2017-01

大崎梢

本屋のホームズとワトソン、書店営業と出会う — 大崎 梢「ようこそ授賞式の夕べに」(東京創元社)

成風堂書店シリーズの第3弾。今回は、書店大賞(本屋大賞のもじり、だよね)の受賞をめぐり、怪文書が届き、それをマスコミが嗅ぎつけ、本屋大賞の実施が というストーリー立て。 本屋大賞当日の7時40分に始まり、20時30分に事件の解決をみる、とい...
大崎梢

書店業界・出版業界の裏話もまた興味深い — 大崎 梢「背表紙は歌う」(創元推理文庫)

中小出版社の明林書房の営業の「ひつじ」くんこと井辻智紀くんの書店シリーズの第2弾。 収録は 「ビターな挑戦者」 「新刊ナイト」 「背表紙は歌う」 「君と僕の待機会」 「プロモーション・クイズ」 の5編。 さて、ネタバレすれすれのレビューをば...
ビジネス

かなり辛口のアングロサクソン流「文化財論」 — デービッド・アトキンソン「国宝消滅ーイギリス人アナリストが警告する「文化」と「経済」の危機」

「新観光立国論」で一般の人や地方の観光関係者にも超有名となったアトキンソン氏による「文化財」論。 構成は はじめにーなぜ今、「文化財の大転換」が必要なのか 第1章 経済から見た「文化財」が変わらなくてはいけない必要性 第2章 文化財で「若者...
ビジネス

100年長寿社会の陽の側面 — リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット「LIFE SHIFT – 100年時代の人生戦略」(東洋経済新報社)

「高齢者」の定義を”75歳以上”にしようといった、年金支給開始年齢の引き上げ云々を疑われるような話題もでてはいるのだが、日本の”国民年金”といった制度とは無縁のアメリカで出たビジネス書であるゆえ、ここは先進国での長寿化に対応した、人生設計の...
高橋葉介

奇妙な味のグリム童話 — 高橋葉介「ストーリィ−テラー」(ぶんか社)

毎度おなじみの奇妙な味の作者、高橋葉介の手による「グリム童話」である。 設定は、「月刊テラァ・ストーリィ」の編集者、九鬼奇句子(くききくこ)が一般の人から聞く不思議な体験、目撃談が紹介されるというもので、収録は 赤ずきん ヘンゼルとグレーテ...
ビジネス

アメリカ方式の意見調整・利害調整の手法とは — ラリー・ドレスラー「プロフェッショナル・ファシリテーター」(ダイヤモンド社)

社内の打ち合わせに始まって地域振興の話し合いなどなど、会議の生産性の低さが一頃言われていたことがあったのだが、その効率を高め、利害を調整して結論を導く、プロとして注目を浴びていたのが「ファシリテーター」。 アメリカではファシリテーションを職...
愛川晶

寄席は「落語」ばかりではないよ — 愛川 晶「高座の上の密室」(文春文庫)

東京の神楽坂の老舗寄席「神楽坂倶楽部」シリーズの第2弾。 寄席といえば、落語、噺家が中心となるのだが、寄席の演目はそればかりではない。手妻、大神楽と呼ばれる撥・傘の曲芸、漫談など「色物」と呼ばれる他の芸も豊富なのだが、タイたいていのところ、...
愛川晶

現代娘「寄席」の経営者デビュー — 愛川 晶「神楽坂謎ばなし」(文藝春秋)

「神田紅梅亭」シリーズに続く「寄席」ものが、この「神楽坂倶楽部」シリーズ。発端は、神楽坂倶楽部の席亭の娘に生まれつつも、幼いころに、席亭の父と母が離婚したため、生き別れになっていた教育系出版社に勤務する「武上希美子」が、父の実家「神楽坂倶楽...
ビジネス

Windows95開発関係者による、かなり「猛烈な」働き方の提案 — 中島 聡「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか」(文響社)

Microsoft本社でWindows95の開発に携わった日本人SEによる「仕事術」の本。 Windowsもすでに10になり、AppleのMacのほうが今風では、といった風潮がある中、デジタルネイティブには及びもつかないであろうが、Wind...
愛川晶

いよいよ馬春師匠の復帰独演会なのだが・・・ — 愛川 晶「三題噺 示現流幽霊」(創元推理文庫)

紅梅亭シリーズも4作目となり、そろそろ馬春師匠の復帰や福の助の真打ち昇格はどうなるんだ、と今後の展開に催促をしそうなあたりである。 収録は 多賀谷 三題噺 示現流幽霊 鍋屋敷の怪 特別編(過去) の4編。 冒頭の「多賀谷」は、馬春師匠の復帰...