篠綾子」カテゴリーアーカイブ

あくどいライバル・氷川屋に経営危機勃発。なつめの慕う「菊蔵」の運命は ー 篠綾子「ほおずき灯し」

徳川綱吉の時代を舞台にして、駒込の菓子屋・照月堂を舞台に、京都で御所侍をしていた両親と兄を火事で失い、江戸の了然尼のもとに身を寄せながら、女性職人見習いの「なつめ」の歌詞職人修行を描く「江戸菓子舗照月堂」シリーズの第6弾。

前巻で菓子勝負での冷や汗ものの勝利を収めた照月堂のライバル氷川屋から引き抜きのアプローチを受けて、悩みながらも、照月堂へ残留することを決めた「なつめ」は再び菓子修行に励むのだが、行方不明の兄の「怪しげな」情報が出てきたり、氷川屋の商売の足元がすくわれる事態がおきたり、といった新展開があるのが第6巻「ほおずき灯し」である。

【構成と注目ポイント】

構成は

第一話 ほおずき灯し
第二話 松風
第三話 女郎花
第四話 喜久屋の餡

となっていて、まず第一話の「ほおずき灯し」は、照月堂の子どもの亀太郎のお話。彼は佐和先生というかなり厳しい武家上がりの女性師匠の経営する寺子屋に通っているのだが、そのお師匠さんが育てている「ほおずき」が見事な大ぶりの実を実らしている。それをこっそり見にいった亀次郎は、そこで同級生の悪ガキと遭遇し、彼ともみ合っているうちに、そのほおずきの実がもげてしまい・・・、といった展開。若干、説教臭い筋立てではあるのだが、まあ、安心して読める人情物ですね。

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「なつめ」にヘッドハンティングかかる。さて、どうする ー 篠綾子「びいどろ金魚 江戸菓子舗照月堂5」(時代小説文庫)

 

江戸で女性菓子職人を目指す京都生まれの少女「なつめ」の姿を描く「江戸菓子舗照月堂」シリーズの第5弾。
菓子職人としては修行を始めたばかりで腕はまだまだながら、照月堂vs氷川屋の菓子勝負では主人の補助役をしっかり務めたり、と存在感を増してくるとともに、氷川屋の娘・しのぶとも仲良くなって、ますます修行に励みがかかっていく。

 

ただ修行に専念しようとするとあれこれトラブルが起こるのはこのシリーズの常で、職人のヘッドハンティングが過熱したりやら京都で修行中の安吉の意外な才能が発見されたり、と盛りだくさんな筋立ての本巻である。

 

【構成と注目ポイント】

 

構成は
第一話 桔梗屋桜餅
第二話 菓子職人の道
第三話 びいどろ金魚
第四話 水無月
となっていて、前巻で幕府歌学方の北村季吟・湖春親子から注文のあった菓子は、試験にパスしたようで、照月堂は北村家の「出入り商人」になるのがスタートのところ。

 

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「なつめ」は「しのぶ」の憂いを晴らすことができるか ー 篠綾子「しのぶ草 江戸菓子舗照月堂4」(時代小説文庫)

京都の青侍の娘ながら、実家の両親が急死し、兄は行方不明という苦難にあった少女「なつめ」が、江戸へ出て女性菓子職人の途をめざす姿を描いた「江戸菓子舗照月堂」シリーズの第4弾。

前巻までで菓子職人に見習いとして主人の補助をすることを認められ、さらには、商売敵の娘ではあるのだが、菓子愛で共通する「しのぶ」という友人もできて「リア充」状態の「なつめ」であったのだが、ライバル氷川屋が、照月堂・辰巳屋潰しの策を本格的に可動し始め、一挙に商売戦争の気配が強まってくるとともに、友人・しのぶとの仲も心配になってくるのが本巻である。

【構成と注目ポイント】

構成は

第一話 鬼やらい団子 第二話 うぐいす餅 第三話 しのぶ草 第四話 六菓仙

となっていて、前巻では、露寒軒のおかげもあって、うまい具合に照月堂と辰巳屋で「たい焼き」のシェア分け合いに成功して万々歳と思っていたのだが、ライバルの大手菓子舗・氷川屋が、「たい焼き」の屋台での販売を開始し、一挙に商売戦争に突入する。

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「なつめ」は職人修行開始。一方で商売敵は陰謀の手を密かに伸ばし始めて・・ ー 篠綾子「親子たい焼き 江戸菓子舗照月堂3」(時代小説文庫)

前巻で菓子勝負の手伝いに抜擢され、見事その任を果たした「なつめ」が菓子職人見習いとして、厨房で正式に修行を開始するのが今巻。
修行は、餡づくりの小豆を煮るという初歩の初歩からなのだが、菓子作りの修行が許された、というところで、嬉しくてしょうがない「なつめ」の菓子職人への第一歩が始まる、といったところ。
さらには、「菓子」愛が共通する友人もできて、「リア充」満喫の「なつめ」なんであるが、「照月堂」と弟子の辰次郎の「辰巳屋」のところへは、シェアナンバーワンの維持を量る「氷川屋」の陰謀の手も伸びてきて、といった感じの、波乱含みの展開が本巻である。

【構成と注目ポイント】

構成は

第一話 おめでたい焼き
第二話 柿しぐれ
第三話 みかん餅
第四話 親子たい焼き

となっていて、なつめが厨房に入ったところで、久兵衛の訓示っぽいところからスタート。

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「菓子勝負」を機に女性菓子職人への道を切り拓け ー 篠綾子「菊のきせ綿 江戸菓子舗照月堂2」

父母が殺された上放火、たった一人の兄は行方知れずという不始末で、京都公家に仕える実家が取り潰され、江戸に了然尼のもとにひきとられた少女「なつめ」が菓子職人をめざす物語「江戸菓子舗照月堂」シリーズの第二弾である。

前巻では、前例がないた菓子職人の修行が許されなかったため、子守として照月堂に雇われた「なつめ」であったのだが、職人をめざす気持ちは変わらない。しかし、松月堂には、いい加減な性格で腕も悪いのだが、菓子の名店・氷川屋のもと職人・安吉が雇われてしまい、職人の空席は埋まってしまった。さあ。「なつめ」の夢はかなうのか・・、といった展開が今巻の幕開けである。

【収録と注目ポイント】

収録は

第一話 養生なつめ
第二話 黒文字と筒袖
第三話 非時香菓
第四話 菊のきせ綿

の四話。

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江戸時代のパティシエを目指す娘の奮闘物語はいかが ー 篠綾子「望月のうさぎ 江戸菓子舗照月堂1」

女性が主人公で食べ物がテーマの時代小説となると、たいていは居酒屋、料理屋、一膳飯屋というところが多くて、職人の世界、しかも「和菓子」の世界というのはそうそうはお目にかかれない。

現代では女性の菓子職人やパティシエというのは珍しくなくなっているのだが、男女の区分や女人禁制の部分が多く、菓子作りが鍋や機材の持ち運び、餡や生地の込めあげなど今より力作業が必要であった江戸時代の中期を舞台にした「女性和菓子職人」の物語が本書『篠綾子「望月のうさぎ(時代小説文庫)』の「江戸菓子舗照月堂」シリーズである。

主人公は、京都の公家の仕える侍の家に生まれた「なつめ」という少女が、父母の急死と兄の失踪という事件を経て江戸へ行き、菓子職人の途へ進んでいく物語なのだが、よくある成り上がりものと違うのが、「菓子職人になるのが幼い頃からの念願」といったわけではなく、京都で好きな菓子を存続させたかったから、というのが少々変わり種のスタートである。

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「和歌」がアイテムの変わり種時代小説はいかが ー 篠綾子「代筆屋おいち」シリーズ

その時代小説の世界に浸れるかどうかは、その舞台設定はなじみのものであるか、あるいは自分の経験の範囲外にある目新しいものであるか、といったところが肝になることが多いのだが、このシリーズの主人公は、田舎から家出してきた娘が「代筆屋」を始める、といったところと、「和歌」が謎を解いたり、物語を進める上でのキーワードになっているところが特徴である。

【構成と注目ポイント】

第一巻「梨の花咲く」の構成は

 第一話 歌占師
 第二話 子故の闇
 第三話 春の雪
 第四話 ま幸きくあらば

となっていて、「おいち」という娘が、恋人の「颯太」を追って、下総の真間村(今の千葉県市川市のあたりですな)から家出してくるところからスタート。「おいち」は母親が駆け落ちした上での子供であるので、実の祖父からは疎まれていて実家にも居づらくなった上に、恋人が突然の失踪をしてしまった、という設定である。

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