佐藤青南」カテゴリーアーカイブ

バイクのスピードレースに隠された大規模犯罪を暴け ー 佐藤青南「白バイガール 最高速アタックの謎」(実業之日本社文庫)

神奈川県警交通機動隊所属のタレ目ぽっちゃり型のいやし系キャラ「本田木之美」とレイダーテクニック抜群のツンデレ美人「川崎潤」の二人をメインキャストにすえた、「ポリス」ストーリーの第4弾である。

 

今回は念願の交通機動隊に配属された3年目となり、ベテランの域に入りつつある「木乃美」に初めて後輩ができるのだが、その後輩がかなりの「生意気」な後輩で、なにかと木乃美を押しのけて前へ出ようという性格。さて、この後輩を操縦しながら、バイク暴走事件の謎を解いていくのか、というのが本巻。ちなみに、この後輩の名前は、ご推察どおり「本田(HONDA)」「川崎(KAWASAKI)」「山羽(YAMAHA)」のライバルである「SUZUKI(鈴木)」であります。

 

これに加えて、前巻で、箱根駅伝の先導を、「潤」に先を越されてしまった「木乃美」なのだが、さてこれから夢に向かったどう走っていきますか、ってなところも気なるところですね。

 

白バイガール 最高速アタックの罠 (実業之日本社文庫)
白バイガール 最高速アタックの罠 (実業之日本社文庫)
posted with amazlet at 19.05.13
実業之日本社 (2019-05-17)
売り上げランキング: 4,866

 

楽天Booksはこちらから

 

 

 

続きを読む

「潤」のバイク初心者当時の「古傷」は事件解決の鍵となるか? ー 佐藤青南「白バイガール 幽霊ライダーを追え」(実業之日本社文庫)

タレ目のぽっちゃりの癒やし系キャラの「本田木乃美」と、ライダーテクニック抜群ながら、ツンデレ系の「川崎潤」という性格も体型も全く違う女性白バイ警官二人をメインキャストにする「お仕事」系ミステリー「白バイガール」の第2弾である。

今巻は、「潤」に一目惚れしてしまって「おっかけ」をするイケメン・タレントも登場してきたり、全国白バイ安全運転競技大会へ「潤」が女性枠の優勝者の辞退によって急遽出場しないかと打診される、といった「木乃美」の箱根駅伝先導という長年の夢にも関連することも持ち上がりつつ展開するのが本巻である。

白バイガール 幽霊ライダーを追え! (実業之日本社文庫)
佐藤青南
実業之日本社 (2017-02-03)
売り上げランキング: 44,455

続きを読む

箱根を先導する「潤」の邪魔は「木乃美」が許さない ー 佐藤青南「白バイガール 駅伝クライシス」(実業之日本社)

前作「白バイガール」で協力して事件を解決することのできた、島根県出身・ぽっちゃり系の「本田木乃美」とツンデレ系のバイク娘「本田潤」の二人組なのであるが、今回、捜査の中心となるのは「本田木乃美」のほうで、現場の近くにはいるものの、別用務に就いている。
それも、なんと木乃美が白バイ警官を目指した「箱根駅伝」の先導バイクという任務で、八区後半の戸塚から十区六郷橋までの間の先頭ランナーの先導というTVにもバンバン出る「晴れの舞台」である。
今巻は、「木乃美」の心情を気遣いながらも、箱根の先導に挑んでいく「潤」の姿と、憧れの「箱根」を「潤」に託して、暴行殺人事件の捜査に専念する「木乃美」の姿がオーバーラップして展開されていく。

 

【あらすじと注目ポイント】

話のほうは、高校時代の親友に誘われて、彼女の男性友達のマンションで年越しの宿泊をしていた「両角麗奈」という女子大生が、その男性友達たちに襲われかけ、そこを飛び出すのだが、何者かに拉致されるところからスタート。

そして、この出だしから一転して、「潤」が箱根駅伝の先導の白バイメンバーに選ばれて頑張るところとか、年末の夜、鎌倉の七里ヶ浜の駐車場で起きた、数人の男による暴行殺人事件の捜査に、「潤」や「木乃美」の属する交通機動隊のメンバーも駆り出されていくといった展開となっていくのだが、交通機動隊が関係していくのは、その犯人グループらしいのが、暴走族「闘雷舞(トライブ)」のメンバーらしいという設定で、これは、後半のカーチェイス・シーンへつなげる前振りでもありますね。

続きを読む

女性白バイ警官は、明るく、元気に、「謎」を解く ー 佐藤青南「白バイガール」(実業之日本社)

佐藤青南が紡ぎ出してくる物語の女性主人公は、「行動捜査官」シリーズの「楯岡絵麻」や「消防女子」シリーズの「高柳蘭」といった、男勝りではあるが、健気で魅力的な主人公が多いのだが、彼女たちに続いて、またも魅力的な女性主人公を世の中に送り出してくれた。
しかも、二人もである。

今巻は、島根県出身・ぽっちゃり系の「本田木乃美」とツンデレ系のバイク娘「川崎潤」の二人の白バイの女性隊員の青春奮闘物語である。

 

【あらすじと注目ポイント】

白バイの女性ポリスというと、箱根駅伝の伴走などでTVでもよく見るのだが、ネットで調べてみると、警視庁の交通機動隊の白バイに女性が始めて配属されたのは2010年であるらしく(警視庁交通機動隊に初の白バイ女性隊員(日テレNEWS24、2010.09.08))、そんなに古い話ではない。
今巻は、そんな警視庁ではなくて神奈川県警の交通機動隊が舞台に展開される物語である。

で、話のほうは、新米白バイ警官の「本田木乃美」が、半泣きになりながら8トントラックの運転手に交通違反切符を切るところからスタートする。なにせ、タレ気味の大きな目でまんまるの顔。さらに中学で身長の伸びが泊まったのだが横幅はある「ぽっちゃり体型」とあって、残念ながら強面系ではなく、違反運転手からなめられてばかりである。もっとも、彼女は人並みはずれた「動体視力」の持ち主というおまけ付きではある。

続きを読む

横浜で起きる「連続火災」に隠された「謎」を解け ー 佐藤青南「灰と話す男 消防女子!!高柳蘭の奮闘」(宝島社)

前作「消防女子」では、男社会の中でのしごきや、酸素ボンベのエア抜き事件などを乗り越えて、父親譲りの「消防魂」を発揮して大型客船火災で大活躍をした主人公・高柳蘭であったが、横浜市湊区内で連続して起きる「火災」の原因究明に乗り出すのが今巻である。

 

【あらすじと注目ポイント】

物語の出だしは、四階建てマンションの家具とかなにもない部屋から火事がおこるシーンからスタートする。この火事で、蘭たちは、部屋に取り残された赤ん坊や、オタクの男などを救出するのだが、その火事の原因をめぐって、警察と消防とがいがみ合うという滑り出しである。

というのも、この湊区管内で二ヶ月内に42回の出動をしているのだが、そのうち、16件が半径1.5キロ圏内に集中し、出火原因すら明らかになっていないからで、放火を疑った警察が「マルツウ」を隔離して尋問を始めたため、同じく原因を調べている消防の方と軋轢が死生じた、という次第。この場面で、今巻の「敵役」として、いい味を出している神奈川県警本部の松永という刑事が登場するのだが、いかにも、といった悪役ヅラで登場するので、しっかり記憶にとどめておきましょう。この時、警察とあらそうのが、現場検証では凄腕の、蘭の父親の同僚・木場で、この人の通称が「灰と話す男」なんですな。
ちなみに「マルツウ」というのは、消防の隠語で「火事の通報者」のことであるらしい。

続きを読む

大規模客船火災に立ち向かう、新米女性消防士「蘭」に声援をおくろう ー 佐藤青南「消防女子!! 女性消防士・高柳蘭の誕生」(宝島社文庫)

女性進出が進んできて、多くの職業では女性の「就業比率」ではなく「女性の管理職比率」が話題になることのほうが多いのだが、未だに、その危険性などから女性の就業比率が少ない職業は厳然として存在する。それは、公務員の中では、消防、警察、自衛官といった職で、それぞれ職員総数に占める女性の割合は

消防 2.6%(H29.04.01)
警察 8.5%(H28.04.01)
自衛官 5.9%(H27年度末)
海上保安官 6.2%(H27年度末)

といった数値で、本書の主人公の職業である「消防士」は「女性の少ない職場」の代表といっていい状況である。
本書は、そんな「男社会」の中で、奮闘する新米・女性消防士の物語なのだが、けして「女性の成り上がり」物語ではなく、若い女性消防士が、火災への出動や救助活動を通じて成長していく物語である。元気な「蘭」の活躍に声援を送るうちに、こちらが元気づけられる物語でもある。

【構成と注目ポイント】

構成は

プロローグ
第一出場
第二出場
第三出場
エピローグ

となっていて、これだけ見ると味も素っ気もないのだが、まず、プロローグは主人公・高柳蘭の誕生のシーン。当直勤務の終わり頃に、妻が産気づいたという報せをうけた、蘭の父親・高柳暁がかけつけるあたりに若い父親の喜びを感じるとともに、主人公「蘭」の名前が、花の蘭の英語名「ファイアーウィード」に由来しているあたりが、「消防女子」の誕生を暗示していますね。

続きを読む

カルト教団内の事件に「西野」と、同級生の女性看護師が挑む ー 佐藤青南「行動心理捜査官 楯岡絵麻 セブンス・サイン」(宝島社文庫)

「行動心理捜査官 楯岡絵麻」シリーズの第7巻は、第6巻に続いての長編仕立て。
今巻の舞台は、新興宗教内部の殺人事件で、「猟奇」っぽい始まりなのだが、だんだんとカルト宗教の教団内における人間臭い事件となってきて。けして怪奇ミステリー仕立てではないので、そこのところはご了解ください。

そして、前巻で、絵麻の前に立ちはだかった占部元教授の「妄想」を吹き払うために、なじみのキャバクラ嬢の「ジャスミンちゃん」と共同で陽動活動を行ったのだが、彼女との仲は見事「玉砕」という結果となった、西野巡査部長なのだが、今巻では、高校時代の同級生・坂口琴莉と東京で再会する。彼女と新興宗教に入れあげている母親の犠牲になっている、脳腫瘍の女の子の救出を共同で試みたり、とか、やっと報われそうな予感がする今巻であるので、最後まで読んでみてきださいな。

【あらすじと注目ポイント】

事件は、多摩川の河川敷近くで、男女の二人連れが、痩せこけた男の死体を発見するところからスタート。男は今どき珍しく「餓死」していたもので、検死をすると「漆」を大量に飲まされていたことがわかる、という設定。

「漆を飲む」といったあたりで、猟奇殺人?と思ったのだが、本書によると「即身仏」になる時は、木の実や木の皮だけ食べて何年も過ごし、体からできるだけ筋肉や脂肪を落として、仕上げに「漆」を呑んで、嘔吐や発汗、利尿を繰り返し、身体から水分を抜く、という作業を行うらしい。

話の展開は、容疑者として検挙された信者二人に、絵麻が取調をするのだが、被害者を「浄めよう」としただけで、「殺そう」とは思っていなかった人への取調なので、さすがの「行動心理学」的アプローチも苦戦しがちである。
さらには、この二人へのマインドコントロールが発動して、自殺を試みるなど、いつもの捜査や取調とは勝手が違って、かなりの劣勢を強いられる。

続きを読む

「エンマ様」に行動心理学を知り尽くした”強敵”が出現 ー 佐藤青南「行動心理捜査官 楯岡絵麻 ヴィジュアル・クリフ」(宝島社文庫)

行動心理捜査官 楯岡絵麻」シリーズは、今まで短編ばかりであったのだが、この6巻目に至って初めての長編である。

しかも、「エンマ様」こと楯岡絵麻の「尖塔」のポーズを合図に繰り出される、行動心理学に基づいて、被疑者を「落とす」技は、今まで無敵であったのだが、今巻では、彼女の大学時代の恩師で、日本の行動心理学の権威でもあった「占部亮寛」という人物が、最大の強敵として登場する。

というのも、彼は、絵麻の捜査の重要参考人となるのだが、行動心理学の権威だけあって、絵麻が得意とする「マイクロ・ジェスチャー」や「なだめ行為」を出現させない方法も熟知しているので、絵麻たちの捜査も、今までの(行動心理学の)素人相手のようなわけにはいかない、という難局に直面し、捜査が撹乱される上に進まない、という事態に見舞われるのである。

【あらすじと注目ポイント】

今巻で起きる事件は、「ご長寿研究会」というチェーン店の葛飾立石店の店長・斉藤が、縛られた上、鈍器で何度も殴打されて死亡していたのが発見される、というもの。
「ご長寿・・」というところで胡散臭さを感じられた方も多いように、このチェーン店は、パンの無料配布などを誘い水に、最後は高額な健康器具や健康食品を買わせる、いわゆるSF商法(催眠商法)の店でである。
ちなみに「SF商法」の名称の謂れは、本書によると、この商法を最初に行ったとされる団体が「新製品普及会」というところで、その新製品の「S」、普及の「F」をとった命名とのことだが、真偽の程は別途調べてくださいな。

さて、本筋のほうは、この店長が殺された時間帯に、他の事件で指名手配されている凶悪犯を見かけたという目撃情報が相次ぎ、その線で捜査が始まるが、不審を抱いた絵麻が、その目撃情報が巧みに「操作」されて、記憶を塗り替えられてものと見抜くところからスタートする。

で、この情報操作に関わっていそうなのが、絵麻の師匠の「占部亮寛」という設定。
ただ、この占部元教授は、妻が自殺したのをきっかけに「行動心理学と縁を切る」といって大学も退官し、今は行動心理学と無縁の暮らしをしている上に、「ご長寿研究所」に入れあげて、そこの商品を大量に購入している状況。かつては「SF商法」を忌み嫌っていたはずの人が、一体どうして・・、といったのが、一つ目の謎。

そして、占部元教授は、この葛飾立石店に勤めている「敷島花音」という女性の紹介でしか商品を買おうとしておらず、しかも、SF商法の店は、店舗を次々と移転するのだが、店長の斎藤と敷島たち従業員が、前の店で営業しているときから続いている、というのが二つ目の謎。

続きを読む

警官の起こした事件の陰の哀しみを「エンマ様」が推理する ー 佐藤青南「行動心理捜査官 楯岡絵麻 ストレンジ・シチュエーション」(宝島社文庫)

行動心理官シリーズも5巻目となり、絵麻をはじめとした登場人物の役回りや得意技も明確になってきて、こなれたストーリー展開を見せている。

今回は、第一話目の被害者の子どもたちのストーリーが最終話まで並行して進むという、凝ったつくりになっているので、短編集ながらも、一つの流れにそれぞれの短編を包み込もうという筆者の努力が垣間見えますね。

【収録は】

第一話 信じる者はすくわれる
第二話 ホーム・スイート・ホーム
第三話 センターは譲れない
第四話 非家族の肖像

となっていて、それぞれの内容は、警官が起こした強盗殺人事件、マンションでの女子大生失踪事件、地下アイドルの殺人事件、ブラックな飲食チェーンの社長令嬢誘拐事件、といったもの。
初出は2016年かあるいは2017年ごろの書き下ろしで、この話のモチーフは。あの事件かな、と想像してみてもおもしろいかもしれない。

さらに、第一話の被害者の子どもたちのストーリーが、それぞれの短編に並行して描写されていて、収録は4話であるが5話分の厚みはありますね。

続きを読む

「エンマ様」の懸案の事件は、苦味とともに解決する ー 佐藤青南「行動心理捜査官・楯岡絵麻 ブラックコール」(宝島社文庫)

行動心理学を駆使して、口を割らない犯人の大脳辺縁系から真実を聞き出して、事件を解決していく美貌の女刑事・楯岡絵麻とその取調室の相棒・西野巡査部長の活躍を描く「行動心理捜査官」シリーズの第二作である。

【収録は】

第一話 イヤよイヤよも隙のうち
第二話 トロイの木馬
第三話 アブナい十代
第四話 エンマ様の敗北

となっていて、もちろん、それぞれの話が単話として楽しめるのだが、今巻の底流にあるのは、楯岡絵麻が刑事になったきっかけとなる「小平市女性教強姦殺人事件」である。グレていた楯岡を立ち直らせた、高校の恩師・栗原裕子が事件の犠牲になったものなのだが、時効を迎えた、この事件の解決に至るまでが、今巻を全体の隠しテーマとなっている。

続きを読む