2017-10

ビジネス

「現場の力」を発揮する方法論とは — 遠藤功「未来のスケッチ」(あさ出版)

企業や組織の成功譚に起因するビジネス書というのは、一種の危険性を有していて、その企業なりが時間の経過で業績を凋落させたり、不祥事で非難を被ったりすると、そのビジネス書で推奨した手法なりも、もろともに葬られてしまう。 その点、本書でとりあげる...
読書

ビジネス読書には「教養書」が必須 — 山口 周「外資系コンサルが教える読書を仕事につなげる技術」(中経出版)

<br /> 帯に「MBAに行かずに独学だけで・・・」「1000冊読んで・・・」といった言葉が踊るので「多読の読書術」と思うむきもあるかもしれないが、むしろ「精読の読書術」といった趣があるので注意しておいたほうがいい。 構成は 第1章 「仕...
ビジネス

「論理的思考」は究極の仕事術ではないかも — 山口 周「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか」(光文社新書)

「美術」といえば、当方の学生時代は、よほど成績が良くて、しかも絵心のあるというかなり特殊な、語弊を恐れず言うと、コミックの中でしかないようなものだったのだが、どうやら、エリートというか組織の決定権を持つ人にとっては、重要な価値判断は「美意識...
ビジネス

「礼」に始まり「礼」に終わる「掃除」で評判を勝ち得た会社の真髄は? — 遠藤功「新幹線お掃除の天使たち」(アサ出版)

最近、偽装やら違法な検査体制などが続発して、日本企業の美点といわれていたものが、かなり揺らいでいる。しかも今まで評判の高い企業でおおがかりな不正がでてくるものだから、企業の成功物語や好事例をとりあげると、あとから「あらら〜」となることがある...
伊東潤

「野望」に憑かれた男たちの物語 — 伊東 潤「王になろうとした男」(文春文庫)

「英雄」というものは遠目から見ている分には、燭光のように輝いて、あたり照らしているように見えるのだが、近くにいればいるほど、その熱量の強さに耐えきれなくなるものであるような気がしていて、その強さは英雄度の高さに比例していると思っている。そし...
ビジネス

「23年」という時間のもつ重み — 国谷裕子「キャスターという仕事」(岩波新書)

本書の冒頭を読んで「23年か・・」という言葉が思わず出た。長寿テレビ番組は数々あるが、ほぼ毎日、デイリーでトピックな話題を、より客観的な視点から取り上げ、世論の潮流をつくってきた、「名物キャスター」国谷裕子氏への賛辞でもありつつ、良きも悪き...
斎藤孝

「会話力」は ”人間生活+出世” の基礎であるようだ — 斎藤 孝「すごい「会話力」」(講談社現代新書)

斎藤孝先生は、「◯◯力」という言葉を生み出す名人でもあって、今までも「雑談力」とか「語彙力」とか、思わず「えっ」と引き寄せられる言葉をつくり出してきている。 そういう著者の今回の「◯◯力」は「会話(力)」。 ただ今回は「会話」というちょっと...
アート

アート(美術)は「美」の側面だけで語るものではない — 山本豊津「アートは資本主義の行方を予言する」(PHP新書)

「アート(美術)」というものは、古くは王侯貴族のものであったように、資本主義経済の隆盛と切っては切れないものとは思っていたのだが、国の覇権獲得活動にも重要であるなど、「アート(美術)」に対する新たな視点を開いてくれる。 構成は 第1章 資本...
ミステリー

小味のきいた短編集をどうぞ — 近藤史恵「土蛍」(光文社時代小説文庫)

<br /> 堅物同心・玉島千蔭を中心とする「猿若町捕物帳」も第5弾となった。 先んじる4冊(もっとも梅ケ枝の登場する第1作をその中にいれてはいけないかもしれないが)では、千蔭に周辺の、その巻をリードする形の女性が登場したのだが、この5作目...
近藤史恵

またさらに堅物同心に誘惑がやってきた — 近藤久惠「寒椿ゆれる」(光文社文庫)

<br /><br /> 堅物同心・玉島千蔭と売れっ子の女形役者・水木巴之丞、売れっ子花魁・梅ケ枝の三者が繰り広げる捕物帳の第4弾。 収録は 「猪鍋」 「清姫」 「寒椿」 の三編。 このシリーズは、一冊ごとに千蔭に関係する「女性...