「警察の雪女」は、顔の皮を剥ぐ猟奇犯の秘密を暴く=「剥皮の獣 異常心理犯罪捜査官・氷膳莉花」

幼い頃に何者かに目の前で両親を殺害されたショックで、「感情」の起伏を失ってしまった女性刑事、通称「警察の雪女」こと「氷膳莉花」が、両親を殺した犯人を突き止めるため、犯罪研究のために、多くの猟奇犯罪事件を企画し、事件の共謀共同正犯として起訴され、死刑を求刑されたまま早稲田にある「東京警察医療センター」に収監されている「阿良谷静」のプロファイリングに基づいて、都内で起きる猟奇殺人の犯人を突きとめていく、ホラー・ミステリー・シリーズ「異常心理犯罪捜査官・氷膳莉花」の第二弾が本書『久住四季「剥皮の獣 異常心理犯罪捜査官・氷膳莉花」(メディア・ワークス文庫)』です。

第一弾では、女性を殺して内臓を持ち去る連続殺人鬼を、その模倣犯を含め検挙したのですが、そのせいで親を失った自分を幼い頃から目をかけてくれていた警察官を失ってしまった「氷膳莉花」なのですが、今回は第一弾の単独捜査や内部規律違反の責任を取らされる形で左遷された奥多摩署で、都内で強盗殺人を犯した犯人が何者かよって殺される猟奇事件に遭遇します。

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あらすじと注目ポイント

構成は

プロローグ
第一話 「黒い廃屋」
インタールード
第二話 「慟哭の少女」
第三話 「怪物のささやき」
第四話 「骨は拾わない」
第五話 「剥皮の夜」
エピローグ
あとがき

となっていて、今巻では第一弾の「怪物のささやき」での行動が祟って、奥多摩署に左遷されて捜査課に勤務する「氷膳莉花」が、地元の老人から、不審車両が山林に分け入る細道に一昨日から停まっているので調べてほしい、との依頼を受けるところから始まります。官女は懲罰人事で、この署の交番配属となっていたのですが、自分の親を殺した犯人を探し出すため、天才犯罪心理学者で死刑囚の「阿良谷静」に接触するポジションに復活するため、着々と本庁復帰を企んでいるところです。

もちろん、彼女の行動が奥多摩署の同僚や上司の気に入るはずもなく、彼女は様々な意地悪をされているのですが、この不審車両が池袋で発生した強盗殺人事件の容疑者の乗り捨てた車であることがわかってから情勢が変わってきます。
地元住民から彼女に、かつてこの奥多摩町に住んでいた不良「蓮室」と「成田」という二人の男性が急に里帰りしてきた、という情報が入ったことから、その二人の宿泊しているホテルへ出向き、任意同行を求めたところ、突然、蓮室はナイフを抜いて逆襲、成田は包囲網を強行突破して逃走します。

蓮室の逆襲は、所轄の警察官が負傷したものの、「莉花」のシラットで抑え込み逮捕するのですが、成田は山奥へと逃げ込みます。そして成田が潜む「廃屋」をつきとめ、警察がそこへ踏み込んだときには、その廃屋を「秘密基地」にしていた少女と成田が顔の皮を剥がされた状態で殺されているのが発見され・・という筋立てで、池袋強盗殺人とあわせて、捜査本部が立ち上がり、本庁から捜査一課の刑事たちも派遣されてきます。
この中に、第一弾で「莉花」と組んで犯人逮捕した、剛腕の強面刑事・仙波も混じっていたことから、所轄署の捜査課からハブられている莉花と仙波のコンビが復活して、この猟奇殺人の犯人捜しが始まることになります。

捜査本部は、成田を恨んでいる人が地元には多いため、怨恨の撰で捜査を進めるのですが、「莉花」は違和感をぬぐいされません。

そして、犯行現場にいた少女・樋代綾香の聞き取りを、上司の指示で行うのですが、犯人のことを聞いた途端、綾香はパニックに襲われ、莉花は病室か
ら追い出されます。

ここまで何の手掛かりも掴めないため、莉花は第一弾と同様に(今度は自ら選んだ規律違反行為ですが)、阿良谷のプロファイリングをもとめます。
それによると、犯人は快楽殺人者に間違いなく、犯人を突き止めるヒントとして樋代綾香の生い立ちこら彼女の周辺で何が起きていたか調べるようアドバイスします。

そこで綾香の母親から話を聞くと、綾香の周辺では、彼女の父親、母親の勤めているデイサービスセンターに執拗にクレームを言い立てていた老人、そして綾香をいじめていた同級生が行方不明になっていることが分かるのですが・・という展開です。

ここで、あぁ、綾香ちゃんを守ろうとしている誰かがいるのかも、というハッピエンドを連想してしまいそうになるのですが、そんな善意の決着に落ち着かず、快楽殺人へと発展していくのが、このシリーズの業の深いところです。

レビュアーの一言

今巻での「皮剥ぎ」は、邪魔者と思われる人間を始末した後、骨以外の肉を土地の肥料とするために行われた設定になっているのですが、古来から罪人の皮膚を浜ので剥ぎ取る処刑法は、オリエント、中国、地中海世界で行われていた刑罰で、罪人に長い苦痛を与えるとともに、見せしめの効果を狙ったもののようです。
これに対し、エクアドルやペルーで行われていた、戦闘で倒した、敵対する部族の戦士の頭の皮をはぎとって加工して作る「干し首」は相手の霊魂を束縛して、制作した者の部族へ奉仕させるという意味合いがあったそうです。

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