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かくして「新米警察官」は巣立っていく ー 長岡弘樹「教場 2」

木村拓哉を主人公にして、2020年の新春にドラマ化された「教場」の原作本の第二巻目が『長岡弘樹「教場 2」(小学館文庫)』。ドラマはこの第一巻と本巻の話をピックアップしながら再構成されているつくりになってたような気がします。

舞台となるのは、第一巻と同じ警察学校の、風間教官の教える通称「風間教場」なのだが、第一巻の98期からひとつ跳んで第100期短期過程の、教習期間における出来事が綴られる。

【構成と注目ポイント】

構成は

第一話 創傷
第二話 心眼
第三話 罰則
第四話 敬慕
第五話 机上
第六話 奉職

となっていて、まず第一話の「創傷」は、現役の医者から転職して警察官になったという経歴をもつ「桐沢」が主人公。彼はこの巻では、総代を争う優等生的なポジションに位置しています。
物語のほうは、彼が警察手帳を紛失して窮地におちいるといった展開なのだが、この紛失事件の鍵を握るのが、南原という同期の警察官で、彼とは、医者時代どこかで会った気がするのだが、どこであったかは思い出せない、という伏線がひかれている。少しネタバレすると、桐沢の警察手帳を隠したのは、南原なのだが、その動機は、彼が警察官になる前の、違法な「趣味」が関連していて・・、といった展開です。

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オジサンが「スイーツ」好きでもいいじゃないか! ー 今柊二「スイーツ放浪記」

「定食評論家」として名高い今柊二氏なのだが、お酒のほうはあまり量がいけるほうではなく、実は、甘いものに目がないというのは、定食本の隅に載っていることはあるのだが、ここまで公になって、しかも、「スイーツ」の特集本まで編まれるのは筆者にしては珍しいことであろう。

本書の冒頭によると

実は酒よりも甘いものがたべたい、もしくは酒も好きだがスイーツだって好きだという、私と同様に甘いものを食べたいおっさんのための救済の一冊になれば成功だと思う次第

ということなので、最近、街中は我が者顔に歩く「スイーツ女子」や「スイーツ男子」ではなく、今まで酒呑みたちの陰で悲哀を囲っていた「スイーツ中高年」のための「スイーツ本」が本書『今柊二「スイーツ放浪記」(中公新書ラクレ)』である。

【構成と注目ポイント】

構成は

第1章 スイーツ歴史探訪と分析
 その1 スィーツの種類を分析する
 その2 日本のスイーツのルーツを知る
 その3 難易度別、おいしいスイーツスポット
第2章 スイーツ激戦区、首都圏をめぐる<洋菓子編>
 その1 正統派老舗パーラー四天王にチャレンジする
 その2 「喫茶店スイーツ」と「洋菓子店スイーツ」のシアワセ
第3章 スイーツ激戦区、首都圏をめぐる<和菓子編>
 その1 東京老舗甘味名店の旅
 その2 地元の人に愛される名店の旅
第4章 気軽に楽しめる!食事処でスイーツ
 その1 「アフター洋食スイーツで」ウキウキ
 その2 忘れてはいけない「中華スイーツ」
 その3 安心の味!「ファミレス・ファストフードのスイーツ」
 その4 「パン・ドーナツ・アイスクリーム屋」でもスイーツ!
第5章 みんなが笑顔になる!お土産スイーツ
 和菓子編
 その1 有名店<全国区・多店舗タイプ>のお土産
 その2 街のすてきな和菓子屋さん
 その3 東と西を代表する私的2大お土産スイーツ
 洋菓子編
 その1 デパートで買った定番お土産スイーツ
第6章 日本スイーツ紀行
 東日本編
 その1 北海道で「ソフトクリーム紀行」
 その2 北国を代表するスイーツたち
 西日本編
 その1 関西三都でスイーツ三昧
 その2 愛媛で懐かしのスイーツ探訪
 その3 南の地・長崎でもスイーツバンザイ
あとがきにかえてー過去とつながる今と未来のスイーツ

となっていて、第一章が筆者の他の「定食本」と同じスタイルで、「スイーツ」の日本歴史。第2章〜第4章までが東京・神奈川を中心としたスイーツの名店食べ歩き、第6章が東京圏以外の各地のスイーツという構成なのだが、「お持ち帰り」「お土産」編がある(第5章)なのが、他の「定食本」と違う特色ですね。

で、その食べ歩きは、東京の老舗のフルーツパーラー四天王に始まり、
食事をたっぷりとった後のレストランでの甘味に続いて、伝統の味を出す老舗甘味処といった具合で、「スイーツ」が登場する舞台「勢揃い」といった感じ。
その様子は例えば、渋谷の西村フルーツパーラーの

味がとても濃く、日に入れた瞬間、一う―ん、うまい」と眩いてしまう。
バニラも爽やかで、これはステキな味わい。さらにチョコソースとアイスが次第に混ざり合って、深く濃く爽やかな味わいになっていく。アイスの上にはナッツとフレークがかかっていて、これも歯触りが楽しい。そして中を掘っていくと、輸切りのバナナが入っているのがわかる。さらに深くいくとパフの層となり、これまた食感がサクサクしておもしろい。いやあ、食べ続けていると、バニラ、チョコ、バナナの甘さで、体全体が満たされていき、とてもシアワセな気持ちになる。

というバナナチョコパフェや東京・新橋の「カフェテラス・ポンヌフ」で

では、まずはハンバーグからいただこう。
おお、ナイフでハンバーグに切れ目を入れると中からフワツ~と湯気が出てくる。タマネギのシャキシャキと肉々しさのバランスが素晴らしい。
うまいよ~。パンにはさんで食べようとパンを開くと、切れ日にはパターがトロリー 私はバターバンが大好きなので、まずはそのままで食べると、ホカホカバンでこれまたおいしい。このまま食べていきたいが、やはリハンバーグをはさんで食べよう。……うう、当然これもおいしいな。続けてスパ。これがねっとリケチャツプ太麺もちもちスパ。
私の心にズトンと大砲を撃ち込むような一熱い」スパ。こりゃもうたまらんな。口の周りがケチャツプだらけになるがかまわないと思い、もりもり食べる。やはりこれもパンにはさんじゃおう。いやあ、このパンは偉大すぎる存在だ。

と「ボンヌフバーグ」のセットをランチで頼んだ後

ではプリン。主張は強くなくおだやかなプリン。まるで楽しい昼間が終わった夕方のような味わい。沈む夕日を見ているようで涙が出てきそうだ。
もうあんまリシアワセすぎて。その涙をこらえるべくアイスコーヒーを再び飲んだのであった。

といった感じで、様々なシチュエーションでのスイーツ三昧で、これは酒呑みでも思わず追加注文してしまいそうな感じですね。さらには、東京・神田の「天野屋」の

お茶をひと口飲んでから甘酒を。甘さがじわりとくるなあ。甘酒って、飲んだ後の余韻がくい~んとゆつたりやつてくる。しばらくじっとしていると体中に染み通る。ああ、おいしい。今日はこのあと大変に忙しいのだけれど、ここで気持ちがゆつたりできて良かった。

といった感じになると、時代小説片手に「ゆったり」したい気分になってきますね。

このほか、北海道や愛媛、長崎のスイーツなど、東京だけでないその地域の特色豊かな「スイーツ」の登場も嬉しいところであります。

【レビュアーから一言】

そうはいっても、酒呑みの「オジサン」には、スイーツの店っていうのはとにかく敷居が高いもので、酒をしこたま呑んだ後に体に染み渡るスイーツの旨さというのは憧れにちかい。そんな「オジサン」向けに本書では難易度別にスイーツスポットが類型化されていて、それによると

レベル1 もっとも気軽の堪能できる「お土産スイーツ」
レベル2 入店しやすい
     「コンビニ」「ファストフード」「お菓子の安売り店」
レベル3 食事と一緒に注文!
     「喫茶店」「ファミレス」「アフター洋食」
レベル4 一度足を踏み入れたらパラダイス「甘味処」
レベル5 家族と一緒に「アイスクリームショップ」
レベル6 まさに最上階のスイーツ道!
     「パーラーでパフェ」

といったようなので、個々人の「勇気」に応じてチャレンジしてみてくださいな。

小牧・長久手の戦、終結。天下は誰の手に落ちるのか? ー 宮下英樹「センゴク一統記 15」

落ち武者から国持大名へ、その後、戦で大敗北して改易。そこから復活して、徳川将軍家の相談役まで昇進した戦国一のジェットコースター人生をおくった「センゴク」こと「仙石秀久」の半生記が描かれる「センゴク」シリーズのSeason3「センゴク一統記」の第15巻。

前巻で、秀吉軍と家康軍が激突した小牧・長久手の戦が決着しるのですが、戦の勝敗は「武力」での対決だけではなく、「経済戦争」「政略」を含めた総合戦によって、天下の帰趨が決まっていくこととなります。

【構成と注目ポイント】

構成は

VOL.126 景色
VOL.127 御首級
VOL.128 新しき世
VOL.129 惣無事
VOL.130 取次
VOL.131 和睦
VOL.132 統治者
VOL.133 天下人
VOL.134 戦国大名

となっていて、池田恒興に対峙していた井伊直正の軍が後退し始めるのを見て、森長可の軍が前進しこれを叩こうとするるのだが、これは徳川方の想定内。徳川方は足軽たちで迎え撃ち、旗本たちは待機して、森長可隊を引き付ける作戦に出ます。
というのも、森長可や池田恒興を待ち受けているのは、信長・秀吉に敗れ廃家となった「武田宗家」に仕えていた甲斐侍たちで、敗戦後彼らが身に付けた鉄砲術が今までの無念さとともに、敵兵の秀吉勢へ向けてさく裂します。

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プロ・スナイパーと偽った「狙撃事件」に隠れた旧悪を暴け ー 鳴神響一「脳科学捜査官 真田夏希 4 クライシス・レッド」(角川文庫)

医師免許も持つ、高学歴・美貌ながら「ふつうの結婚」を望んで婚活活動を続ける神奈川県警科学捜査研究所所属の腕利きプロファイラー・真田夏希の活躍を描いた「脳科学捜査官」シリーズの第4巻。

熱心な婚活活動を展開しても、捕まえられるのは爆弾魔、バブルから滑り落ちたも学生起業家の復讐犯、愛する女性シンガーを死においやったネットいじめ仇討ち犯という真田夏希が、今回は高い技能をもって被害者が逃げるところを狙い撃ちするスナイパーに立ち向かう。

【構成と注目ポイント】

構成は

第一章 織田との時間
第二章 根岸分室
第三章 バカトラマン
第四章 初めての体験
第五章 生きる意味

となっていて、前巻までは、夏希が婚活中に第一の事件の発端に出くわすという設定から始まるのだが、今回はちょっと仕掛けが変わって、警察庁のエリート警察官の織田とのデート中に、彼から、ある狙撃事件の捜査で神奈川県警の根岸分室に出向いて極秘捜査を行ってほしい、との依頼がされるところから開幕。
この要請は、織田からではなく、警察庁の長官官房の参事官からという、上層部からのもので、事件が重大であることを示しているようだが、実は、もっと深い意味がかくされているあたりは、物語の後半のほうで明らかになる。

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連続殺人の陰に「鎮魂歌」が隠されている ー 鳴神響一「脳科学捜査官 真田夏希 3 イミテーションホワイト」

医師免許も持つ、高学歴・美貌ながら「ふつうの結婚」を望んで婚活活動を続ける神奈川県警科学捜査研究所所属の腕利きプロファイラー・真田夏希の活躍を描く「脳科学捜査官」シリーズの第3巻。

前巻までで、経済不況から不幸な職業人生となった。「失われた世代」の爆弾魔や、時代の波に乗り切れず転落してしまったかつての栄光が忘れられない「バブル世代」の連続殺人犯を、爆弾処理犬・アリシアや所轄の出世から遅れた熱血刑事・加藤たちのアシストで次々と検挙してきた「夏希」なんであるが、今回は、現場に打ち上げ花火が仕掛けられている「見せる」を意識した連続殺人事件に挑むこととなる。

【構成と注目ポイント】

構成は

第一章 夏希の休暇
第二章 本牧緑地
第三章 仏法時跡
第四章 銀の十字架

となっていて、故郷・函館からの同級生の友人で横浜市役所に勤務している「希美」という女性と伊豆へ合コンデートにきているシーンから開始。「ふつうの結婚」を夢見ている夏希は、婚活活動に頑張っている様子なのだが、今回のお相手の「結城」という人物も、結構イイ線まで行きながら、昼食で寄ったレストランで、料理のサーブの順番を間違えたことを店の従業員の女性に厳しく当たったことから

心理学を持ち出すほどのことではないのだが、店の従業員などにつらく当たる男は避けるべきという法則は存在する。
そのときの態度は、結婚してからそのまま自分への態度となることが多いからである。
もっともこうした店の女性に、あまりになれなれしくベタベタする男は、結婚してからもほかの女の子に色目を使う恐れはあるのだ。

ということで「OUT」になる。冒頭で夏希に振られる人物は物語の後半部分で、微妙な役回りを演じることになるので、今回もチェックしておきましょう。

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「亭主、元気で留守がいい」は定年後も同じこと ー 阿川佐和子・大塚宣夫「看る力 アガワ流介護入門」

この本の筆者・阿川佐和子さんは、お父さん・阿川弘之さんが入院して亡くなるまで、献身的に介護をした、ということで有名なのだが、阿川弘之氏といえば、まったく面識のない人でも、佐和子さんのテレビ番組での発言や著書などで、とても厳しくて、怒りっぽいというイメージの男性。 そんなイメージの人が亡くなるまでの介護は、かなり厳しいことや腹の立つこともあったのだろうな、と予測したのだが、そんなところはみじんも感じさせない、「介護」についての「明るい」「正直」な対談集になっているのが本書『阿川佐和子・大塚宣夫「看る力 アガワ流介護入門」(文春新書)』である。

【構成と注目ポイント】

構成は

Ⅰ 看る力・家族編 1 好物は喉につまらない 2 医者より介護、介護より生活 3 赤ちゃん言葉は使わない 4 バカにしない、怒らない、とがめない 5 介護は長期戦と心得よ 6 後ろめたさを持つ 7 イライラしたら笑っちゃおう 8 介護にトラブルはつきもの 9 認知症でも一人暮らしを 10 孤独死で何が悪い 11 施設に預けるのは親不孝ではない 12 愛情だけではうまくいかない 13 必要とされる状況をつくる 14 認知症の早期診断は家族のため 15 介護される立場で考える 16 名医の条件 Ⅱ 看る力・夫婦編 17 認知症の診察は夫婦一緒に 18 定年後の夫は新入社員と思え 19 一人暮らしのススメ 20 夫源病にご用心 21 恋は長寿の万能薬 22 名刺をつくる Ⅲ 看られる覚悟ーあなたが高齢者になったら 23 七十五歳が節目 24 老人に過労死なし 25 なぜ老人はいつも不機嫌なのか 26 不良老人になろう 27 老後の沙汰こそ金次第 28 家族にこそ介護費用を払う 29 自分が望む最期は手に入るのか 30 そこで働く人を見て施設を選ぶ あとがきにかえてー自分ならどうして欲しいか

となっていて、基本の仕立ては、阿川佐和子さんと阿川弘之さんの入院していた老人病院の院長であるよみうりランド慶友病院の大塚宣夫さんの老人介護についての対談集。

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軍師・竹中半兵衛の戦略は最後の輝きを見せるか ー 「センゴク天正記 10」

センゴク天正記(10) (ヤングマガジンコミックス)

落ち武者から国持大名へ、その後、戦で大敗北して改易。そこから復活して、徳川将軍家の相談役まで昇進した戦国一のジェットコースター人生をおくった「センゴク」こと「仙石秀久」の半生記が描かれる宮下英樹の「センゴク」シリーズのSeason2「センゴク天正記」の第10巻。

西国の制覇に向けて動き出した織田軍は、但馬・播州攻略で勢いづくかと思いきや、播州侍の相次ぐ離反で、一挙に形勢が悪くなります。ここで、挽回を図る秀吉が考え出したのが、「干殺し」といった城を囲む攻城戦で、ここらから秀吉の攻め口が、確実ながらも「暗い」イメージを帯びてきます。

【構成と注目ポイント】

構成は

VOL.90 播州三木城包囲戦
VOL.91 荒木村重の謀叛
VOL.92 天下一統とは
VOL.93 勘兵衛の説得
VOL.94 勘兵衛の処断
VOL.95 家の結束
VOL.96 播州侍
VOL.97 奇襲の真意
VOL.98 半兵衛の策
VOL.99 二つ雁金と違鋒矢(ちがいほうし)

となっていて、上月城を放棄した秀吉は、三木城攻めに専念し、周囲の支城を一つ一つ陥落させる攻め方で包囲網を縮めていきます。

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戦国の名家・朝倉家は、織田の猛襲の前に崩れ落ちる ー 宮下英樹「センゴク 11、12」

センゴク(11) (ヤングマガジンコミックス)

美濃・斎藤家の落ち武者から国持大名にまで出世したのに、自らの突出によって島津との戦に敗戦して改易。一家離散のどん底から再び国持大名まで出世。さらには徳川二代将軍のときには「秀忠付」に任命されるなど徳川幕府の重鎮となった「仙石久秀」のジェットコースター人生を描く「センゴク」シリーズの第1Seasonの第11巻と第12巻。
第1Seasonでは、稲葉山城落城から浅井家滅亡までが描かれるのだが、当初、蜜月状態だった浅井家と織田家が敵対する原因となった、越前の名門・朝倉家の瓦解が描かれる。

【構成と注目ポイント】

構成は、11巻が

VOL.100 さまよえる武田軍団
VOL.101 東美濃攻略
VOL.102 捨てる
VOL.103 上京焼き討ち
VOL.104 お屋形
VOL.105 武田軍撤退
VOL.106 越前一乗谷
VOL.107 筆頭家老
VOL.108 山本山城
VOL.109 調略

第12巻が

VOL.110 信長電撃
VOL.112 王手飛車取り
VOL.113 柳ケ瀬峠
VOL.114 朝倉反撃
VOL.115 最後の謀略
VOL.116 義景一乗谷帰還
VOL.117 突撃命令
VOL.118 一乗谷に栄華を
VOL.119 義景の最期

となっていて、三方ヶ原の戦の途中で、人事不省となった信玄と混乱する武田軍の様子がまず描かれる。意識の戻らない信玄の前で、これからの方針を協議する重臣たちなのだが、カリスマを突然失った集団がすぐさま結論をだせるはずもなく、武田軍の弱点が突然露呈しています。

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”間違える”というコストを”価値”に変える ー 小国士郎「注文をまちがえる料理店」(あさ出版)

注文をまちがえる料理店
注文をまちがえる料理店

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あさ出版 (2017-11-10)
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本書で扱っている「認知症」の問題をはじめとして、福祉サービスの世界は、自分の周囲が健常者に取り囲まれていると、どこか遠いところの話のように実感がないのだが、自分や家族の高齢化といったことがおきると、突然「自分ごと」になる課題である。

ところが、本書の中で

取材をはじめたばかりのころ、和田さんが
「介護施設を建てるのって、結構大変なの知ってる?」
と聞いてきたことがあります。
僕はてっきり、建設費のことをいっているのかと思ったのですが、そうではなくて、地域住民や行政の理解を得るのが大変なな場合があるんだそうです。

とあるように、実はこの課題は「世間」というものが壁のように聳え立つことのある課題でもある。

そういった中で、期間限定の事業ではあるが、「認知症」に人がサーブするレストランについて、現場の様々なエピソードも含めて記録したのが本書『小国士郎「注文をまちがえる料理店」(あさ出版)』である。

【構成と注目ポイント】

構成は

Prpogue 「注文を間違える料理店」ができるまで

第一部「注文を間違える料理店」で本当にあったものがたり

story1 働くことができる喜び
story2 料理店で夫婦二人の演奏会
story3 「えっ?何の話」
story4 「忘れてしまうけれど」
story5 「お腹、空いちゃってるね」
story6 「うん 本当に粋だなぁ」
story7 「戻ってきたら、みんな笑顔」
story8 「間違えてもいいんだもんね」
story9 「お飲み物は、まだでいいですよ」
story10 少しだけの自信
story11 間違えることを受けいれられる価値
story12 「やっぱり最高のレストランだね」
story13 「誰もが受け入れられる場所」

第二部 「注文をまちがえる料理店」のつくりかた

”強烈な原風景”になったのはなんてことのない普通の光景だった!?
何かを失って何かを得るーあのとき思った”いつか”が来た
最高のクオリティで実現するために”粋な仲間”を集めよう!
僕たちが大事にしようと決めた「二つのルール」
おおらかな気分が、日本中に広がることを心から願って
伝えたいメッセージはーありません

Epilogue 「注文をまちがえる料理店」のこれから

となっていて、おおまかに分類すると、最初のパーツは、「注文をまちがえる料理店」での具体的な事例の紹介。次のパーツは「注文をまちがえる料理店」がどう出来上がったのかと「これから」となっている。

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鳥取県鳥取市用瀬町「川のhotoriもちがせ」でオムライスのランチを食す

再就職が決まって初の土日なので、ひさびさに家族で昼食に出かける。たいがいは街なかで済ますのだが、今回は同じ市内ながらちょっと遠出して「川のhotoriもちがせ」へ。ここは奥さんがネットで探してきて、ちょっと気になっていた店であるとのこと。場所は国道から山際へ入り込んだ、因美線というローカル線の線路の近くで、事前に調べてこないと彷徨いそうなところ。

店はこんな用水路沿いにある。ここ2〜3日雨が降り続いていたせいか増水気味である。

入り口はこんな感じで、渡り橋を渡って入る。まあ、普通の民家を改造したところですね。中は靴を脱いで上がる設定。玄関を上がって正面が厨房、左が客席となっている。席は4人がけのテーブル席(といってもかなり低い造りですがね)が4つ。窓際の座る形のカウンター席が5つぐらい。

お客さんは若い夫婦連れか男女二人連れが多かったですな。

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