坂井希久子

坂井希久子

物語は進行する。けれど謎は深まる — 坂井希久子「居酒屋ぜんや ころころ手鞠ずし」(時代小説文庫)

「ほかほか蕗ご飯」「ふんわり穴子天」に続いての「居酒屋 ぜんや」シリーズの三作目。 収録は 「大嵐」 「賽の目」 「紅葉の手」 「蒸し蕎麦」 「煤払い」  の五話。 林只次郎も「ぜんや」の馴染となってきて、そろそろ女将の「お妙」との仲が心配...
坂井希久子

「ぜんや」は今日も大賑わい — 坂井希久子「居酒屋ぜんや ふんわり穴子天」(時代小説文庫)

江戸の町中の居酒屋を舞台に繰り広げる、人情時代もの「ぜん屋」シリーズの第2弾 今回の収録は 「花の宴」 「鮎売り」 「立葵」 「翡翠蛸」 「送り火」 となっていて、第1巻を読んだ方は、その最後のほうの「お妙さん」を妾にしようという企みのその...
坂井希久子

「奢侈禁止」でも美味いものは食いたいのが人情というもの — 坂井希久子「居酒屋ぜんや ほかほか蕗ご飯」(時代小説文庫)

時代小説の主人公は二色に分かれる。一つは、剣客小説や捕物帳に描かれる、風采は別にして剣術などに秀でたマッチョなタイプと、市井の人情ものに描かれる、力仕事は頼りにならないが、変わった特技や温厚な人柄の主である。 本書は後者に属していて、主人公...