カテゴリー別アーカイブ: モチベーション

ホイッスルが鳴りそうでも、守りから攻めへ転じるメンタルが「逆転」の秘訣

先だって、とある書籍の出版会で、地方のJリーグ・チームの代表をしている方と一緒になったんだが、その方が、ワールドカップの日本☓ベルギー戦の勝敗を分けた原因は

 

・本田選手がコーナーキックを蹴る時、ベルギー側は「これで一点いれられたら終わり」と守備を固めたはず。

 日本側はここで「点を是が非でもいれたい」と攻撃寄りのシフトだったと思う。

・コーナキックがベルギーのキーパーにキャッチされた後、両チームの違いがでたのは、ベルギー側がすぐさま攻撃の体制にはいったこと。少なくともそこで3人は日本側ゴールへ向けて動いていた。

・この後、日本はベルギーにカウンターを決められるのだが、あとワン・ホイッスルでおそらくは試合終了という場面で、すぐさま攻撃の体制へ移ることができたか、すぐさま守備の体制へ組み替えることが出来たか、という一瞬にかける気持ちの差がでたように思う。攻撃と守備が一瞬で入れ替わるサッカーというスポーツの特徴的な面がでた。

 

という話が披瀝された。

 

当方はサッカーは門外漢なので、この試合の論評として、この説が良いのかどうかってなことはわからないのだが、攻撃と守備が入れ替わり続ける、あるいは攻撃と守備が渾然としているビジネスの現場でも同じことであろう。

 

特に、コーナーキックでゴールを狙ったボールを、キーパーがおさえた後、ホイッスルがなってもおかしくない時間状況の中で、ホッとすることなく相手方ゴールを向かって走り出すというアグレッシブなメンタルは、なかなか真似のできないことではあるが、爪の垢でも煎じて呑みたいところである。

どうすれば、こうしたメンタルがつくれるのか、と考えたのだが、

①「執着心」を持つこと

②「反射的・自動的に動く」システムをつくる

ことが秘訣であるように思える。

一番目については、ゴールをとにかく目指すという動機づけがきちんとされていて、さらに、強いモチベーションを持つことは、課題達成の必須条件であるから「執着心を持つ」という点では誰も異論はないだろう。

二番目に「反射的・自動的な仕組み」をあげたのは、およそビジネスにしろ、スポーツにしろ成功や勝利を目指している組織・チームはどれもがレベルは違いこそすれ、「執着心」は当然、持っているのは間違いない。ただ、万事休すか、あるいは試合終了か、といった場面で相手ゴールに向けて動けるかどうかは、執着心の多い少ないではなく、攻撃のチャンスが来たら、時間切れかどうかといった理知的な判断より先に、反射的に動くかどうか、ということが成否を決めていると思うからである。

いかに、技術を磨き、戦法を洗練させても、適切な時期に発動されなくては意味がない。「理性」が必要な場面と「反射」が大事な場面、ここらをしっかり踏まえておくことが必要なんでありましょうね。

ゲーテの言葉に託して人生を語る — 斎藤孝「座右のゲーテ 壁に突き当たったとき開く本」(光文社新書)

「座右のゲーテ」「「座右のニーチェ」「座右の諭吉」の「座右」三部作の一つ。本書は、ゲーテの名言や言葉を引用して、それにもとに、人生や仕事などの様々なアドバイスをするという形式で、これは、このシリーズ共通の手法である。
構成は
Ⅰ 集中する
 1 小さな対象だけを扱う
 2 自分を限定する
 3 実際に応用したものしか残らない
 4 日付を書いておく
 5 完成まで胸にしまっておく
 6 実際的に考える
Ⅱ 吸収する
 7 最高を知る
 8 独創性などない
 9 独学は避難すべきもの
 10 自分だけの師匠を持つ
 11 「素材探し」を習慣化する
 12 使い尽くせない資本をつくる
Ⅲ 出会う
 13 愛するものからだけ学ぶ
 14 豊かなものとの距離
 15 同時代、同業の人から学ぶ
 16 性に合わない人ともつきあう
 17 読書は新しい知人を得るに等しい
 18 癖を尊重せよ
Ⅳ 持続させる
 19 先立つものは金
 20 儀式の効用
 21 当たったら続ける
 22 他人の評価を気にしない
 23 異質なものを呑み込む
 24 邪魔の効用
Ⅴ 燃焼する
 25 現在というものに一切を賭ける
 26 計り知れないものが面白い
 27 感情を生き生きと羽ばたかせよ
 28 詩的に考える
 29 過去に執着しない
 30 青春のあやまちを老年に持ち込むな
 31 年を取ったら、より多くのことをする
となっていて、人文系の天才で、情熱家でも知られた「ゲーテ」を材料にとっているだけあって、本書のアドバイスの守備範囲もかなり広い。
ここで注意したいのは、この種の箴言本の読み方で、Amazonのレビューで、「本書の内容が、本当にゲーテの言いたかったことであるのか疑問」と言う向きもあるのだが、それはこうした「箴言」をネタにした本のお決まりで、あくまで「ゲーテの言葉の齋藤孝氏流の解釈」であることに間違いはなく、そういうものと思って、斎藤流「解釈」を、読者の側でさらに咀嚼して読むべきものであろう。
そうした目でみると
ゲーテは、自分の得意なこと、専門的なことを限定することによってパワーを生み出すことができると考えていた
であったり
天才と言われている人たち、もっとも独創的な人たちの幼少期を見れば、恐ろしい量を学習している、・・要するに世界でいちばんものすごい量を勉強した人間が独創的な仕事をしているだけ
や、
前の時代を技術的に超えられないというのはかなり恥ずかしいことだ。・・個性を言い訳に、基礎や基本という根から吸収することを軽んずる傾向は、やはり現代人が弱くなっている証拠でもある
といったところには、斎藤氏のオーソドクスな視点は随所に健在で、その意味でゲーテの言葉を使いながら、基本をおさめることの重要さ、一つの道を究めることの大事さを改めて指摘しているものでもある。
そして、それは仕事の手法についても同様で
異なる時代、異業種こそが刺激の宝庫である。芸術の場合は特にそうかもしれないが、普通のビジネスにおいても言えることだ。同業の人間は、同じようなことを考えがちだ。・・・むしろ、様々なアイデアがせめぎ合い、活性化している異業種からヒントを見つける方が早道だと私は思う
としつつも、
勝っているときはやり方を変えない。これは勝負に勝つ鉄則だ。アレンジを加えてもかまわないが、自分の基本の勝ちパターンは動かさないというのが重要だ
というあたりに、ゲリラ的な戦闘ではなく、隊列を組んで攻め込む正規軍の戦いが筆者は好みなのかな、と思うところである。
もっとも、蛇足ながら
本当にいいものをつくることができた場合は、この「力を誇示したい欲望」を抑えることも必要だ。・・・人から、あいつは凡庸だ、いつも同じことをやっていると言われることは、才能のある人ほど苦痛なものなのだが、批判に耐えるだけの神経の太さがほしいところだ。次々と新たな題材に手を出していって、せっかく見つけた大きな漁場を逃している人も多く見かける
現代は、新しいものを次々世に出す人が才能豊かだと見なす社会だ。しかし、苗木を大樹に育て、ずっと大量の実を採り続けることも重要である
といったところに、勤め人の中には、一つの道を極めようとしても、便利使いされて、その才能をあちこちの分野に拡散させられることもあるんだけどね、と少々愚痴も言っておきたい。
さて、こうしたアドバイスも若者だけに向けたものではないことが、本書の最後の方で
年を取ってエネルギーが落ちてくると、懐古的になり自分の未来を愛せなくなる。そうならないためには、年を取ったらより多くのことをして、自分自身を更新していくことが大切だ。
また、人は年をとると「何かを始めるのはもう遅すぎる」という考え方をしがちだ。・・・しかし考えてみれば五十歳からの人生は結構長い。「人生二毛作」は十分可能だ。あとは時間を編纂に費やすしか無い人生というのは、ゲーテの言う通り、あまりに悲しい。
と明らかになる。人生100年時代に、繰り言ばかりを言っていないで、頑張れ、といった、ゲーテに託した全ての世代への筆者のエールでありましょうか。

「自己限定」を取り払えば、大概のことはできるものらしい

田坂広志氏の「知性を磨く」は先だってレビューしたところ(スペシャリスト偏重の風潮に物言いをつける — 田坂広志「知性を磨くー「スーパージェネラリスト」の時代」(光文社新書))なのだが、そこで、盛り込めずに、そのまま気になっているところがある。
それは「自己限定」ということ。
で、「知性を磨く」から、「自己限定」に関連したところを引用すると
「人間は、歳を重ねると、肉体だけでなく、精神もエネルギーが衰えていく・・・」
我々は、意識と無意識の境界で、このような「固定観念」を抱いている。
しかし、実は、それは、「思い込み」と呼ぶべき「固定観念」にすぎない。
我々が意識と無意識の境界で抱いている「人間の精神は、歳を重ねると、しなやかさや、軽やかさを失っていく」という強固な「固定観念」によって、実際に、我々の精神は、歳を重ねるに従って、しなやかさや、軽やかさを失っていく
あるいは
「七つのレベルの思考」(「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「技術」「人間力」を身につけるのは、実は、それほど、難しくない。
ただ一つのことを行うだけで、この「七つのレベルの思考」が、身につき始める。
何か?しかし、こう述べると、読者から、疑問の声が挙がるかもしれない。
「自己限定」を捨てる。
我々は、無意識に、自分の志向を、自分が得意だと思っている「思考のレベル」に限定してしまう。そして、その「自己限定」のために、自分の中に眠る「可能性」を開花させることができないで終わってしまう。
といったあたり。当方のように定年が近くなると、様々なリミッターがあちらこちらに出没してくるのが事実。
とりわけ、強敵のリミッターは「年齢(とし)なので」ということと、本書でも取り上げられている「自分はもともと〇〇屋だから」といったところで、この本のアドバイスは、できるできないにかかわらず、とても嬉しいアドバイスである。
もちろん、リミッターを外すための方法論は別途あるのだろうが、一番大事なのは、本書によれば、「心の持ち方」であるように当方は受け取った。というのも、多くのリミッターは、自分自身が傷つくのが怖くて自ら減速してしまったり、自分の能力を「〇〇屋」ということで定義づけして、走ることを事前に回避することであるように思うのである。
年齢のせいにせず、まず走れ、ということでありますかな。





ガンガン前へ進んでいける劇薬的特効薬ですな — 堀江貴文「本音で生きるー一秒も後悔しない強い生き方」(SB新書)

堀江貴文さんという存在は、当方的には、アドバイスを生かす所、人生のどう行く局面で、「堀江氏」という薬を使うかということで、好き嫌いと効用の具合がはっきりしているように思う。

当方は、不遇感に苛まれている時とか、世間の低評価にしょげそうになっているときに、結構効き目がある「劇薬」で、場合によっては、生き方の体質改善効果をもたらすことすらある。

構成は

序章 なぜ、本音で生きられないのか

1章 言い訳をやめる

2章 バランスをとるな

3章 本音で生きられない理由は「自意識」と「プラウド」である

4章 すべてを最適化せよ

5章 本音で生きるために必要なこと

となっていて、表題をみるだけで、結構乱暴な処方箋であることが理解できるだろう。

その幾つかをレビューすると

誰かがあなたについてどう思おうが、それは自分の問題ではなく、相手の問題だ。  他人が誰を嫌おうと、何を考えようと、それはあなたの人生にはかかわりのないことだ。  一刻も早くそれに気づいて「放っておく」

とか

実現可能性をまず考えて尻込みするような人間は、リスクをとらないこと自体が最大のリスクだということに気づいていない。  こうして結局、小利口な人ほど、成功から遠ざかる。

といったあたりは、世間的な常識をゴンと壊すような音が聞こえて小気味いい。

かといって乱暴な言説ばかりかというと、そうではなくて

僕が見るところ、たいていの人は得意でないことまで無理に自分でやろうとして、パンクしてしまっている。あるいは、自分の持っているスキルや資格にこだわりすぎて、それに関係した仕事は全部自分でやらなければいけないと思い込んでいる。  自分がすべき本当の仕事、自分の持つ「コアバリュー」が見えなくなっている

自分のコアバリューが何かなど、頭で考えていてもわかりはしない。スキルや資格があるからといって、それがコアバリューとは限らないのである。

まずは、やりたいと思うことはすべてやろうとすること。そして、自分一人ではどうしようもなくなった時に、人に仕事を任せていき、そぎ落としたあとに残ったものがあなたのコアバリューだ。

とか

自分の意見をうまくアウトプットできないと悩む人もいるが、それはたんにインプットしている情報量が足りていないだけだ。インプットの量とスピードを増やせば、自然とアウトプットの量やスピードも増え、自分なりの考察が自然と湧き出てくるようになる。頭を使うべきは、自分の考察をどうひねり出すかではなく、インプットの量とスピードをいかにして向上させるかなのだ。

といったあたりは、ネットビジネスの世界に大旋風を巻き起こした、異能の経営者の姿が垣間見える。

続きを読む