人公に、彼女の義姉で、兄で南町奉行所の当番与力・榊安之の奥方・沙十(さと)、お蝶と同じ長屋に住む「雉坊」「千吉」とともに、持ち込まれている面倒な相...
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「雨月物語」誕生のアナザーストーリーを楽しもう ー 西條奈加「雨上がり月霞む夜」(中央公論新社)

江戸時代の上田秋成の幻想物語「雨月物語」を底におきながら、雨月物語の作者である「秋成」、彼の幼馴染で隠者のような暮らしを送っている「雨月」、そして、「雨月」のもとにやってきた鳥獣戯画のもととなった兎の妖怪が繰り広げる「雨月物語」っぽい話が語...
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座敷わらしのアナザーストーリーはいかが ー 西條奈加「睦月童」

表題の「○○童」という言葉を聞くと、住み着くと家の繁栄をもたらすという岩手県を中心に伝説のある「座敷童子」のことを思い浮かべるのだが、それとはちょっと趣を異にするが、同じような不思議な能力をもった「童」と外界のお話が本巻『西條奈加「睦月童(...
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初恋の人、親友の死、そして天保の飢饉を経て「僧」はどこを目指すのか ー 西條奈加「無暁の鈴」(光文社)

西條奈加さんの時代小説は、「善人長屋」をはじめ、人情深いながらも、明るさをもったものが多いように思っていたのだが、本作「無暁の鈴」は、僧侶を主人公としているせいか「暁」にような薄明るさはあるものの、少々暗めの話である。 それは話の舞台でもわ...
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ナンバーワン・メイドの幽霊とオタク警官、無教養イケメン警官の「アキバ」ミステリー ー 西條奈加「秋葉原先留交番 ゆうれい付き」

幽霊になってしまったメイド・カフェのナンバーワンの渡井季穂が、秋葉原駅から徒歩七分ほど、中央通りを西に折れ、蔵前橋通りに面した「先留交番」に駐在する警察官二人と彼女が死んだ真相と秋葉原に起きる数々の事件の謎を、解決していくのが本書『西條奈加...
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お縫の父母の若い頃の「恋物語」は波乱万丈であった – 西條奈加「大川契り 善人長屋」(新潮文庫)

一人をのぞいて住んでいる住民が、すべて巾着切りやら詐欺やらの手練れであるにもかかわらず、裏家業を隠すために表向きは「善い人」ばかりの「善人長屋」シリーズの第2弾。 もめ事を呼び込んでくるのは、長屋で唯一の善人「加助」で、彼が「善行」によって...
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「望」くんの料理の腕も、お蔦さんの推理も冴え渡っております ー 西條奈加「お蔦さんの神楽坂日記 みやこさわぎ」(東京創元社)

元芸妓で、まだまだ元気で粋な祖母・お蔦さんと、彼女と同居している、料理上手の「望」くんとが、住んでいる神楽坂を中心におきる、日常の謎の数々を解きほぐしていくという、「お蔦さんの神楽坂日記」の第三弾である。望くんの初恋の相手「楓」ちゃんも無事...
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「正義の味方」の意外な正体と「お縫」の恋の行方は? ー 西條奈加「閻魔の世直し 善人長屋」

長屋の住人のほとんどが故買屋や情報屋、美人局などなど悪事に手を染めているのだが、それを隠すために、皆親切で「善人長屋」と言われているのが、主人公の質屋で故買屋の娘・お縫の父親が差配する「千七長屋。そこに本当の善人の「加助」が引っ越してきたこ...