チェーザレは、ローヴェレ枢機卿が送った刺客とフランス団を撃退する=「チェーザレ」4・5

どんな手段や非道徳的な行為であっても、結果として国家の利益を増進させるのであれな許されるという「マキャベリズム(権謀術数主義)」を唱えた、イタリア・ルネサンス期の政治思想家であるニッコロ・マキャベリから、「理想の君主」と讃えられながら、志半ばで戦乱に斃れたチェーザレ・ボルジアの半生を描いたシリーズ『惣領冬実「チェーザレ」(モーニングKC)』の第4巻から第5巻まで。

前巻まででは、サピエンツァ大学のピサ校に入学したフィレンツェ出身のアンジェロが、フィレンツェの実質的な支配者であるメディチ家の次男・ジョヴァンニの派閥になじめないでいるところを、スペインに地盤を置くボルジア家のチェーザレに興味を持たれ、彼の派閥に引き寄せられているところが描かれたのですが、今回はチェーザレとフランス貴族のアンリとの対決姿勢が鮮明になり、そのまま騎馬による模擬戦へと突入していきます。

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あらすじと注目ポイント

第4巻 チェーザレは、ピサの祭りで刺客に襲われる

第4巻の構成は

Virtù25 ルクレツィア
Virtù26 兄妹
Virtù27 約束
Virtù28 継承する者
Virtù29 火種
Virtù30 優雅なる調べ
Virtù31 知と理
Virtù32 冒険
Virtù33 祭り
Virtù34 影

となっていて、前半部分では、ローマにあるボルジア邸から始まります。ここには当主のロドリーゴ枢機卿のほか、チェーザレの妹のルクレツィア、弟のホアンのほか彼らの家庭教師のアドリアーナ、彼女の義理の娘・ジュリアと暮らしています。

ルクレツィアは後世に、チェーザーレとの近親相姦の噂がたったぐらいのブラコンですし、ロドリーゴはアドリアーナだけでなく、ジュリアにも手を出している、という相関関係で、さらにここにそれぞれの実家の思惑もからむという昼メロ・ドラマも顔負けのドロドロの人間関係が展開されているので、ゴシップ好きは結構楽しめるかも。

中盤部分では、前巻でドメニコ会に潜入しているニッコロ・マキャベリから、ロレンツィオ・メディチの健康状態が良くないことを知ったチェーザレによる。メディチ家とピサ大司教との和睦工作が本格的に動き始めます。
チェーザレの発案でメディチ家がピサにつくりはじめた工場の建設工事が完成間近なことを理由に、チェーザレの住んでいるピサの大司教邸へジョヴァンニたちフィレンツェ出身の学生を招待し、そこでの晩餐会でピサの大司教であるラファエール枢機卿と会食させてしまおう、という魂胆です。

しかし、その矢先、完成間近の工場の一棟が放火されるという事態がおきます。現場にかけつけたアンジェロは、ドメニコ会の修道士のような格好の男たちをみかけるのですが、犯人の黒幕は本当にドメニコ会なのか・・という展開ですね。

後半では、犯人探索のための工場視察を理由に、アンジェロを道案内にピサの下町で開かれる祭りへとでかけます。これには、チェーザレの命を狙ってピサに潜入したらしい、ローヴェレ枢機卿の放った刺客をおびきよせる意味もあるようですが・・という展開です。

第5巻 十字軍を模した模擬戦でスペインとフランスが大激突

第5巻の構成は

Virtù35 兆候
Virtù36 罠
Virtù37 成すべきこと
Virtù38 冒険の記念
Virtù39 重装か軽装か
Virtù40 以南軍
Virtù41 模擬戦Ⅰ
Virtù42 模擬戦Ⅱ
Virtù43 模擬戦Ⅲ
Virtù44 青空

となっていて、前半では、庶民に変装してピサの町の祭り見物にきたチェーザレが仕立て屋のお針子たちをナンパしています。イケメンで知られるチェーザレは女の子たちの人気の的で、アンジェロはチェーザレが町にきたのはこれが目的だったのか、と疑うのですが権謀術数に長けたチェーザレの狙いは、こういう浮ついた行動を見せて、刺客をおびき出すのが狙いです。
人通りのない十字路にわざと移動し、姿を現した刺客を逆に捕まえて雇い主を白状させようとするのですが、チェーザレが襲撃されているのを見た護衛役のミゲルは放っておけず・・という展開です。

後半部分は、ピサ校で毎年恒例で行われる実戦と同じような武装をして双方の陣に掲げられた「旗」をとりあう「模擬戦」での乱闘が描かれます。この模擬戦はピサを境に、フランス、ロンバルデイア、フランドル、ピサで組織される「以北軍」と、フィレンツェ、ナポリ、シチリア、スペインで組織する「以南軍」で争われるのですが、かつて日本でもさかんだった村対抗の運動会同様、故郷を代表する集団同士の対決は激烈になるようですね。

さらに今回は、第3巻のバトルでチェーザレに鼻の骨を折られたフランスのアンリも復帰してきているため、私的な「怨恨」も絡んできています。

このそれぞれのお国柄を象徴した武装と戦い方が現れるバトルをお楽しみください。最後のとことではチェーザレとアンリのタイマンが再び見られます。

レビュアーの一言

今回の模擬戦では、フル装備の甲冑で固めた重装備のフランス側に対し、チェーザレたちは機動力を重視した軽装で対抗しています。
もととも重装騎兵は、遊牧民で組織されたフン族やマジャール人んたちの騎兵へ、重装備で身を固め、馬鎧をつけて突進する重装騎兵によって対抗したことで多く用いられるようになり、
特にフランスでは百年戦争では重用されたようですが、起動力の低下を疲れ、イギリス軍の使う長弓(ロングボウ)によって。1415年のアジャンクールの戦いでは破れています。
今回は弓は使われていないとはいえ、フランス団のアンリは過去の失敗のふりかえりが足りなかったようですね。

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