ミステリー

ミステリー

シリアルキラーの死刑囚の依頼は冤罪の再調査=櫛木理宇「死刑にいたる病」

大学生活に全く魅力を感じず、かといって他に打ち込むものの恋人も友人もいまいまま、Fラン大学に通っている大学生のもとへ、9件の連続殺人で死刑が確定されている死刑囚から、ある日一通の手紙が届きます。その手紙は、彼をある泥沼の中にひきこむきっかけ...
北森鴻

美貌の異端民俗学者・連杖那智の謎解き、再び=北森鴻・浅野里沙子「天鬼越」

美貌で明晰な頭脳をもちながら、民俗学会の異端児として扱われている連杖那智と、実直な研究者ではあるのだが、そのお人好し的な性格から、那智に振り回されてばかりいる連杖研究室の万年助手・内藤が、日本の歴史や習俗の中に隠された秘密を暴き出していく「...
ミステリー

ありえない依頼を引き受ける、元弁護士の美貌探偵出現=柚月裕子「合理的にありえない 上水流涼子の解明」

もとは親譲りの弁護士事務所を引き継いで大手企業の顧問弁護士を務めていたのですが、契約先企業のお家騒動に巻き込まれて、傷害の濡れ衣を着せられて弁護士資格剥奪。今は東大出身でIQ140以上の秀才をアシスタントにして探偵事務所を開業しているという...
ミステリー

連続殺人で「詰将棋」を出題する犯人をつきとめろ=井上ねこ「盤上に死を描く」

サイコキラーが自分のやった殺人であることの証拠を残していくことがままあるのですが、連続してはいるものの共通点がみつからない殺人事件の被害者がもっているのは「将棋の駒」。 てがかりもなく捜査が暗礁に乗り上げていく中で、体育会系の愛知県警捜査一...
ミステリー

「将棋」の世界のもつ苛烈さと謎解きが楽しめる将棋ミステリーをどうそ=芦沢央「神の悪手」

人間心理や感情と巧妙な仕掛けをおりまぜたストーリ展開の最後に読者の意表を突く切り札が用意されているミステリーが特徴の筆者が、はじめて取り組んだ将棋ミステリーの連作短編集が本書『芦沢央「神の悪手」 (新潮社)』です。 本の帯によると この手を...
若竹七海

葉崎市は今日も「犯罪」でいっぱい=若竹七海「パラダイス・ガーデンの喪失」

相模湾に中央に突き出た葉崎半島に位置し、葉崎マリーナという名の公共マリーナと丘陵地帯ぐらいしか特徴がなく、神奈川県の盲腸とも呼ばれる、(架空の市)葉崎市を舞台にしたミステリーのひさびさの第8弾が本書『若竹七海「パラダイス・ガーデンの喪失」(...
ミステリー

紙鑑定士は、子供が抱える「深い謎」を解く=歌田年「紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪」

持ち込まれた紙のサンプルを調べ、メーカーや銘柄を鑑定して、本のカバーや帯、表紙などにあった紙銘柄を提案したり、書籍や雑誌の使用されている紙の使用量を調べ、本当の刷り部数を割り出すという、他にはいそうにない「紙」コンサルタントを営んでいる「渡...
ミステリー

歌舞伎の未上演脚本が連続殺人を招く=芦辺拓「鶴屋南北の殺人」

歌舞伎の狂言作者と聞かれると、正直、たくさんの人物名は答えられなくて、せいぜい近松門左衛門、河竹黙阿弥、鶴屋南北といったところぐらいしか思い浮かばないのですが、そのうちの「東海道四谷怪談」を書いた四代目鶴屋南北が遺した幻の脚本をめぐって、現...
石持浅海

呑兵衛たちは「宅飲み」で日常の謎をとく=石持浅海「Rのつく月には気をつけよう」

新型コロナ・ウィルスの感染拡大に伴う外出自粛で飲食店、特に居酒屋系は大変なダメージを受けたわけですが、そのかわり客足というか需要を伸ばしたのが「宅飲み」の世界。UberEatsをはじめとした料理のデリバリーサービスや持ち帰りなども随分と当た...
石持浅海

「副業」殺し屋は、殺しのついでにターゲットの日常の謎を解く=石持浅海「殺し屋やってます。」「殺し屋続けてます。」

おそらく世界で一番有名な殺し屋といえば「ゴルゴ13」と思われるのですが、彼の依頼料の相場は「デュークPRESS」さんのサイト情報(「ゴルゴ13の報酬相場?殺し屋の年収?依頼の最高額と最低額は?」)によると2000万円、最高は1京ジンバブエ・...