防衛隊長官が怪獣に吸収された後のショックからカフカたちが立ち上がる=松本直也「怪獣8号」7〜9【ネタバレあり】

各地に怪獣が出現し、容赦なく建物を破壊し、人々が犠牲になる「怪獣多発国・日本」で、駆除された怪獣専門の清掃業に従事していたアラサー「日比野カフカ」が、謎の生物によって自らが怪獣化し「怪獣8号」となったのですが、そのことを隠して防衛隊の一員となり、怪獣駆除に乗りだす、異世界「怪獣」シリーズ『松本直也「怪獣8号」(JUNPコミックス)』の第7弾から第9弾。

前回は怪獣に変化したことが防衛隊にバレ、あやうく処刑されて兵器化されそうになったカフカ(怪獣8号)は、防衛隊の四ノ宮長官の判断で命を助けられ防衛隊の生きた怪物兵器となったのですが、その矢先、高度化した怪獣9号によって操られた昆虫型の壊獣群が出現します。それを撃退している隙をついて防衛隊本部を襲った怪獣9号が四ノ宮長官と戦い、彼を斃して吸収してしまいます。

今回は長官を吸収して、防衛隊の情報を手に入れた怪獣9号が、本格的な侵攻を始めてきます。

あらすじと注目ポイント

第7巻 防衛隊・四ノ宮長官斃れた後、カフカたちは自己強化に乗り出す

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防衛隊長官・四ノ宮功が持つ、怪獣2号の力を奪いに来た怪獣9号。死闘の末9号を追い詰めた功だが、最後は力尽き2号の力を奪われてしまう。そして、長官を倒し融合した怪獣9号は、その現場に到着したカフカ・キコル・鳴海を相手に戦うのだが…!? ――非情が漂う、第七巻!!

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となっていて、前巻で四ノ宮長官を斃し、怪獣2号の能力と四ノ宮長官の記憶を手に入れた怪獣9号に、本部へかけつけた鳴海隊長と長官の娘・四ノ宮キコル、そして怪獣8号(カフカ)が立ち向かいます。怪獣9号は相当レベルアップしているのですが、その攻撃をなんとか耐え抜いて追い詰め、怪獣9号の体が半壊するほど追い詰めるのですが・・という筋立てです。

ネタバレしておくと、怪獣9号はキコルやレノを盾にとって逃走していくのですが、その時に「次に私が動くとき、怪獣の時代が始まる」と不気味な言葉を残していきます。

中盤からは、四ノ宮長官を失った悲しみを乗り越えようと、キコルとカフカはそれぞれ自らを鍛えていくのですが、カフカの怪獣化が進行し始めているのが少し気がかりです。

そして、飛行怪獣に襲撃された立川基地のほうでは、現在の「剣」だけでは限界を感じた保科副隊長がある決断をします。

それは立川基地を襲った飛行怪獣群を指揮し、現在は頭部と核だけが残されている怪獣10号を兵器化することだったのですが、それを装着するのは・・といった展開です。

さらに後半では、カフカを先輩として扱ってきた唯一の男である「市川レノ」が、今まで適合者がいなかった「怪獣6号」の識別番号兵器の装着に挑みます。

第8巻 カフカの後輩・レノは識別兵器6号の力を身につける

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識別怪獣兵器を使いこなすため、訓練を続ける市川レノ。ついに怪獣討伐で、その成果を見せるテストが始まった。一方、レノの成長を目の当たりにした伊春は、自身の成績の伸び悩みに複雑な想いを抱く。そんな二人は怪獣討伐に挑むが、レノに異変が!? ――希望を見出す、第八巻!!

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となっていて、前半では長野の松本基地で識別怪獣兵器6の装着に挑戦している市川レノは1ヶ月で使いこなし始め、怪獣掃討の実践に参加しています。相手は定期的に土の中から湧いてくる「土竜」タイプの怪獣です。

識別怪獣兵器6の能力を十分引き出すことに成功したレノは硬い甲羅に覆われた土竜の核を撃ち抜くためさらにパワーをあげていくのですが、怪獣兵器によって脳が極度に活性化したレノは己の責任感に押しつぶされそうになって・・という筋立てです。

少しネタばれしておくと、自らを自らで追い詰めていくレノを引き戻してくれたのは、学校時代は優秀な成績だったのですが、防衛隊に入隊してから才能溢れるキコルなど他のメンバーに差をつけられるばかり、劣等感を抱え込んでいた古橋伊春で・・・という展開です。レノの心を救出することで、彼の戦闘能力もアップしていくというスポ根的展開なのですが詳細は原書のほうで・

中盤からは識別怪獣兵器と適合して能力をアップしていく同僚たちに対し、これ以上自分の脳力をどうアップしていったらいいのか悩むカフカの姿は描かれます。武器を使うことが苦手な彼にとって参考となるのは、立川基地の副隊長・保科の「体術」で、ということで、後半部分にむけてカフカの鍛錬の様子を見てやってくださいね。

第9巻 防衛隊の識別怪獣兵器の装備が進み戦力大幅アップするが、怪獣9号の侵攻作戦が始まる

第9巻のAmazonレビューは

史上初、6号の適合者となり訓練する市川レノ。そしてカフカは、保科から隊式格闘術を教わり、努力を続けていた。さらに防衛隊は、9号災害を予測し、各部隊の準備を進める。一方、鳴海はキコルに母の形見・識別怪獣兵器4号を使えるよう指示を出す。――次世代が動き出す、第九巻!!

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となっていて、今巻から怪獣6号の力を手に入れたレノ、怪獣10号の兵器化を進める保科など防衛隊の新しい戦力開発が進んでいっています。この中で、キコルは亡き母の身につけていた怪獣4号の識別怪獣兵器を身につける訓練を始めていますね。

そうした中、怪獣9号が次の侵攻作戦に向けて新たな準備活動を始めています。

それは群馬県の山間部、東京都の湘南新宿ラインの上尾市付近の線路上、東京都渋谷区のハチ公前のスクランブル交差点、神奈川県茅ヶ崎市の海岸などあちこちで群発的に出現し、人々を驚かせては姿を消す怪獣たちで、そのすべてが防衛隊到着前に姿を消していて、詳しい情報を防衛隊につかませないよう工夫をしています。

そして、怪獣9号による侵攻作戦は、日本各地で同時多発的に怪獣が一斉出現するという形をとって現れます。

このため、防衛隊の主要なメンバーがそれぞれ個別に怪獣と戦うしかなくなっていて、実はここに怪獣9号の罠が隠されているのですが詳しいことは次回のレビューで。

ひとまず、この巻は、キコル、保科など主要メンバーが怪獣たちを圧倒していくところまでが描かれているので、彼らの見事なバトルシーンを堪能しておいてくださいな。

レビュアーの一言

今回は「復活の章」とでもいうべきでしょうか。四ノ宮長官亡き後、怪獣9号の侵攻作戦に対抗するため、カフカ、キコル、保科がそれぞれパワーアップをしていくのですが、一番のダークホースは識別怪獣兵器6と適合することのできた市川レノでしょうね。

今まで、意気込みは十分で、カフカの強力な支援者ではあったのですが、いまいち戦闘の面では冴えのなかった彼が一躍防衛隊の主力の一人に駆け上がっています。

ただ今後、四ノ宮長官を斃し、長官の記憶を吸収した怪獣9号がどんな策略を打ってくるか注意しておかないといけないでしょうね。次巻以降では、ひとまずその標的は、長官がその性格や弱点をよく知る娘の四ノ宮キコルに向かっているようですが・・

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