因縁の古物が引き起こす「怪異」の数々=逢坂八代「瑠璃宮夢幻古物店」1・2【ネタバレあり】

静かな住宅街の片隅で、謎を秘めた美人店主・瑠璃宮真央が経営する古物店を舞台に、店に並ぶ因縁をもった「古物」を手に入れた客が遭遇する怪しい出来事の数々を綴った古物にまつわるホラーファンタジーのシリーズが『逢坂八代「瑠璃宮夢幻古物店」(アクションコミック)』です。

あらすじと注目ポイント

第1巻 街中の古物店には人を惑わす古物が並べられている

アマゾンのレビューでは

美人店主・瑠璃宮真央が営む、静かな住宅街の片隅にひっそりと佇む古物店。近代物から古作まで幅広く取り扱うその店にやってくるのは、地味で冴えない女、愛妻を亡くした男、友達が出来ない少女…。呼応するかのように品物を手にしては店を後にする。しかし、その古物たちの取り扱いには十分な注意が必要だった…。奇妙な力を秘めた古物を手にした客達が向かうのは、天国か地獄か。謎の美女と古物が誘うホラーサスペンスストーリー。

amazon

となっていて、第1巻で扱われる古物は「手鏡」「老眼鏡」「くまのぬいぐるみ」「香炉」「万年筆」「ティーセット」といった品々。

そのいずれもが不思議な能力を秘めていて、「手鏡」は心が平穏でないときに覗き込むと、覗き込んだ人の心を写しだし、それを具現化するという代物で、鏡をかった地味な風貌の姉と、派手で美しい妹の人生を大きく狂わしていきますし、「老眼鏡」は過去の思い出が見えるという眼鏡で、妻を亡くした夫の心を過去の思いでのの中に取り込んでいきます。

注目しておくべきは「香炉」と「万年筆」で一代で財をなした祖父が残した人の心を操る香炉と書いたことは決して忘れない「万年筆」で、この古物にかかわった少女「要」が真央の店のアルバイトとなり、この物語とも深く関わっていくことになります。

第2巻 手鏡の呪は、姉妹を超えて、「要」にもふりかかる

第2巻のレビューは

美人店主・瑠璃宮真央が営む、静かな住宅街の片隅にある古物店には、人を幸にも不幸にもする不可思議な道具が取り揃えられている。多感な中学生達が手にしたのは、人との繋がりを断ち切る事が出来る鋏。彼らはその鋏で悪巧みをはかる。何処となく息苦しさを感じていた女子高生は引き寄せられるように万引きを…。そして真央達の周りに現れる謎の少女と不可解な出来事とは―。謎の美女と古物が誘うダークサスペンス、第二幕。

amazon

となっています。

今回扱われるのは、第1巻でもでてきた「手鏡」をはじめとして「古い和鋏」「ブリキの如雨露」「鳥籠」、心を殺す「ティーカップ」、漆黒のジェットがはめこまれた「モーニングジュエリー」「鍵」といった品々。

前半では、「要」のおかげで第1巻で姉への嫉妬が具現化し、醜い風貌となった妹・佐々木貴子が元の姿に戻るのですが、それを知った姉・青木紀子が要へと魔手を伸ばしてきます。

そして、青木紀子の行動は、要だけでなく真央や周囲の人々も巻き込む大騒動へとつながっていきます。

また中盤の「古い和鋏」のエピソードは、人の縁の糸を切る鋏を手に入れた中学生たちががその鋏を使って始めたのが「縁切りビジネス」だったのですが、深い配慮もなく縁の糸を切っていたことが何をもたらしてしまったか、については原書のほうで。

レビュアーの一言

人の思いや念がしみついた「道具」は古来より、ホラーファンタジーの重要なアイテムなのですが、大量生産の工業製品のよる大量消費時代が訪れてからは、以前に比べてその怖さが薄れてきているような感じがあるのですが、人間らしさが欠如している「瑠璃宮真央」というキャラをば買いさせることによって、その「怪異」を現代に蘇らせたのが本シリーズといっていいでしょう。

今回は瑠璃宮古物店の新入店員の「要」と手鏡に翻弄される佐々木姉妹が中心となるのですが、巻が進むにつて店主・真央の秘密も明らかにされていくので楽しみにしておきてくださいね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました