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アイデアは「新たに生み出す」のではなく、「くっつける」もの ー 水野学「アイデアの接着剤 」

ここのところ、「デザイン」や「アイデア出し」といったところや、そのための「センスアップ」についての本を読んだり、レビューしているわけなのだが、こういった関係についtねお究極のところの万人の悩みは、「どうしたら、斬新なアイデアが、ばんばん出せるようになるの?」というところであろう。

もちろん、「デザイン」や「センスアップ」が、特定の人たちの特殊な能力ではないことは、水野学氏の「センスは知識から始まる」や「「売る」から、「売れる」へ 水野学のブランディング講義」などの著作ではっきりと言われているのだが、それでも、なにか、斬新な「アイデア出し」の秘訣はないものか、とすがってみたのが本書『水野学「アイデアの接着剤」(朝日文庫)』である。

【構成と注目ポイント】

構成は

Prologue アイデアの接着剤
第一章 人と人
 接着剤 その1 コミュニケーション
 接着剤 その2 客観性と主観性のザッピング
 接着剤 その3 「大義」をもって仕事をする
第二章 知識と知識
 接着剤 その4 「知識+知識」のイノベーション
 接着剤 その5 「洞察力」を研げば「切り口」が変わる
第三章 ヒットのつくり方
 接着剤 その6 インプットの質を高める
 接着剤 その7 時代の「シズル」を嗅ぎ分ける
Epilogue 価値観を変えてくれるのは、いつも「人」

となっていて、まず最初に目を引くのは、最初のほうの

ところで、僕は一度たりとも「アイデアを生み出した」ことがありません。
これから先も、「アイデアを生む」なんてことは、おそらくないと思っています。
僕の仕事は、世界に無数に転がっている、アイデアのかけらとかけらを拾い集め、ぴったり合うものを、くつつけることだから。(P5)

といったところで、アイデアを出す時に、とにかく誰も考えつかないものを、とかいった発想に陥りがちなのだが、そのへんは根底から考えなおしたほうがよさそうなアドバイスに、まず驚く。

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センスアップは、どんな人にでも可能である ー 水野学「センスは知識から始まる」(朝日新聞出版)

「アイデアを出す」ことや「デザイン感覚でコーディネートする」ってなことが、ビジネス現場で、かなり主要なこととして語られるようになって久しいのだが、正直なところ、「デザイン」というものはフツーのビジネスマンにとって、まだまだ縁遠かったり、敷居が高語りするもの。

そうしたところで、グッドデザインカンパニーの代表で、クリエイティブ・ディレクターとして、数々の企業のPR戦略にとどまらず、経営の本筋のところに関わっている水野学氏の著作は、とても貴重な「道標となる本」といっていい。


【構成と注目ポイント】

構成は

Prologue センスは生まれついてのものではない
Part1 センスとは何かを定義する
Part2 「センスのよさ」が、スキルとして求められている時代
Part3 「センス」とは「知識」からはじまる
Part4 「センス」で仕事最適化する
Part5 「センス」を磨き、仕事力を向上させる
Epilogue 「センス」はすでにあなたに中にある

となっていて、まず、デザインというものが、こんなに注目され始めたのは

歴史を眺めてみると、技術が劇的な進化を遂げるとセンスの時代が来て、しばらくするとまた技術の時代がやって来るという〝サイクル〟が感じられます

という歴史感に基づきながら、

IT革命によって人類は再び、かつてないほどの進化を遂げました。産業角目気同様、人類全体に大きな進化をもたらす情報革命です。僕の仮説が正しければ、情報各メキによって技術がピークを迎えたあとのこれからの時代は、センスの時代です。
(略)
これも僕の持論ですが、「美しい」という感情は基本的に未来でなく過去に根差していると思っています。ノスタルジーやなつかしさもフックになるに違いありません。
技術とセンス、機能と装飾、未来と過去。
こんなふうに対になっている時代の間を、みんなが行ったり来たりしている気がします。
市場はすでに、センスの方向に動き始めているのです。

といった時代認識である。こうした視点にたつと、今の日本企業の不振も、「ものづくり」だけに専心し、効率や能率だけに尖ってしまった結果、時代の大きな変化の波に乗り切れなかったせいといえるわけで、そうなると、一般のフツーのビジネスマンも「デザインのことはちょっとねー」とも言っていられない時代だということでもある。

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「デザイン」と「ブランディング」のキモを手軽に知るなら本書がオススメ ー 水野学「「売る」から、「売れる」へ 水野学のブランディング講義」(誠文堂新光社)

グッドデザインカンパニーの代表でクリエイティブデイレクターとして、熊本の「クマもん」、東京ミッドタウン、中川政七商店などなどのプロイデュースに携わってきた筆者が、慶応大学湘南藤沢キャンパスで行った講義「ブランディングデザイン」の主要なところを書籍用に編集したのが本書『水野学「「売る」から、「売れる」へ 水野学のブランディング講義」(誠文堂新光社)』である。

【構成と注目ポイント】

構成は

第1講 なぜ、いいものをつくっても売れないのか?
第2講 デザインは誰にでも使いこなせる
第3講 ブランディングでここまで変わる
第4講 「売れる魅力」の見つけ方

となっていて、本書の解説によれば、第1講から第3講は2014年、第4講は2015年に講義されたものをベースにしているらしく、文中に出てくる時事トピックスが、その頃もものが引用されていたりするのが、なんとなく同時代感がありますね。

はじめに目を引いたのは、

ときどき「説明できないけど、これはいいデザインなんです」なんていうデザイナーがいますが、ぼくにいわせるとそれはウソです。
センスが知識の集積をもとにしている以上、説明できないデザインはありません。(P87)

というところ。

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「ルーティン」の大事さを改めて認識する ー 水野学「誰も教えてくれない段取りの教科書」(ダイヤモンド社)

「クリエイティブ・ディレクター」という横文字職業から想像する仕事のスタイルは、発想とインスピレーションのおもむくままに仕事を進めていて、リーダーの後をおっかけるのにスタッフがてんてこ舞いすることもある、ってな感じなのだが、筆者によれば

どんな仕事もぜんぶ「同じ」だと思っているのです。

とした上で

ストレスなく仕事が順調に進むのは、きちんと「段取り」をしているからです。
(略)
段取りがなければ、いつもバタバタして、日々トラブルが起き、プロジェクトは糸の切れた凧のようにどこに飛んでいくかわかりません。
段取りは、仕事の「超基本」です

ということで、実は、とても基本に忠実な「仕事の進め方」のようで、このあたりは認識を改めるとともに、大量のプロジェクトを、パキパキとこなしていくイメージのある「水野学」さんのノウハウは、多くのビジネスマンの仕事に応用できそうである。

【構成と注目ポイント】

構成は

CHAPTER1 段取りは「目的地」を決めるところから
CHAPTER2 最高の段取りをするために「目的地までの地図」を描こう
CHAPTER3 目的地まで最短距離で進もうー時間と効率化の話
CHAPTER4 脳内に「空白をつくる」ために段取りをしよう
CHAPTER5 目的地までチームで働こう

となっていて、まず注目すべきは

「仕事」を分解すると大きく3つに分けられます。
①目的地を決める
②目的地までの地図を描く
③目的地まで歩く
(略)
ふつうは③の「目的地まで歩く」ときの最適な手順を「段取り」と呼ぶことが多いでしょう。でも、そもそも①や②ふができていないからうまくいかない、という場合が多くあります。
目的地があいまいなまま歩みだすのは、いきなり登山を始めることと同じです。
まずは「正しい目的地」を定めることがなによりも大切です。(P15)

というところで、「段取り」のレンジがかなり広いところ。どうかすると、「段取り」というと仕事をやる上でのテクニカルな部分だけに限定してしまうのだが、ここまで広く構えておくのが、仕事をストレスなくやるコツなんであろうな、と思った次第。

 

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