もとは「Yahoo!知恵袋」への投稿がもとでマンガ化され、今年の6月に榮倉奈々、安田顕の主演で公開された原作漫画が、この『K.Ka.iunsky作・ichida画「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています」(PHP)』。Kindle版では1〜3巻と「よりぬき★月がキレイですね編」が刊行されている。
【収録は】
◯第一巻
家に変えると妻が必ず死んだふりをしています。
マイケル・ジャクソンが部屋にお見舞いに来ました
禁じられた遊び
お小遣い交渉
岐阜の贈り物
家に宇宙人(M78星雲出身)がいます
お面と妖怪・電柱女
妻が自宅でソープランドを始めました
家庭内憲法第一条
家庭内憲法第二条
ファースト★クリスマス
泣いたカラスはいつ笑う?
煙が目にしみる
あとがきにかえての近況です
◯第二巻
未来人妻
フリマ妻
ドライバー妻
ビールかけ妻
模様替え妻
インフル旦那
ランニング夫妻
花火妻
ラーメン妻
出迎え妻
クリスマス妻
妻の友人
ギフへの挨拶 前編
ギフへの挨拶 後編
お部屋探し妻
笑顔妻
◯第三巻
水着と妻
バブルと妻
オレオレ詐欺と妻
快適な生活と妻
パーティーと妻
節約と妻
バレンタインデーと妻
宝くじと妻
雪の日と妻
父と妻
トカゲと蟲と妻
誕生日と妻
猫と妻
輪廻転生と妻
あとがき
◯よりぬき★月がキレイですね編
祝映画化
妻の知らない私の過去
女優ちえ
家に変えると妻が必ず死んだふりをしています
マイケル。ジャクソンが部屋のお見舞いに来ました
輪廻転生と妻
家に宇宙人(M78星雲出身)がいます
パーティーと妻
岐阜の贈り物
泣いたカラスはいつ笑う
煙が目にしみる
未来人妻
妻の友人
ギフへのあいさつ 前編
ギフへのあいさつ 後編
笑顔妻
妻からのお誘い
私の知らない過去の妻
【あらすじ】
あらすじというほどの筋立った展開はない、というのが本音のところ。
物語の最初は新婚早々、旦那さんが家に帰ると、妻が玄関に倒れている。驚いて揺り動かすと、どうも旦那さんを驚かそうとしての仕業らしい。そして、次の日から、その死に真似はエスカレートして、頭に矢が貫通していたり、銃を抱えたまま戦士していたり、ワニに食われていたり
といったところから始まるのだが、ただ、延々と「仮装大賞」的な話が続くと思ったら大間違いである。
第二話以降は、仮想ネタはあるにせよ、まあ、一言で言うと、人見知りで世間知らずの奥さんとの「ノロケ話」の連続に、結婚前や奥さんの友人、父親などのエピソードが挟み込まれる、という展開である。
ただ、そういう「仮装的」なところがないから、看板倒れか、というとそうではなくて、むしろ、この物語の主人公の「奥さん」の奇妙ぶりというか、不思議ちゃんぶりに振り回される「旦那さん」に姿がまた笑いをさそうというか、泣き笑いの姿がなんともいえないのである。
例えば、第2巻の「ラーメン妻」で呑んで〆にラーメンを食べて帰った「旦那さん」を「ラーメンは毒だ」と説教し、マクドナルドと比較する「旦那さん」に
と言っていたにも関わらず
という「妻」はなんとも可愛らしいし。
第3巻の「バレンタインデーと妻」では、バレンタインデーのチョコを受け取るためのRPGのような設定をして
姫(「妻」)を救出すると、やっとチョコが受け取れる
といった仕掛けを用意するなぞ、自分の日常であると「うーむ」となるかもしれないが、よその夫婦の出来事と思えば、かなり微笑ましく見守れるのである。
【まとめ】
おおげさな愛憎物語もなく、ただただ「シュール」な夫婦関係の日々の物語が継続されるだけなんであるが、この「シュール」さがなんとも中毒性をもっている。
切羽詰まっていない、暇な休日に、ふと手にとって読み始めるとやめられなくなるので、そのあたりはご注意を。
コメント