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プリニウスはアフリカへ、ネロはローマ。物語は二つに引き裂かれる ー ヤマザキマリ、とり・みき「プリニウス 6」

ネロはローマに留まり、プリニウスはアフリカへ、ということで、物語はここで大きく二つの流れになっていく。二つに分かれる物語の様子を反映しているかのように、プリニウスのほうは、地中海の青い海を経て、太陽の照りつける白い砂漠の中を行くに対し、ネロのほうは、明るく見えて実は陰の多い街なかでの物語の展開である。

プリニウス6 (バンチコミックス45プレミアム)
ヤマザキマリ とり・みき
新潮社 (2017-10-07)
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そしてプリニウスの旅は「アフリカ」を目指す ー ヤマザキマリ、とり・みき「プリニウス 5」

ポンペイで地震にあってローマへ引き返し、しばらくは動きがないのかな、と思いきや、あちこちを旅してきた商人の話に触発されたのか、再び旅に出るプリニウス一行である。

今回の旅は、いままでのイタリア半島の中、つまりはローマ帝国のど真ん中だけではなく、エジプトも含めたアフリカなどの「属州」まで足を伸ばす、当時の「大旅行」である。

一方、正妃・オクタヴィアを殺害した後、ポッパエアは精神状態があまりよろしくない様子なのであるが、今巻の女性のメインキャストは、彼女ではなくて、水道技師や羊毛業を営むローマの「元気で気の強い」女性たちである。

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カンパニアの地震からプリニウスは助かるが、ローマの闇はもっと深くなる ー ヤマザキマリ、とり・みき「プリニウス 4」

前巻でローマの悪い空気を避けて、南方で旅に出たプリニウス一行は、カンパニアで、温泉が急に湧いたり、羊が大量死したり、といった現象に出逢い不審に思っていたところ、ポンペイで大地震に見舞われるのが今巻のはじまり。

水道が壊れて水を求めて多くの人が争ったり、肉親が瓦礫の下になって呆然としている人があふれていたり、と災害の被害は昔も今とかわらず相当なものであるのだが、商売を続けるために近くの宿屋とそこにいるロバや馬を独占しようとする毛織物商人といった風景はちょっと今では想像もできないところであろう。

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プリニウスたちの再びの旅を「火山」が待ち構える ー ヤマザキマリ、とり・みき「プリニウス 3」(バンチコミックス)

ローマに帰還してから鬱屈が貯まるとともに、持病の喘息も悪化してきたプリニウスが、フェリクスを伴に、再びローマを離れて旅にでるのが今巻。

旅する方向は「カンパニア」の方向とあるので、今でいえばナポリの方向である。ナポリの近くには火山噴火の火砕流で滅んだ「ポンペイ」があり、この物語の底に流れる「ヴェスヴィオ火山の噴火」が時折顔をだす展開ですね。

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ネロとポッパエアは「ローマ」の退廃の象徴か ー ヤマザキマリ、とり・みき「プリニウス 2」

エトナ山の噴火の調査の後、カティアの町滞在中に、皇帝ネロによってローマに呼び戻されたプリニウス一行、居心地の悪さを感じながら送るローマでの生活が描かれるのが本巻。

当時、世界有数の大都市であったローマの街の様子が細かに描かれているので、そのあたりも今巻の魅力であろう。例えば、最先端技術であった「水道」であるとか、プリニウスの
従者・フェリクスの家族の住む「インスラ」と呼ばれた高層アパート、あるいは盛り場の裏道に死体が転がっているなど、雰囲気のある描写が続きますね。

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古代ローマ時代の「百科事典」をつくった男の物語がスタート ー ヤマザキマリ、とり・みき「プリニウス 1」(バンチコミックス)

古代ローマ時代の政治家で、天文、塵、動植物、鉱物、地理などなど当時の世界の情報を集めた「博物誌」をまとめた「プリニウス」とローマに放火して焼き尽くし、「暗君」の見本のように扱われている「ネロ」をメインキャストにした、古代ローマの「叙事詩的」物語の開始である。

筆者は「テルマエ・ロマエ」で古代ローマと現代日本を「銭湯」を媒介に行き来する、建築技師・ルシウスを主人公した物語で、コメディ的なローマの物語で一世を風靡したのだが、今回は少々シリアスな「ローマ」の物語である。

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ポッパエアが妊娠し、「ネロ」のローマ帝国も安泰か、と思いきや・・ ー ヤマザキマリ、とり・みき「プリニウス 8」(バンチコミックス)

古代ローマ時代のが博物学者「プリニウス」をメインキャストにすえて、当時の地中海世界の様子や、ネロ時代のロー目帝国の盛衰を描いた本シリーズも第8巻目となった。

ローマの大火の後の混乱はようやく静まってきたのだが、帝国の支配権を手に入れるために、ティゲリヌスの暗躍は続いていて、まだまだ「泰平」とはいえないローマ帝国とそんな情勢は知ったこっちゃないと北アフリカからクレタ、ロードスへの旅を続ける「プリニウス一行」が描かれるのが本巻である。

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プリニウスを通して描かれる「ローマ帝国」の健全さと退廃 — ヤマザキマリ「プリニウス」(新潮社)1〜6

テルマエ・ロマエで一挙に人気作家となった、ヤマザキマリ氏がとり・みき氏と組んでのローマもの。
個性ある二人の合作で、しかも題材が、稀代の博物学者プリニウスである。
 
物語はヴェスヴィオ火山の噴火の場面から始まるのだが、これは全体のプロローグ。第一巻は、プリニウスの書記官となるエウクレスと、噴火直後のエトナ山の麓で出会うところから始まる。
 
いまのところ、6巻までしか出版されていないので、全体の展開をどうこういえないのだが、プリニウスの諸国遍歴の旅の物語というよりも、プリニウスの歩く、特にポンペイを廃墟にしたヴェスヴィオ山の噴火をはじめとするローマとその周辺地域の自然と、皇帝ネロに代表される都市国家ローマの退廃が、このシリーズの主人公であるような感じ。
 
ただ、それらを演ずる役者たちが、プリニウスとその護衛官フェリクス、書記官エウレクスをはじめとして、哲学者にして大金持ちのセネカ、皇帝ネロ、その妻のポッパエアなどなど。塩野七生氏が火をつけた「ローマ好き」の人々には、とんでもなく垂涎モノには違いない。しかも、山や野原、街の佇まいなど、背景描写が、もう本当に精緻で唸らせられること多し。
さらには、ウニコルズス(ユニコーン)や頭がなく口と目が胸についているブレミュアエ族とか革の紐のようなヒマントポデス族とか、妙ちきりんなものもでてくるので、諸星大二郎ファンにも向いているのかもしれない。
 
なにはともあれ、「アナザー・ローマ人の物語」的な奇妙な魅力に溢れたシリーズであることには間違いないですな。
 

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ローマの大災害の陰に、いろんな者たちが蠢くー ヤマザキ・マリ「プリニウス 7」

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