2015-12

ミステリー

久々の異譚・奇譚 ー 太田忠司「奇談蒐集家」(創元推理文庫)

そのミステリーの腕力は、登場人物とシチュエーションの巧妙さにかかっているといってよい。このミステリーもそのあたりは巧妙に仕掛けてきていて、都会の場末の「starwberry hill」が舞台。ここで新聞記事で募集した「世にも稀な奇談」が買わ...
ミステリー

明治末期の風情やいかに ー 三木笙子「人魚は空に還る」(創元推理文庫)

<br /><br /> 時代ミステリーというやつは、その時代についての知識や興味がないと入り込むのに手こずるもので、このミステリーの時代も日露戦争の後、明治40年代を舞台にしていて、恥ずかしながら、当方にとってかなり霧のかかっ...
関 裕二

日本古代に「但馬」という新しい舞台が登場 ー 関 裕二「海峡を往還する神々」(PHP文庫)

国情が不安定になったり、国勢が下がっている気配が見えると、ナショナリズムが高揚するというのは、他の国々でもよくあることと思うのだが、ここ日本においては、その国の成り立ちのルーツというか、その頃の王権に関わる言説があれこれ飛び交うことが多いよ...
ミステリー

人形作家の頼りない父と、しっかりした娘のほのぼのミステリー ー 藤野恵実「ハルさん」(創元推理文庫)

仕事が立て込んで気持ちがささくれている時や、あれこれうまくいかない時に、読書によって気を紛らすというのは、精神の安定を図る上で有効な手段であるのだが、そんな時にチョイスする本は、どちらかというと軽めのものがよくて、そのあたり、ミステリは種種...
トラベル

“外ごもり”も変化する ー 下川裕治「生きづらい日本人」を捨てる(講談社新書)

沖縄・アジア、とりわけタイの滞在記・旅行記で、我々の旅への思いをかきたてる下川裕治氏が、海外に流れていき、そこに移住する人々を取り上げたルポの第2弾。第1弾の「日本を降りる若者たち」は2007年の発刊で、比べる若者をはじめとした日本人の意識...
仕事術

Seria フリーノート368をモレスキン風に使ってみた感想

人気のノートゆえ、長い間お目にかからなかったのだが、年末の手帖シーズンということで偶然ゲットしたseriaのフリーノート368。 定番は「ほぼ日手帳」風に、毎日1ページといった感じで使うのが多いのだろうが、当方は飽きっぽいので、おそらくは1...
ワークスタイル

ひさびさにダイスキンを発見した

今週は「軟禁状態」のような仕事環境が続いて、昨日の東京行き以外、食事も自席でとり、会議質っぽいところへ缶詰、といったことでプラっと外出することもできず、ブログ更新も滞りがちといった状態であったのだが、ひさびさの休日ということで底を付いてある...
ビジネス

移住定住もアーリー・マジョリティへ移行か ー 『いなか暮らしの本』編集部「おひとりさまの田舎ぐらし」(宝島社新書)

ありきたりの、地域おこし・地域振興系の、”田舎が一番”の「移住・定住」オススメ本かと思う向きもあろうが、あえてレビュー。 構成は 第1章 自分らしさを求めて  大工仕事もお手のもの。セルフビルドで始める田舎暮らし  スープがメインのカフェで...
ビジネス

都会少女の成れの果てにエールを ー 酒井順子「オリーブの罠」(講談社新書)

いわゆる「雑誌」は古今東西、数多く出版されているのだが、時代をつくった「雑誌」といった当方が思い浮かぶのは、「平凡パンチ」「PLAY BOY」「少年ジャンプ」「アスキー」といったところで、男性ゆえのバイアスがかかってしまっているのだが、女性...
グルメ

缶詰は意外に侮りがたいものの象徴であるか ー 『日本全国「ローカル缶詰」驚きの逸品36』(講談社+α文庫)

美食もの、食い物本は数々あるが、本書のように「缶詰」のみを取り上げたものは見当たらないといっていい。 取り上げられている缶詰は むきそば、またぎ汁、極上いちご汁、本格鯖、がめ煮、タコライス、ふくちり、つぶ水煮、金目鯛、炙りビントロオリーブ油...