森谷明子

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田舎の図書館に起こる「ほんわり」とした謎の数々 ー 森谷明子 「れんげ野原のまんなかで」(創元推理文庫)

最近、流行のミステリーは、心理サスペンス的にちょっと陰惨なところがあるものが多いのだが、そうした中で、ほっとさせる風合いのミステリーがこれ。舞台は、秋庭市という中小地方都市(雪の降り具合とかを考えると南東北か北陸あたりかと勝手に推測。)のこ...
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秋葉図書館の人間模様 ー 森谷明子「花野に眠る」(東京創元社)

<br/><br/>東京の郊外、秋葉市の秋葉図書館を舞台にした図書館ミステリーの第2弾。今回の構成は第一話 穀雨第二話 芒種第三話 小暑第四話 白露第五話 寒露となっていて、それぞれが独立した話で秋葉図書館の寄贈者であった秋葉家...
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泉にまつわるストレンジ・ストーリー ー 森谷明子「七姫幻想」(双葉文庫)

<br/><br/>「七姫」の謂れは、織女の7つの異称、秋去姫、朝顔姫、薫姫、糸織姫、蜘蛛姫、梶葉姫、百子姫であるらしい。そのあたりを受けて、収録はささがにの泉秋去衣薫物合朝顔斎宮梶葉襲百子淵糸織草子となっていて、それぞれが独立...
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「都」という魔性の存在 ー 森谷明子「葛野盛衰記」(講談社)

<br/><br/>この物語をミステリーととらえるかどうか微妙なところであるが、古代に京都府にあった郡で、区域の一部が平安京になっているところ葛野あるいは葛野郡を舞台にした、いかにして「京都」あるいは「平安京」は「都」となり、「...
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平安時代の女房生活の追体験という不思議な読み心地 ー 森谷明子「白の祝宴ー逸文 紫式部日記」

<br/><br/>「千年の黙 異本源氏物語」で大胆にも、紫式部の源氏物語の創作秘話として「かがやくひのみや」の帖がなぜ失われてしまったか?をとりあげ、「古典」も時代ミステリーになるんだと驚かせてくれた、森谷明子氏の「源氏物語ミ...