コミック」カテゴリーアーカイブ

家康の”豊臣”を滅ぼす意思強まる。味方が減る中、織部正どうする ー 山田芳裕「へうげもの 20」

前巻までで、加藤清正が柳生の手によって雪隠詰めで殺され、福島正則も病にかかって隠居、さらには徳川方にありながら、豊臣方とも気脈を通じて天下を狙っていた長谷川長安もサウナ風呂で脳卒中で倒れるといった、織部に味方する有力者たちがどんどん表舞台から去っていき、織部の陣営もかなり劣勢になってきている。その劣勢の中、徳川と豊臣の合体を目指すも、あちこちで水がダダ漏れをはじめる気配が濃厚になる慶長17年(1612年)8月から慶長19年6月までが描かれるのが、この『 「へうげもの 20」(モーニングKC)』である。

慶長19年7月には、徳川家康が豊臣家にいちゃもんをつける「方広寺鐘銘事件」がおき、11月には「大阪冬の陣」が起こされているので、織部の念願というか最後の野望が崩れ落ちる前の、太陽が没する寸前、といったところかな。

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織部は「豊徳合体」を目指すも、時代は違う方向へ進んでいるようで・・・ – 山田芳裕「へうげもの 19」(モーニングKC)

前巻では、浮気をしたことが御台所のお江との仲を修復するため、織部のアドバイスをうけるがうまくいかなった秀忠と、加藤清正の切腹による説得に豊臣秀頼との面談を承知した家康と、徳川勢は、豊臣シンパの大名たちにちょっと押し負けた感じであったのだが、今巻ではそれを跳ね除けて「天下取り」へと進むために、徳川方が、着々と障害物を片付けいてく展開となっている。

描かれるのは1611年1月から1612年8月までで、大坂冬の陣のほぼ2年前。1612年4月には、江戸、京都、駿府などの徳川幕府の直轄地に対してキリスト教の教会の破壊と布教の禁止を定めた禁教令が布告され、1612年5月には、最後のキリシタン大名・有馬晴信が切腹を命じられるなど、豊臣秀吉の時代のきらびやかさは姿を消そうとしていますね。

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新潟から山形へ。マリーズからの不穏な手紙の内容は? ー 佐々大河「ふしぎの国のバード 4」(ビームコミックス)

イザベラの旅は、新潟にしばらく滞在し、そこから越後街道を経て山形へ。さらには山形から青森へと向かっていくのだが、本巻は新潟から山形までの道中が描かれる。旅の記録以外に、イザベラの通訳・伊藤が前の雇い主のチャールズ・マリーズに出会った時の回想譚と、英国公使・ハリスの妻・ファニーが日本に訪れている英国・米国の実豪華たちを翻弄する様を描いたエピソードが描かれる。

チャールズ・マリーズは、凄腕のプラントハンターという設定になっっているのだが、実在の人物で1877年と1878年に日本に滞在し、北海道を中心に植物の種子、昆虫を集めていますね。で、この「プラントハンター」という職業、17世紀から20世紀中頃にかけてヨーロッパの活躍した職業で、食料や香料・繊維等に使われる植物や観賞用植物の種子を探して世界中を旅して集めて回っていた人々なのだが、日本でも最近では「情熱大陸」にもでた西畠清順さんが有名ですね。そういえば、ゴルゴ13にも「種子探索人」という、チベットを舞台にしたプラントハンターを扱ったのがありましたね。

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戊辰戦争の戦禍は残る。「会津」と「津川」の違いが悲しい。 ー 佐々大河「ふしぎの国のバード 3」(ビームコミックス)

第3巻では、会津の大内宿を経た、阿賀野川と常浪川の合流点にあって「雁木」の発祥の地である「津川」から阿賀野川を船で下って新潟へと向かう旅が描かれる。


イザベラが日本を旅した1878年は、幕末の戊辰戦争の一つであった「会津戦争」が起きた1868年から10年を経過した頃なのだが、戦禍による荒廃と新政府への恨みがまだ残っていた「会津」から、江戸時代は天領で、当時は開港地の一つとして栄えていた「新潟」へと至る道中もだんだんと明るい感じになっていくのが、新政府によってもたらされた、当時の格差を感じさせられますね。もっとも、「会津の悲哀」は当時だけでなく、東日本大震災後の原発事故でも見え隠れしていたのかもしれませんが。

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湯治場の混浴や道陸神、イザベラは日本の奇習に出会った ー 佐々大河「ふしぎの国のバード 2」(ビームコミックス)

第一巻では、主人公のイザベラ・バードが横浜に入港し、北海道(蝦夷)を目指して出発。途中、日光で宿屋の娘の、当時の成人式にあたる「髪上げ」に立ち会ったところで終わっていたのだが、今巻は、その日光から鬼怒川を北上して、会津道を進み「会津」までの旅が描かれる。

本書中にもあるのだが、当時、江戸から蝦夷へ北上する場合、蝦夷へ船で渡る地である「青森」を目指すのであれば太平洋側を行く「奥州街道」を行くのが一般的であったらしく、イザベラ・バードが旅したように、江戸ー日光ー新潟へ進み、さらに新潟から山形ー久保田ー青森へと進むルートは異例で、しかも、新潟に行くにしても、長岡藩などの大名の参勤交代や佐渡奉行などの幕府の役人の赴任につかわれ三国街道を通るのが普通であった。

その点で、イザベラの旅は異例中の異例のもので、その分、旅も困難であったとともに、エピソードも満載であったろうと想像される。


本書中でも、通訳の伊藤が道中の道陸神(村境に立てる厄除けの神様。男女で対らしい)を始めてみて驚くあたりは、その一つですかね。

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江戸から日光へ、極東・日本の秘境の旅が始まる ー 佐々大河「ふしぎの国のバード 1」(ビームコミックス)

19世紀のイギリスの女性旅行家で、明治初期、当時は欧米人にとっては極東の未開地であった日本を旅した「イザベラ・バード」の旅行記を底本にして、彼女の旅の姿と日本の原風景をマンガ化したのが本作である。

バードは1878年6月から9月にかけて、日光から新潟を経て北海道に至る北日本の旅と10月から神戸、京都、伊勢、大坂を旅しているのだが、ひとまずは江戸からのスタートである。

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プリニウスはアフリカへ、ネロはローマ。物語は二つに引き裂かれる ー ヤマザキマリ、とり・みき「プリニウス 6」

ネロはローマに留まり、プリニウスはアフリカへ、ということで、物語はここで大きく二つの流れになっていく。二つに分かれる物語の様子を反映しているかのように、プリニウスのほうは、地中海の青い海を経て、太陽の照りつける白い砂漠の中を行くに対し、ネロのほうは、明るく見えて実は陰の多い街なかでの物語の展開である。

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そしてプリニウスの旅は「アフリカ」を目指す ー ヤマザキマリ、とり・みき「プリニウス 5」

ポンペイで地震にあってローマへ引き返し、しばらくは動きがないのかな、と思いきや、あちこちを旅してきた商人の話に触発されたのか、再び旅に出るプリニウス一行である。

今回の旅は、いままでのイタリア半島の中、つまりはローマ帝国のど真ん中だけではなく、エジプトも含めたアフリカなどの「属州」まで足を伸ばす、当時の「大旅行」である。

一方、正妃・オクタヴィアを殺害した後、ポッパエアは精神状態があまりよろしくない様子なのであるが、今巻の女性のメインキャストは、彼女ではなくて、水道技師や羊毛業を営むローマの「元気で気の強い」女性たちである。

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カンパニアの地震からプリニウスは助かるが、ローマの闇はもっと深くなる ー ヤマザキマリ、とり・みき「プリニウス 4」

前巻でローマの悪い空気を避けて、南方で旅に出たプリニウス一行は、カンパニアで、温泉が急に湧いたり、羊が大量死したり、といった現象に出逢い不審に思っていたところ、ポンペイで大地震に見舞われるのが今巻のはじまり。

水道が壊れて水を求めて多くの人が争ったり、肉親が瓦礫の下になって呆然としている人があふれていたり、と災害の被害は昔も今とかわらず相当なものであるのだが、商売を続けるために近くの宿屋とそこにいるロバや馬を独占しようとする毛織物商人といった風景はちょっと今では想像もできないところであろう。

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プリニウスたちの再びの旅を「火山」が待ち構える ー ヤマザキマリ、とり・みき「プリニウス 3」(バンチコミックス)

ローマに帰還してから鬱屈が貯まるとともに、持病の喘息も悪化してきたプリニウスが、フェリクスを伴に、再びローマを離れて旅にでるのが今巻。

旅する方向は「カンパニア」の方向とあるので、今でいえばナポリの方向である。ナポリの近くには火山噴火の火砕流で滅んだ「ポンペイ」があり、この物語の底に流れる「ヴェスヴィオ火山の噴火」が時折顔をだす展開ですね。

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