大崎梢

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街中の「書店」のふんわりミステリーをどうぞ ー 大崎梢 「配達赤ずきん」

ミステリーの舞台設定の一つとして、一般人では経験できないような場面を提供する、というやり方があるが、本書は、これとは違い、ひどくお馴染みの場所でありながら、経験できない場を提供する、という簡単なようでかなり高度な技が提供されている。 舞台は...
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「ヨコハマ」の街の洒落た謎の数々を楽しもう ー 大崎梢「横浜エトランゼ」(講談社)

都市にはそれぞれがまとっているイメージというものがあるのだが、この物語の舞台となる「横浜」というところは、「神戸」と並んで名前を聞いただけで「オシャレ」なイメージが立ち上がってくる、というなんとも羨ましい街である。 そんな「横浜」の地を舞台...
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「事件の真相」は忘れた頃に明らかになる ー 大崎梢「忘れ物が届きます」(光文社文庫)

2019年1月当時のこの本の扉絵は、あどけない表情をした姉弟が、小人の郵便配達から手紙を受け取っているもので、これはファンタジー系の話かな、と思って読み始めたのだが、その予想を裏切る、正統系のミステリーでありました。 大崎梢さんのミステリー...
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移動図書館バスは「本」と一緒に「謎」も運ぶ ー 大崎梢「本バスめぐりん」(東京創元社)

「成風堂書店」シリーズなど、書店まわりのミステリーで定評のある大崎梢さんが、今回、練り上げたのは「移動図書館バス」にまつわる話。 「移動〇〇」というと、人口が少なくて過疎化している町や、市の中心部から遠く離れていている地域などを巡るものを思...
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「日向子ちゃん、頑張れ」と言っているうちに「謎解き」のまっただ中 ー 大崎 梢「スクープのたまご」(文春文庫)

大崎梢さんのミステリーは、書店員の経験があるせいか、「成風堂書店」シリーズなが出世作ではあるのだが、本屋さん以外にも出版社営業や少女雑誌編集者であるとか、本に周辺の物語が多い。 本作「スクープの卵」は、少女編集者を主人公にした「プリティが多...
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文芸誌志望の「南吉」くん、少女雑誌の世界に飛び込む ー 大崎 梢「プリティが多すぎる」(文春文庫)

性別によって働きたい職場を選別してはいけないが、男性にとって、女子宇中学生を対象としたファッション誌が、男性にとって人気のある職場かどうかは議論のあるところだろう。本書『大崎 梢「プリティが多すぎる」(文芸文庫)』は、意に反して、そんなロー...
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本屋のホームズとワトソン、書店営業と出会う — 大崎 梢「ようこそ授賞式の夕べに」(東京創元社)

成風堂書店シリーズの第3弾。今回は、書店大賞(本屋大賞のもじり、だよね)の受賞をめぐり、怪文書が届き、それをマスコミが嗅ぎつけ、本屋大賞の実施が というストーリー立て。 本屋大賞当日の7時40分に始まり、20時30分に事件の解決をみる、とい...
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書店業界・出版業界の裏話もまた興味深い — 大崎 梢「背表紙は歌う」(創元推理文庫)

中小出版社の明林書房の営業の「ひつじ」くんこと井辻智紀くんの書店シリーズの第2弾。 収録は 「ビターな挑戦者」 「新刊ナイト」 「背表紙は歌う」 「君と僕の待機会」 「プロモーション・クイズ」 の5編。 さて、ネタバレすれすれのレビューをば...
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出版社営業という馴染み薄い職業の持つ面白さ — 大崎 梢「平台がおまちかね」(創元推理文庫)

ひと頃、書店ないしは書店員の内幕的なことが流行ったことがあったのだが、月日と流行の過ぎるのは早いもので、書店より校閲という地味なのに妙に華やかな女優さんを使ったドラマが人気を博したばかり。 「平台がおまちかね」はそのどちらにも属さない、出版...
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中学生二人、村祭りで迷宮入り事件を解決 ー 大崎 梢「ねずみ石」(光文社)

「片耳うさぎ」と同じく、数は少ないと思われる、大崎 梢のジュブナイル。 彼女のジュブナイルの良さは、少年少女向けとは銘打っているから、主人公や協力者などは中学生ないしは小学生の少年・少女であるところは押さえておいて、筋立てや謎解きはしっかり...