浮世と冥土の境の神社の異世界物語が始まるー安達智「あおのたつき 1」

コミック

男性の人口が女性より格段に多かった「江戸」で、現代には無くなったものの一つが「廓」や「岡場所」といった色街の文化。
その代表格である「新吉原」には、高級遊女である花魁から蕎麦一杯の値段の鉄砲女郎までたくさんの遊女がいるのだが、思いを遺して死んだ遊女の霊は、羅生門河岸の角にある「九郎助稲荷」の奥にある、浮世と冥土の境にあるという「鎮守の社」を舞台に、そこへ迷い込んできた売れっ子の絶頂で死んだ花魁の霊「あお」と宮司の「楽丸」と社の主神・薄神の三人が、この社に迷ってくる遊女や廓の関係者の霊を浄化させていく、少しコミカルなオカルト時代劇が本シリーズ『安達智「あおのたつき」(マンガボックス)』の第1弾です。

【構成と注目ポイント】

第1巻の構成は

其ノ壱 面の女
其ノ弐 戌の児
其ノ参 千両男
其ノ肆 指人形①

となっていて、まずはシリーズ最初ということで、主要キャストである「あお」が鎮守の杜へ彷徨ってくる、というところからスタート。

彼女は、三浦屋という遊郭の売れっ子花魁の「濃紫」の霊なのですが、どういう理由からか、童女の姿になっています。そして、

と金を稼ぐことに相当の執念をもっているのですが、その理由は話が進んでいくと明らかになるんだと思います。

まず第一話では、巨大な文楽人形の「頭」のような遊女の霊がやってきます。

ここで「あお」は、「楽丸」に頼まれ、遊女の霊の話を聞いて、彼の行う浄化のヒントをつかむアルバイトに雇われることとなりますね。
そして、「あお」が聞いたその「文楽人形の頭」の話よると、彼女は「富岡」という遊女で、同郷の売れっ子太夫の引き立て役に使われ、あざ笑われた末に死んだというのですが、「あお」は彼女の話の「裏」を見抜きます。「あお」は得意の毒舌で挑発し、彼女の妄念をあぶり出すのですが・・・といった展開です。

嫉妬が積もり積もって厚い怨念となり、同輩を歪んだ目でしか見られなくなってたところが哀れですね。その彼女を「あお」が

といった感じで浄めるところはさすが人気の花魁だけのことはあります。

第二話では、三人の童女が登場します。

「あお」が話を聞いたところでは、彼女たちは三つ子で、生まれ故郷では不吉の象徴とされて、色街に売られることになったのですが、父親によって、女衒のもとへ連れていかれようとする時、山中で追い剥ぎに出会い・・ということのようです。そして、「参」の娘から、追い剥ぎに襲われた時のことを聞き出そうとする「あお」に「壱の娘」と「弐の娘」が襲いかかります。
襲いかかられながらも、「あお」は

と彼女たちの秘密に気づくのでした・・・、という展開です。三人の娘が浄化されて消えてしまうのではなく、この冥土の遊郭で暮らしていけることになるのでご安心を。

第三話は、第一話で登場した富岡の同郷の花魁「加賀屋のきよ花」へ降り掛かってきた災難です。彼女は年は離れてはいるが優しい旦那がついていたのっですが、最近、その旦那の商売敵が死んでから座敷では人柄が変わってしまい、廓の人々を金で嘲弄し、

と「きよ花」へも乱暴を働きます。どうやら悪霊がついているようなのですが、その姿をみた「あお」が別のスイッチが入ってしまい、彼女自らが暴走を始め・・、という展開です。

第四話では、遊郭の廓主の一人の腕を食いちぎった遊女の悪霊が、九郎助神社へと逃げ込むのですが、神社へ残っていたのは「あお」一人で・・・

といった感じで次号へ続きます。

【レビュアーから一言】

「吉原」といえば「北国言葉」や「ありんす言葉」といわれるように、花魁の独特な言い回しが有名なのですが、これは、「遊郭」特有の言い回しや喋り方をすることで、「吉原」が通常の世界とは違う別世界であることを強調するとともに、遊女が方言でしゃべるのを防ぐ意味があったようです。

といった言葉を使っている「あお」こと「濃紫」も、第二話の回想をみると貧しい寒村の出身のようですね。

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