ミステリー

佐藤青南

警官の起こした事件の陰の哀しみを「エンマ様」が推理する ー 佐藤青南「行動心理捜査官 楯岡絵麻 ストレンジ・シチュエーション」(宝島社文庫)

行動心理官シリーズも5巻目となり、絵麻をはじめとした登場人物の役回りや得意技も明確になってきて、こなれたストーリー展開を見せている。 今回は、第一話目の被害者の子どもたちのストーリーが最終話まで並行して進むという、凝ったつくりになっているの...
ミステリー

「エンマ様」が昔の恋人への”未練”を吹き払って、ちょっと安心 ー 佐藤青南「行動心理捜査官・楯岡絵麻 サッド・フィッシュ」(宝島社文庫)

円熟度を増してきた「行動捜査官」シリーズの第4巻。通常は取調室の中で完結することが多い、「エンマ様」の活躍なんであるが、今回は、被疑者の家とか、国際テロ組織の日本組織の本拠となっている廃業したカラオケ店とか、「現場」での事件解決のシーンが結...
ミステリー

病棟に潜む「サイコパス」と対決。「エンマ様」あやうし ー 佐藤青南「行動心理捜査官・楯岡絵麻 インサイド・フェイス」(宝島社文庫)

美貌で少々「S」系の美貌の警察官・楯岡絵麻をメインキャストにした「行動心理捜査官)シリーズの第3巻。犯行を認めようとしなかったり、真相を覆い隠そうとしている容疑者たちを、「マイクロジェスチャー」や嘘をつく際の心理的負担を軽減しようとする「な...
佐藤青南

「エンマ様」の懸案の事件は、苦味とともに解決する ー 佐藤青南「行動心理捜査官・楯岡絵麻 ブラックコール」(宝島社文庫)

行動心理学を駆使して、口を割らない犯人の大脳辺縁系から真実を聞き出して、事件を解決していく美貌の女刑事・楯岡絵麻とその取調室の相棒・西野巡査部長の活躍を描く「行動心理捜査官」シリーズの第二作である。 【収録は】 第一話 イヤよイヤよも隙のう...
佐藤青南

「大脳辺縁系」は「ウソ」をつかない ー 佐藤青南「行動心理捜査官・楯岡絵麻 サイレント・ヴォイス」(宝島社文庫)

一昔前に、「FBI心理捜査官」あたりがきっかけとなって、「プロファイリング」ブームが巻き起こったことがあった。当時、犯罪を含めた人間の行動を「プロファイル」することによってすべてが分析できる、ってな風潮であったのだが、いつの間にか流行が過ぎ...
ミステリー

「筆の都」のほんわか人情ミステリー ー 桜川ヒロ「四月一日さんは代筆屋」(宝島社文庫)

「代筆屋」というのをネットで検索すると、「手紙代筆専門サービス」とか「手書きの代筆代行サービス」といった仕事がまだ健在のようだ。何かを伝えるときにはSNSやメールがほとんどの時代であるのだが、「手書き」のものを届けるというのは、「言霊の国」...
ミステリー

陶芸の世界に隠れていた親子の闇が事件を引き起こす ー 一色さゆり「骨董探偵 馬酔木泉の事件ファイル」(宝島社文庫)

デビュー作『「神の値段」(宝島社文庫)』で、インクアートの巨匠に関係する絵画ビジネスをとりあげた筆者が、今回取り上げるのは、「焼き物」「陶芸」の世界。 前作は、姿を見せない墨を使ったインクアートの画家の初期作に関連した殺人事件で舞台は、その...
友井羊

「しずく」の店主は”ジビエ”にはまってしまった ー 友井羊「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 今日を迎えるためのポタージュ」(宝島社文庫)

東京のビジネス街の4階建てのビルの一階で営業していて、朝のモーニングのスープからディナーの料理まで、料理の旨さと、謎解きを楽しめる「スープ屋 しずく」シリーズの第2巻目。   【収録は】   第一話 モーニングタイム 第二話 シチューのひと...
友井羊

すべての謎は「スープ」で解きほぐされる ー 友井羊「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん」(宝島社文庫)

食屋がある。店の名前は「スープ屋しずく」という・・という雰囲気で始まるのが優しい外見と人柄の、その店の店主・麻野暁と人見知りながら、鋭い観察眼と勘をもった暁の娘・露による、ほんわりとした謎解き物語が、この「スープ屋しずく」シリーズ。 【収録...
ミステリー

業界の裏事情的なネタも楽しい「絵画ビジネス」殺人事件をどうぞ ー 一色さゆり「神の値段」(宝島社文庫)

芸術大学出身で、学芸員もしている筆者による「絵画ビジネス」の絡んだミステリーである。一般の人にはとんと縁遠い「絵画ビジネス」の世界を舞台にしたミステリーはあまり見かけたことがないので、絵画業界の裏事情的なところを垣間見せてくれるだけで、設定...