朝井まかて

朝井まかて

悪逆の犬公方・綱吉の本当の姿は・・ー朝井まかて「最悪の将軍」

生類憐れみの令や、一度は決着していた高田騒動の蒸し返しをしたり、あるいは、老中を遠ざけて専制型の側近政治を展開したり、といろんなところから批判されることの多い犬公方こと徳川幕府の第五代将軍「徳川綱吉」公を、真面目で野蛮なことが大嫌いな将軍と...
朝井まかて

江戸の庶民の八つの「人情話」 ー 朝井まかて「福袋」(講談社文庫)

「ちゃんちゃら」や「すかたん」で江戸時代の庶民の生き生きとした姿を描いた筆者が、十二代将軍・徳川家斉の大御所時代から、彼の死後の老中・水野忠邦による天保の改革の引き締めの時代、そして締めすぎて失敗する時代へと続いた世の中の華美がとんでもなく...
朝井まかて

江戸城無血開城のとき、大奥は ー 朝井まかて「残り者」

歴史の視方というものは、どうしても勝者側から見たものが中心となるもので、それは「幕末」でも同じで、薩長側、倒幕の浪士側から描かれたものが多く、幕府側から描かれるのは、新政府に悲劇的な敗北をした「会津」であるとか「長岡」といった佐幕の諸藩のも...
朝井まかて

若き江戸の「庭師」が、庭を使った悪事をぶっ潰す ー 朝井まかて「ちゃんちゃら」(講談社文庫)

「庭」っていうのは、はるか古代のバビロンの空中庭園あたりから歴史を刻んでいるらしく、日本でも7世紀あたりから仏教の須弥山を模した石を配置した庭がつくられていたのだが、本作の舞台となる江戸時代になると、将軍や大名を始めとする武家が、城や屋敷を...
時代小説・歴史小説

女の三人旅は、いつの時代も大騒ぎなのだ ー 朝井まかて「ぬけまいる」

舞台となるのは、弘化二年(1845年)の江戸。「弘化」のいうのは、ちょうど天保から嘉永の間、出来事的には、天保の改革、蛮社の獄、天保の飢饉と、いった天災人災の多かった「天保」と、黒船来航・日米和親条約といった国際的な出来事のある「嘉永」に挟...
朝井まかて

大坂の「青物」は日本一。青物問屋が舞台のドタバタ恋愛ドラマが面白い ー 朝井まかて「すかたん」

上方の青物市場の大店を舞台にしたドタバタ恋愛ものが、朝井まかてによる本書『すかたん(講談社文庫)』。 メインキャストは、美濃岩村藩の大阪城代の上屋敷御側用人を務めて夫を亡くした「知里」という実家が江戸の饅頭屋というヒロイン。相手となるのは、...