辺境駐在員

テクノロジー

科学進化の「倍々ゲーム」の行き先は? — 稲見昌彦「スーパーヒューマン誕生 人間はSFを超える」(NHK出版新書)

<br /> AI、IOT、ロボットといった最近流行のテクノロジーは、いずれも人間のアナログな感覚との間に膜で遮られているような気がしていて、こうしたテクノロジーの進化は必ずしも人間・人類と並走してくれるかどうか不安なところがあるのだが、本...
阿川佐和子

「叱る」「叱られる」どちらも難しくなった時代の対処法 — 阿川佐和子 「叱られる力」(文春新書)

「聞く力」で大ヒットを飛ばした、エッセイスト阿川佐和子さんの「力」シリーズ第2弾が「叱られる力」である。当方が育った世代は、親や教師のみならず、近くのおじさんおばさんまでもが何か悪さをすると「叱る」世代である。なので、「叱られる」ことに何の...
仕事術

すべての「新人の卵」に捧げる、ビジネスの「基本中の基本」– 河野英太郎「99%の人がしていない、たった1%の仕事のコツ」(Discover)

「井戸を掘った人の功績」を忘れてはならないのはビジネス本も同じで、そうした「古典」を再読すると、以前読んだ時とは違うところに感心したり、その時は気づかなかったことに出会ったり、ということがあるもの。 この「99%の人がしていない、たった1%...
ビジネス

「生涯、一つの職場で勤務すること」が崩壊した「今」の職業人生とは — 山口 周「天職は寝て待て 新しい転職・就活・キャリア論」(光文社新書)

転職、天職が探しが、仕事人生の一コマとして当たり前のように語られるのは、リーマンショック以降、一生を通じて一つの会社に勤めることが、個人的な原因ではなく社会的原因で困難な時期と符合している気がする。ただ、言われるようになって久しいにもかかわ...
テクノロジー

人間の天才がAIに向き合う — 羽生善治「人口知能の核心」(NHK出版新書)

AIが我々の仕事の多くを奪ってしまう、とか、イーロン・マスクがAIの開発・研究は人類にとって危険だと研究の中止を呼びかけているであるとか、AIへの評価はすべてがバラ色の温かい目を向けているとはいえないのだが、IOTなどAIは私たちの生活に深...
経営

イノベーションはベンチャーの専売特許ではない? — 中野剛志「真説・企業論ービジネススクールが教えない経営学」(講談社現代新書)

一頃のベンチャー企業の育成施策が大流行りの状況が今も続いているとはいえないが、大企業が逼塞したり、ものづくりの勢いが鈍ったり、さらには「働き方改革」といった状況から、何か困るとベンチャーがどうこう、という状況は変わっていない。 本書は、そん...
へうげもの

「数寄」と「政治」のすれ違いは昔から根深いもの — 山田芳裕「へうげもの 十服」(講談社文庫)

さて十巻は、加藤・福島らの石田三成を除こうとする反乱に始まる1599年閏3月3日に始まり、関ヶ原(1600年10月21日)の直近の1600年9月8日まで。 反乱騒ぎで、石田三成は五奉行を辞し、前田利家の亡くなり、いよいよ世の実権は「徳川へ」...
へうげもの

巨星が堕ちるときには大振動があちこちでおきるもの — 山田芳裕「へうげもの 九服」(講談社文庫)

第9巻で、とりあげられる時代は、慶長の役が始まる1956年から石田三成を除こうとする加藤・福島の反乱(?)が起きた1599年3月2日まで 冒頭、禁教令が発布され、高山右近を見せしめとして処刑しようとする石田三成に対し古田織部は九州であった三...
へうげもの

熟すれば「数寄」と「統治」は袂を分かち始めるのだね — 山田芳裕「へうげもの 八服」(講談社文庫)

第8服の「へうげもの」文庫版は。1595年2月伏見邸の完成から1596年伏見城の山里丸が建築される頃まで ざっくりと、この巻で筋をレビューすると 前巻で、伊達政宗と大騒ぎをした、蒲生氏郷は病死している。 織部は唐津務めを良いことに朝鮮に渡り...
へうげもの

時代の文化的象徴の壁が崩れる時は、かくも劇的か — 山田芳裕「へうげもの 七服」(講談社文庫)

武人にして茶人である数寄大名・古田織部を描いたコミックの文庫版の第7巻。 年代は1991年2月24日から1595年9月。 秀吉が刺客に襲われ千鳥の香炉が鳴いて危難を逃れたエピソードから、利休の処刑を経て、伊達政宗と蒲生氏郷が和解するまで。 ...