和田はつ子

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「炊き込みご飯」よろしく事件の種類がてんこ盛り — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 秋はまぐり」(時代小説文庫)

料理人季蔵シリーズの17弾目の「秋はまぐり」は、表題通り、季節は「秋」。前作の「夏まぐろ」を前編に、今巻を後編に、といった感じで読むとよい。収録は 第一話 長屋はぎ 第二話 さんま月 第三話 江戸粋丼 第四話 秋はまぐり 最初の「長屋はぎ」...
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マグロ料理の陰に殺人劇あり — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 夏まぐろ」(角川時代小説文庫)

料理人季蔵シリーズの第16弾のメイン素材は「まぐろ」である。本書によると、「まぐろ」は江戸っ子が珍重しない魚の代名詞らしく、 一年を通して獲ることのできる鮪は、下魚とされる秋刀魚や鰯にくらべても、さらに格が低かった。冬場、鮪の赤身を角に切り...
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季蔵が旅をすると目先が変わって新鮮ですな — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 春恋魚」(時代小説文庫)

「春恋魚」とは「はるこいうお」と読ませて秋刀魚の糠漬けのことらしく、本書で季蔵が旅する磐城平で、飢饉に備えるために、秋口に大量となる秋刀魚を長く食すための工夫の料理であるらしい。今回は「武家もの」の色合いが強く、捕物帳らしいのは良いのだが、...
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江戸城御用達の甘い罠。一番悪どいのは「御上」かも — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 大江戸料理競べ」(時代劇文庫)

さて、調理人季蔵シリーズの第14弾は、江戸城への料理御用を独占している有名料亭「八百良」と並んで、江戸城へ料理を納入する店を決める料理勝負がメインテーマ。   収録は   第一話 新年福茶話 第二話 大江戸料理競べ 第三話 ごちそう大根 第...
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小猿を従えた美少女くノ一の登場 — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 祝い飯」(時代小説文庫)

シリーズが定着してくると、キャストも固まってきて、話の展開も安心して読めるのは一つのメリットなのだが、マンネリ感が滲み出してくるのはどうしようもなくて、その弊害から逃れるのは、いかに魅力的で気を引く、短期的なキャストを用意するか、であると思...
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お茶屋の小町娘が手折られる話は悲しいね — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 涼み菓子」(時代小説文庫)

シリーズも12弾目となると、登場人物に少々の変更というか、環境変化が欲しくなるところなのだが、本作で、季蔵の弟分・豪介の身の上に変化が起きる。 収録は 第一話 涼み菓子 第二話 婿入り白玉 第三話 夏の海老 第四話 乙女鮨 となっていて、ま...
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陰惨な事件は「獣肉」料理で口直しをしよう — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 ひとり膳」(時代小説文庫)

季蔵捕物控シリーズの第11弾は、季蔵の師匠・長次郎の残した「三段重提げ弁当」に関わる話。 収録は 第一話 梅見鰤 第二話 饅頭卵 第三話 吹立菜 第四話 ひとり膳 2月の声が聞こえるようになると、塩梅屋でも「梅」にちなんだ「梅見弁当」をつく...
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10年前の殺人が発端となる、隠された秘宝をめぐる大量殺人 — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 思い出鍋」(時代小説文庫)

第9弾で、秘宝探しにまつわっておきた事件の解決編が第10弾。9弾目の「菊花酒」の最終話「黄翡翠芋」の続きといったところ。 収録は 第1話 相愛まんじゅう 第2話 希望餅 第3話 牛蒡孝行 第4話 思い出鍋 第1話で、塩梅屋が筍の調達で世話に...
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元許嫁・瑠璃の心を騒がせる”男性”が登場するのだが・・・ — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 菊花酒」(時代小説文庫)

最初、短編で始まった物語もシリーズ化してくると、だんだんと中編・長編となることが多いのだが、この料理人・季蔵シリーズも一冊で筋立てが完了するといった態になってきた。 さて、シリーズ第9弾の収録は 第一話 下り鰹 第二話 菊花酒 第三話 御松...
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怪談落語の影には、昔の未解決事件あり — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 へっつい飯」(時代小説文庫)

シリーズ8作目の季節は夏で、6作目と同じ趣向で、落語仕立てである。ただ、6作目と少々異なるのは、収録されているそれぞれの話が完全に独立ということではなくで、太い筋を基本において、一つの話としてまとまりをもっていること。   収録は 「へっつ...