2019年からコミック人気を超えて社会現象化した「鬼滅の刃」。ここまで流行ったのは、少年ジャンプの人気コミック定番の、友情、勇気、根性といった成分だけではなく、新型コロナの感染拡大という社会全体の閉塞感ということもあったかと思うのですが、この第s流行の陰に、お母さんと子どもたちは揃って映画を観にいったのに、その輪にも加われず、アニメ版はテレビはおろかVODすらスルーしたまま、という「お父さん」も多いと思います。
2021年10月からは、テレビアニメの続編「遊郭偏」がスタートするという情報があるので、そういう「お父さん」方のために、シリーズのあらましを復習しておきましょう。
まずは、主人公。竈門炭次郎が鬼を滅ぼす「鬼殺隊」に入ることとなった理由と妹の禰豆子が「鬼化」した経緯がわかる第1巻から第6巻、いわゆる「立志編」です。
ここはアニメの第1期として放映されたところですね。
「立志編」のあらすじと注目ポイント
第1巻「残酷」
第1巻の構成は
第1話 残酷
第2話 見知らぬ誰か
第3話 必ず戻る夜明けまでには
第4話 炭次郎日記・前編
第5話 炭次郎日記・後編
第6話 山ほどの手が
第7話 亡霊
となっていて、時代は大正時代、竈門炭次郎という少年が主人公です。
彼は、母親と弟妹たちと炭焼きをして暮らしていたのですが、年末に町へ炭を売りに出かけている間に、「鬼」に家族を殺されてしまいます。
ただ、家族に中でたった一人生き残ったのは妹の「竈門禰豆子」のみ。しかし、彼女は鬼に襲われたために「鬼」化。彼女を人間に戻すために、炭次郎の旅が始まります・・・というのが滑り出しです。
炭次郎の家族が鬼に殺された後、「禰豆子」を退治しようとした「富岡義勇」といいう鬼殺隊の隊士のすすめで、鱗滝という老人のもとで修行を始めるところが描かれます。
炭次郎は鬼の詳細を調べて「禰豆子」を人間に戻す方法を捜すため、鬼殺隊という「鬼」退治をしている舞台に入隊を目指すのですが、修行をする山中で出会う「錆兎」と「真菰」との指導で腕を上げていくのですが、巨岩を断ち切ったエピソードはこの時のものですね。2019年には、炭次郎が斬った「巨岩」に似た石があって、局地的に観光スポットになったところがたくさん出てきていました。
そして、鬼殺隊入隊の最終試験が行われる「藤襲山」で出会った大型の異形の鬼から二人の正体とその最期を教えられ、炭次郎がパワーアップする姿が印象的です。
第2巻「お前が」
第2巻の構成は
第8話 兄ちゃん
第9話 おかえり
第10話 人攫い沼
第11話 暗示
第12話 言えない
第13話 お前が
第14話 鬼舞辻の癇癪・幻惑の血の香り
第15話 医師の見解
第16話 手毬遊び
となっていて、鬼殺隊に入隊するための試験で、山に巣食っていた鬼を退治して入隊資格を得た炭次郎が「鬼殺」の任務を請け負い始めるところが描かれます。
まず最初は16歳の娘たちを攫って食っている、土の沼の中に逃げ込む異能の「鬼」との対決です。ここで、彼の必殺技「全集中・水の呼吸」が初お目見えです。
この鬼の後、鬼殺隊の使いの烏に命じられていった「浅草」で鬼の双元締め「鬼舞辻無惨」と偶然出会います。この偶然が、後に、鬼殺隊の柱たちから「禰豆子」を守ることにつながります。
そして、ここで鬼でありながら鬼舞辻への復讐を果たそうとする「珠代」「愈四郎」に出会うのですが、彼らと炭次郎の命を狙って、十二鬼月の一員の手毬鬼・朱紗丸と矢印鬼・矢琶羽が襲ってきて・・という展開です。
第3巻「己を鼓舞せよ」
第3巻の構成は
第17話 矢印鬼
第18話 呪縛
第19話 ずっと一緒にいる
第20話 我妻善逸
第21話 鼓屋敷
第22話 突然の猪
第23話 猪は牙を剥き、善逸は眠る
第24話 元十二鬼月
第25話 己を鼓舞せよ
となっていて、前半部分は前巻に続く手毬鬼・朱紗丸と矢印鬼・矢琶羽との戦いの決着編です。
朱紗丸の攻撃を受けながら禰豆子が徐々にパワーをつけていきます。最後のところ、手毬甥は鬼舞辻の呪いによって自壊してしまいます。
中盤のところで、炭次郎はこのシリーズで彼と一緒に闘っていく「我妻善逸」と出会います。彼は臆病者の女子好きの男なのですが、意識を失った時に相手を瞬殺する「雷の呼吸」を放つ意外な実力者です。
さらに彼と鬼滅隊の仕事で入り込んだ鼓の鬼の巣食う「鼓屋敷」で上半身裸で、イノシシの面の被り物をした嘴平伊之助と出会います。彼は「獣の呼吸」の使い手ですね。
この「鼓屋敷」は、鼓を趣味としていた売れない小説家が変じた「鬼」が創り上げた空間で、かれが鼓を打つたびに部屋が回転し、空間が妙なつながり方をする仕掛けとなっているのですが、炭次郎が「水の呼吸」でこの仕掛けをどう破壊するか、が焦点です。
第4巻「強靭な刃」
第4巻の構成は
第26巻 素手喧嘩
第27巻 嘴平伊之助
第28巻 緊急の呼び出し
第29話 那田蜘蛛山
第30話 操り人形
第31話 自分ではない誰かを前へ
第32話 刺激臭
第33話 苦しみ、のたうちながら前へ
第34話 強靭な刃
となっていて、鼓屋敷で禰豆子の入った箱を巡って、闘い合った炭次郎、善逸、伊之助は折れたアバラを治療するため、藤の花の家紋の屋敷で静養をします。
ここでの共同生活で、禰豆子の正体も善逸や伊之助にも知られることとなります。
そして、傷が癒えた三人は「那田蜘蛛山」へ行き、鬼退治をするよう命令を受けます。
三人が那田蜘蛛山へ向かうと既に多くの「鬼滅隊」の隊士が入っているのですが、そこでは鬼に操られ隊員同士が斬り合っている状況です。
炭次郎たちは、ここで鬼舞辻無惨に使える幹部「十二鬼月」の一人・下弦の伍「累」と彼が絆を結んでいる「母」や「父」の鬼たちと対決することになります。
第5巻「地獄へ」
第5巻の構成は
第35話 散り散り
第36話 これはやべぇ
第37話 折れた刀身
第38話 本物と偽物
第39話 走馬灯の中
第40話 ヒノカミ
第41話 胡蝶しのぶ
第42話 後ろ
第43話 地獄へ
となっていて、蜘蛛山に巣食う十二鬼月の「累」との戦いの本番です。
力任せに押し込んでくる「累」の父親の攻撃に圧倒される伊之介ですが、「鬼殺隊」の柱の一人、水柱の「富岡義勇」によってピンチを救われることになります。
一方、炭次郎は十二鬼月の「累」と直接対決しているのですが、彼の強靭な蜘蛛の糸を操る技の前に歯が立ちません。彼に向かって放たれた糸に対して「楯」となったのは妹の禰豆子で、といった筋立てです。ここから、炭次郎と禰豆子の兄妹の固い絆を見た「累」が禰豆子の横取りをしようとし、戦いが続きます。
ただ、結局のところ、「累」を倒したのは、「富岡義勇」なので、亡くなった父親の伝えたかった秘儀「ヒノカミ神楽」の技をこのときに少し習得したといっても炭次郎の技はまだまだ未熟なものに違いありません。
そして、この巻の後半で、鬼殺隊の「柱」の一人で、唯一、鬼の頸が斬れない毒使いの剣士、蟲柱の「胡蝶しのぶ」が登場します。
第6巻「鬼殺隊柱合裁判」
第6巻の構成は
第44話 隊律違反
第45話 鬼殺隊柱合裁判
第46話 お館さま
第47話 プイ
第48話 蝶屋敷
第49話 機能回復訓練・前編
第50話 機能回復訓練・後編
第51話 日輪刀還る
第52話 冷酷無情
となっていて、那田蜘蛛山で、水柱・富岡義勇、蟲柱・胡蝶しのぶの助けられ、九死に一生をえた「炭次郎」なのですが、鬼殺隊の隊士でありながら、鬼と変化した妹を連れて隊務にあたっていたことがばれ、鬼殺隊の本部で「柱」たちによる裁判を受けることになります。
妹とはいえ、人を食う可能性のある鬼を見逃していることから、柱たちは富岡を除いて、炭次郎の処分と禰豆子の斬首を求める声が多数なのですが、ここで、富岡義勇と鱗滝左近次からの嘆願書と、柱たちに殺されそうになりながらも人を襲おうとしない「禰豆子」の姿を見た鬼殺隊当主・産屋敷輝哉の大英断によって、炭次郎と禰豆子が命を救われます。炭次郎が、鬼舞辻無残と偶然にしろ出会っているということも好影響しているようですね。
この後、巻の後半では胡蝶しのぶの本拠の「蝶屋敷」で、那田蜘蛛山で受けた蜘蛛の毒を抜く治療と、体力をもとに戻すための「機能回復訓練」を受けることになるにですが、元に戻すどころかパワーアップするための厳しい修行が待ち構えていることになります。
国会答弁とかで有名になった「全集中の呼吸」が出てくるのもここが最初ですね。
レビュアーから一言
第一巻ででてくる鬼殺隊入隊の最首試験が行われる「藤襲山」の周囲には藤の花が一年中咲いていることで、藤の花を嫌う鬼たちが山から外界へ出ない仕掛けになっているのですが、
ネット情報や日本神話などの文献情報でも、鬼が「藤の花を嫌う」というには「鬼滅の刃」の独自設定のようですね。
日本最古の歴史書である「日本書記」では、死んだ妻を訪ねて冥界へ行った「イザナギ」が、醜く変化し、鬼に囲まれた「イザナミ」から逃れようとしたときに追ってきた鬼たちを追い払うのは「桃」ですね。逆に青柳碧人さんの「むかしむかしあるところに、死体がありました」では、藤の花は「鬼」を呼び寄せる力を持っているように設定されてますね。
この「藤の花」のエピソードには諸説あることを、お父さん方は覚えておくといいかと思います。
コメント