流行に遅れたお父さんのための「鬼滅の刃」その2ー煉獄の無念の戦死を超え、炭治郎は前に進む

2019年からコミック人気を超えて社会現象化した「鬼滅の刃」なのですが、ブームに乗り遅れてしまって、子供たちとの会話に困っているお父さん方もいらっしゃると思います。
アニメの第二期の放映を前に、シリーズの概要をネタバレ的にお教えするのが今回のレビュー企画。

「その1 立志編」に続いては、興行収益400億円超の空前のヒットとなった「無限列車」編と第二期アニメの中心となる「遊郭編」。そして、「柱」の一員”煉獄杏寿郎”の死などを乗りこえて、新たなレベルアップの道を見出す「刀鍛冶の里編」「柱稽古編」です。

「無限列車編」のあらすじと注目ポイント

第7巻「狭所の攻防」

第7巻の構成は

 第53話 君は
 第54話 こんばんは煉獄さん
 第55話 無限夢列車
 第56話 目覚めろ
 第57話 刃を持て
 第58話 おはよう
 第59話 侮辱
 第60話 二百人を守る
 第61話 狭所の攻防
 番外編

となっていて、怪我の治療と「全集中の呼吸」の修行を終えた炭治郎たちは、列車の中で次々と人々が行方不明になる事件の捜査に派遣されます。

この時に、リーダーとして捜査に当たるのが炎柱・煉獄杏寿郎です。

この列車に乗り込んだ煉獄や炭治郎たちは、車掌に切符を改札してもらった途端、それぞれが違う夢をみながら眠り込んでしまいます。いずれも、当人の憧れが具現化したものなのですが、この夢を見させているのが、鬼舞辻の十二鬼月の下弦の壱・眠り鬼「厭夢」です。

このまま眠り込んしまえば、精神の核を破壊されて永遠に眠り込むところだったのですが、禰豆子と父の影響力で目ざめることができます。そして、目を覚ました、煉獄や善逸、伊之介たちと、列車内に隠された「厭夢」の頸を探し求めていくのですが・・・という筋立てです。

この話とは別にこの巻の最後では、胡蝶しのぶの継子「栗花落カナヲ」がしのぶたちと出会った頃のエピソードが紹介されてます。

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第8巻「上弦の力・柱の力」

第8巻の構成は

 第62話 悪夢に終わる
 第63話 猗窩座
 第64話 上弦の力・柱の力
 第65話 誰の勝ちか
 第66話 黎明に散る
 第67話 さがしもの
 第68話 使い手
 第69話 前へ進もう 少しずつでも構わないから
 第70話 人攫い

となっていて、列車の床下に隠されていた「厭夢」の頸を斬って、彼を斃し、囚われていた乗客たちを解放した炭次郎たちなのですが、ここの十二鬼月の上弦の参・猗窩座が現れます。

彼は柱の中でも武闘に優れる煉獄を「鬼」化して、自分たちの仲間に引き入れようとやってきようで、ここで、二人のが迫力ある対決シーンが描かれます。

しかし、猗窩座の圧倒的な武力の前には煉獄も劣勢にたたされてしまいます。彼は煉獄を瀕死の状態に陥れた、その心に隙をついて「鬼」化しようと企むのですが、死別した母の

という遺言に従い、煉獄の取った方法は、自らの命を犠牲にしての「相討ち」だったのですが・・・という展開です。
シリーズで重要な立ち位置のサブ・キャストでありながら、無念の死を迎え、それでも、炭次郎に「ヒノカミ神楽」の秘密のヒントを炭次郎に告げるシーンで、全国の「お子さま」や「大人」が涙したわけですね。

Bitly

「遊郭編」のあらすじと注目ポイント

第9巻「遊郭潜入大作戦」

第9巻の構成は

 第71話 遊郭潜入大作戦
 第72話 お嫁さんを探せ
 第73話 追跡
 第74話 堕姫
 第75話 それぞれの思い
 第76話 それぞれの場所で
 第77話 轟く
 第78話 ぐねぐね
 第79話 風穴

となっていて、今巻からの「遊郭編」の主人公は元「忍」の音柱・宇髄天元。吉原遊郭に彼の奥さん三人が潜入して鬼の情報収集をしていたのですが、突然、連絡が途絶えます。

このため、彼が潜入捜査に出向くのですが、この補助に炭治郎たちが駆り出されることになります。少年誌やTVアニメで「遊郭・・・?!」と話題になったところですね。

そして潜入のため、炭治郎たちは女装して、それぞれの置屋に引き取られていきます。そして、その一つ、京極屋に引き取られた善逸は、厳しい躾けで皆から怖れられている花魁・蕨姫に目をつけられるのですが・・という展開です。

実はこの花魁こそが遊郭での行方不明事件の首謀者、上弦の陸・堕姫です。彼女は人間を帯の姿に変えて閉じ込めて食ってきた、というわけです。

Bitly

第10巻「人間と鬼」

第10巻の構成は

 第80話 価値
 第81話 重なる記憶
 第82話 人間と鬼
 第83話 変貌
 第84話 大切なもの
 第85話 大泣き
 第86話 伎夫太郎
 第87話 集結
 第88話 倒し方
 番外編 伊之助御伽草紙

となっていて、炭次郎たちと堕姫との死闘が続きますが、柔らかく弾力のある帯による攻撃や防御に相当苦戦します。

炭治郎はこの激しい攻撃に負けそうになるのですが、ここで彼を救ったのが禰豆子。彼女の「鬼」としての回復再生能力が出現するとともに、「鬼」としての能力も併せて出現します。彼女は鬼舞辻の「血」を受けているので、十二鬼月の上弦の陸を圧倒する能力と強さですね。
この「鬼」としての強さのため、あやうくコントロールが利かなくなるところでしたふが、炭次郎の「子守歌」で沈静化し、事なきを得ます。

一方、上弦の陸・堕姫のほうは、宇髄天元によって首を斬り飛ばされるのですが、ここで、彼女のもう一つの実体である、堕姫の兄・妓夫太郎が出現します。「妓夫太郎」というのは「牛太郎」とも呼ばれた郭で客の呼び込みや未払いの揚げ代の強制徴収や、郭内のもろもろの雑仕事を引き受けていた男衆のことですが、堕姫の兄は、その役職が「名前」とされた、遊郭内の下積みです。
この二人が共同して仕掛けてくる攻撃は強力なうえに毒をもっていて、さらに上弦の陸を斃すためには妓夫太郎と堕姫両方の首を同時に斬り落とさないといけないようです。さあ、この強敵相手に炭次郎たちはどう立ち向かうか・・・といった展開です。

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第11巻「混戦」

第11巻の構成は

 第89話 混戦
 第90話 感謝する
 第91話 作戦変更
 第92話 ムシケラボンクラのろまの腑抜け
 第93話 絶対あきらめない
 第94話 何とかして
 第95話 最期
 第96話 何度生まれ変わっても<前編>
 第97話 何度生まれ変わっても<後編>

となっていて、この巻では上弦の陸「妓夫太郎と堕姫」と「宇髄天元+3人の妻」+「炭治郎+善逸+伊之助」の死闘が続きます。

ここは、倒されても倒されても立ち上がる炭治郎たちを応援しながら、迫力の戦闘シーンを堪能してください。勝負の決め手は、鬼殺隊チームの集団攻撃ですね。

そして、手ひどい傷を負いつつ「上弦の陸」を斃した宇髄天元と炭治郎たちを、鬼が注入した「毒」が全身に回り始めます。煉獄に続いて、柱の一人の「天元」も死んでしまうのか・・というところで、再び禰豆子の登場。彼女が今回の死闘で身に付けた「血鬼術」が意外な力を発揮してくれます。

最後の「何度生まれ変わっても」では、「妓夫太郎と堕姫」の生い立ちと鬼となった経緯が語られます。羅生門河岸の端下女郎の子どもとして生まれた二人は幼いころから苦労して育ち、妹は女郎として売られ、しかも客の侍を傷つけたため生きながら焼かれるという残虐な仕打ちを受けます。世の中を恨んだ二人に手を差し伸べたのは、上弦の弐・童磨でありました・・といったところなのですが、「鬼」ながら二人の兄妹愛は泣かせる場面です。

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「刀鍛冶の里編」のあらすじと注目ポイント

第12巻「上弦集結」

第12巻の構成は

 第98話 上弦集結
 第99話 誰かの夢
 第100話 いざ行け里へ
 第101話 内緒話
 第102話 時透くんコンニチハ
 第103話 縁壱零式
 第104話 小鉄さん
 第105話 なんか出た
 第106話 敵襲

となっていて、上弦の鬼であった「妓夫太郎と堕姫」が鬼殺隊に斃され十二鬼月の一角が崩されたことに腹を立てた鬼舞辻が、十二鬼月に集合をかけ、早急に産屋敷一族の捜索と始末するようネジを巻きます。

いよいよ「鬼」の本隊の登場です。

一方、先回の戦いで再び刀を折ってしまった炭治郎は、新しい刀を鍛造してもらおうと刀鍛冶の里を訪ねます。彼が刀を折ってしまったのは2回目なので、今回は「里」まで足を運ばないと刀を再生してもらえないということですね。

そして、この里で炭治郎の刀を鍛ってくれていた鋼鐵塚を探しているうちに出会うのが、鬼殺隊の霞柱・時透無一郎です。ここで、彼が戦国時代から伝わる絡繰り仕掛けの剣士で修行しているところに出会うのですが、物忘れの激しい剣士なので、動機とか詳しいことはほぼわからないままですね。

そして、今巻の最後では、鬼舞辻の指令をうけてやってきた上弦の伍・玉壺と上弦の肆・半天狗との戦いが始まります。

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第13巻「遷移変転」

第13巻の構成は

 第107話 邪魔
 第108話 時透くんありがとう
 第109話 死なない
 第110話 あばら屋でこそこそ
 第111話 芸術家気取り
 第112話 遷移変転
 第113話 赫刀
 第114話 認められたかった
 第115話 柱に

となっていて、まずは上弦の肆・半天狗の戦闘の開始です。この鬼は基本的には喜怒哀楽の4体で襲ってくる「鬼」なのですが、急所であるはずの頸を斬るとそこから分裂して、何体にも分かれていきます。

これに炭治郎+禰豆子と不死川玄弥が立ち向かうのですが、頸を切っても死なず、倒すべき本体がどこにあるかわからないため苦戦を強いられます。

読みどころは、このバトルシーンの連続と、

炭治郎と同期の「柱」志望の上昇意欲の強い「不死川玄弥」の家族の思い出と兄との確執ですね。少しネタバレしておくと、彼は幼い頃、母親が鬼化して彼と兄を除く家族を食い殺してしまい、兄が母親を泣く泣く殺したという過去を持ってます。

一方、霞柱・時透無一郎のほうは上弦の伍・玉壺と、恋柱・甘露寺蜜璃は、玉壺の作り出した金魚と戦うことになるのですが、戦いの本番は次巻以降となります。

Bitly

第14巻「無一郎の無」

第14巻の構成は

 第116話 極悪人
 第117話 刀鍛冶
 第118話 無一郎の無
 第119話 よみがえる
 第120話 悪口合戦
 第121話 異常事態
 第122話 それは一時的な興奮状態
 第123話 甘露寺蜜璃の走馬灯
 第124話 いい加減にしろ バカタレ

となっていて、半天狗の本体である小さな鬼を見つけ、玄弥と炭治郎がこれを斬ろうとするのですが、「喜怒哀楽」の4体の鬼が合体し、一つの鬼となってこれを阻止し、木の龍とともに炭治郎たちを襲ってきます。

この炭治郎のピンチを救ったのが、恋柱・甘露寺蜜璃です。今回は、彼女の縁談の失敗や、大食漢で力持ちであることから阻害されてきた少女時代が描かれます。そして、戦いを続けるうちに、鬼殺隊の「柱」の新たな可能性を示す「痣」が出現してきます。
その「大食い」と桃色の髪の風貌で「良縁」に恵まれず、「柱」になっても劣等感が拭えなかった彼女が、炭治郎たちと闘うことによって、その本当のパワーを見つけ出していくところは、ちょっとしたスポ根ドラマのようです。

ちなみに、この半天狗の操る木の龍との戦いで、不死川玄弥が鬼を食ってその能力を一時的に自分の能力として使うことのできる、「鬼食い」の特異体質であることが明らかになります。

一方、無一郎のほうは玉壺の出した「水の壺」の中に閉じ込められてしまいます。霞柱の技を繰り出しても破れない、水壺の拘束力に気力をなくしていく無一郎だったのですが、自分の体をはって無一郎を助けようとする刀鍛冶の見習いの少年の姿を見て、レベルアップします。このときに、彼の幼少期の双子の兄・有一郎との記憶を蘇らせますので、詳細は原書で確認してください。

玉壺は毒の体液をもった粘魚の攻撃を繰り出すのですが、記憶を取り戻してパワーアップした無一郎の敵ではないですね。

Bitly

「柱稽古編」のあらすじと注目ポイント

第15巻「彼は誰時・朝ぼらけ」

第15巻の構成は

 第125話 迫る夜明け
 第126話 彼は誰時・朝ぼらけ
 第127話 勝利の鳴動
 第128話 御教示願う
 第129話 痣の者になるためには
 第130話 居場所
 第131話 来訪者
 第132話 全力訓練
 第133話 ようこそ

となっていて、逃げ回る半天狗の本体を追い詰めようと炭治郎たちの攻撃が続くのですが、小さな鬼の姿をとっていた本体が一転、巨大化して反撃してくるなど、半天狗も必死に逃走を続けます。炭治郎は、太陽の光を受けて火傷し始める禰豆子の協力で、半天狗を捕え破壊することに成功します。

この戦いに勝利したものの炭治郎は太陽のもとに禰豆子をさらし、彼女を犠牲にしてしまったことを悔やみます。ところが彼の前に現れたのは、陽の光を克服した禰豆子で・・という展開で、彼女がここでレベルアップに成功します。

この「太陽の克服」は、鬼の親玉・鬼舞辻無惨でも成し遂げていない能力で、今度は禰豆子が、無惨に付け狙われる原因となってきます。無惨が禰豆子が太陽を克服したことを知るシーンでは、彼が平安時代の生まれで、二十歳まで活きられないといわれていたのを、当時の名医の投薬で日の光の下には出れないものの強靭な体となったことが明らかになります。「鬼化」はこの薬の副作用なのでしょうか、そこのところは明確になっていないですね。

巻の後半では、半天狗や玉壺との戦いの中で、甘露寺や無一郎が発現させた「痣」は、戦国時代に鬼舞辻無惨を追い詰めた「始まりの呼吸の剣士」たちが発現していた「痣」と同じもののようで、これを発言するための修行が鬼殺隊内で始まります。

すでに「痣」を発現しているのですが、さらに技を鍛えるための炭治郎が「柱」たちにしごかれる「柱稽古」の様子が詳しく描かれていますので、「柱」たちの性向の確認を含めて、原書のほうでご確認を。

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第16巻「不滅」

第16巻の構成は

 第134話 反復動作
 第135話 悲鳴岬行冥
 第136話 動く
 第137話 不滅
 第138話 急転
 第139話 落ちる
 第140話 決戦の火蓋を切る
 第141話 仇
 第142話 蟲柱・胡蝶しのぶ

となっていて、柱たちによる修行が続く中、とうとう鬼舞辻無惨が、鬼殺隊の本部のある「産屋敷」の住居をつきとめ、自ら直接訪れます。

彼は禰豆子の隠し場所をつきとめようと訪れたようですが、ここで”産屋敷”の自爆攻撃をうけ負傷します。産屋敷は自らを囮にして、鬼舞辻をおびき寄せた、というわけですね。

そして、鬼舞辻が負傷した傷を回復させる途中で、珠代が「鬼を人間に戻す薬」を我が身を犠牲にして鬼舞辻に注入します。弱体化した鬼舞辻を倒すため、「柱」を中心とする鬼殺隊のメンバーが集合したところで、鬼舞辻は自らの拠点である無幻城に空間をつなぎ、ここを舞台に無惨と鬼殺隊の最終決戦が始まることとなります。

巻の後半では、胡蝶しのぶと十二鬼月の上弦の弐・童夢との戦いが始まります。彼は表の世界では「万世極楽教」という新興宗教の教祖をしていて信者を集めてはそれを食らっていた「鬼」で、しのぶの姉の胡蝶カナエを斃した仇でもあります。
毒を吸収して無害化するこの「鬼」に対して、蟲柱・胡蝶しのぶの毒攻撃と斬撃はどこまで効くのか、といった戦いが展開されます。

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レビュアーから一言

「鬼滅の刃」の魅力の一つは、主人公の天性の才能があっという間に開花するわけではなくで、「鬼」との死闘の中で、徐々に開花していくというところにあるのでしょう。
「その1」の第6巻ではようやく「全集中の呼吸」を会得した炭治郎が、先祖伝来の「ヒノカミ神楽」の舞を思い出して、「日の呼吸」の奥義にだんだんと近づいていく様子は、いわゆる「成り上がっていく物語」特有の高揚感を与えてくれますね。

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