時代小説・歴史小説

宮部みゆき

ネタバレあり「猫の刻参り 三島屋変調百物語拾之続」(宮部みゆき)

江戸は神田三島町にある中堅どころの袋物屋・三島屋の「黒白の間」で、語り手一人、聞き手一人、襖ごしの立会人一人をキャストにして、出入りの口入れ屋が紹介してくる語り手の持ち込む奇妙な話を効き続ける変わり種の百物語「三島屋変調百物語」の第十弾。嫁...
時代小説・歴史小説

江戸のメディア王、緊縮の時代に抗う=谷津矢車「蔦屋」【ネタバレあり】

江戸時代の寛政年間、遊里・吉原のガイドブックである「吉原細見」で大当たりをとり、その後、狂歌本にはじまって、世の中を風刺した黄表紙や役者絵を出版し、江戸屈指の地本問屋を立ち上げた、江戸の「メディア王」ともいえる初代の「蔦屋重三郎」の半世紀を...
時代小説・歴史小説

明治維新を看取った「幕末の志士」の物語=谷津矢車「ぼっけもん 最後の軍師 伊地知正治」

徳川幕府と薩摩・長州の官軍が激突した戊辰戦争・鳥羽伏見の戦いで、自軍より3倍の勢力の幕府軍を撃破。さらに明治政府を揺るがした西南戦争ではいち早く西郷軍の敗北を予告し、「類稀なる軍略家」と呼ばれた伊地知正治とその三人の弟子を通じて、新政府側か...
井原忠政

想い人と別れ、江戸入りした茂兵衛は東北の九戸政実の反乱鎮圧へ向かう=井原忠政「奥州仁義 三河雑兵心得13」【ネタバレあり】

三河の国の、まだ小国の領主であった松平(徳川)家康の家臣団の最下層の足軽として「侍人生」をスタートさせた農民出身の「植田茂兵衛」。吹けば飛ぶような足軽を皮切りに、徳川家康が大大名となっていくのにあわせて、槍から鉄砲に武器を持ち替えて出世街道...
井原忠政

与一郎は秀吉配下の「馬廻衆」となり、長篠で武田武者を射落とす=井原忠政「長島忠義 北近江合戦心得(三)」

織田信長に攻め滅ぼされた近江の戦国大名・浅井長政の家臣で弓の名人であった主人公・遠藤与一郎が、主家の滅亡後、信長の家臣・豊臣秀吉の足軽となり、浅井家再興のために、心ならずも信長の天下統一に力を貸していく、お家再興物語「北近江合戦心得」シリー...
時代小説・歴史小説

浮世絵師の始まりと終わりの物語=梶よう子「吾妻おもかげ」「ヨイ豊」

「広重ぶるう」「北斎まんだら」では、浮世絵最盛期の浮世絵師や彼らを取り巻く版元、家族・弟子たちが描かれていたのですが、その浮世絵の栄枯盛衰には始まりと終わりがあるのは当たり前のことで、その始まりとなった徳川初期の浮世絵師・菱川師宣と、浮世絵...
井原忠政

茂兵衛は北条攻めに従軍し、北条氏規の命を助ける=井原忠政「小田原仁義 三河雑兵心得」

三河の国の、まだ小国の領主であった松平(徳川)家康の家臣団の最下層の足軽として「侍人生」をスタートさせた農民出身の「茂兵衛」。吹けば飛ぶような足軽を皮切りに、侍としての出世街道を、槍一本で「ちまちま」と登っていく、戦国足軽出世物語の第十二弾...
宮部みゆき

おちかの安産祈願のため休止中の「変調百物語」が再開=宮部みゆき「青瓜不動 三島屋変調百物語九之続」

神田三島町にある袋物問屋「三島屋」の黒白の間で不定期に行われている「変調百物語」。語り手が一人で、聞き手も一人で、語られる話も一つだけ。「語って語り捨て、聞いて聞捨て」を基本において、その場限りで語って重荷を下ろし、聞いてその場で忘れるとい...
上田秀人

徳川信康と築山殿の処刑の原因は「一向一揆」?=上田秀人「継ぐ者」

徳川家と武田家とのし烈な戦いが行われている最中におきたのが、徳川家康の跡取りとして、織田信長の娘・五徳を妻女にもらい、勇猛果敢な武将として知られた「徳川信康切腹事件」です。武田家の陰謀とも、織田信長の徳川家の勢力を削ぐための策略、あるいは徳...
井原忠政

浅井の遺臣・与一郎は越前国崩壊と長島の殲滅戦を目撃する=井原忠政「長島忠義 北近江合戦心得二」

織田信長に攻め滅ぼされた近江の戦国大名・浅井長政の家臣で弓の名人であった主人公・遠藤与一郎が、主家の滅亡後、信長の家臣・豊臣秀吉の足軽となり、浅井家再興のために、心ならずも信長の天下統一に力を貸していく、お家再興物語「北近江合戦心得」シリー...