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現代の「貧困」のなんともやりきれない側面 — 鈴木大介「最貧困女子」(幻冬社新書)

不景気であるとか、動乱といった物事は、最終的には、世間で一番弱い者たちに及んで結末を迎えるのが常なのであるが、その「弱い者」たちとは往々にして、子供や女性であることが多いと思う。 本書は、雇用の確保が声高に言われていた時のものなので、今のよ...
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新自由主義・新帝国主義のもとでの日本的資本主義論 — 佐藤 優「資本主義の極意」(NHK出版新書)

階級論争や、資本主義・社会主義論は、当方が大学時代には、少し以前の話になっていたのだが、新自由主義やグローバリズムへの反省から、再びあちこちで論じられるようになている気がするのだが、さて「資本主義とは何」って聞かれると、浅学非才の当方には・...
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「政策批判」ではあるが、移住政策の担当者は”心すべし”として読んでおくべきかな — 藤波 匠「人口減が地方を強くする」(日経プレミアムシリーズ)

日本創生会議の「増田レポート」が世に出て以降、地方公共団体の施策の一つの大トレンドが、「移住定住対策」「出生率向上対策」「婚活対策」といった「人口増施策」になっている。本書は、そうした猫も杓子も「人口増対策」に群がる状態に、横っちょから水を...
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ベンチャー企業こそ「働き方改革」は必要であるし、効果的であるかもしれない — 駒崎弘樹「働き方革命ーあなたが今日から日本を変える方法」(筑摩Books)

「働き方改革」という言葉が声高に言われれば言われるほど、その実態がよくわからなかくなっているような気がする。というのも、本来は、「Work」の形を考え直してみようという「ライフスタイルの変革」の問題としてとらえるべきものであったと思うのだが...
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「お客様のために」ではなく、「お客様の立場で」の意味とは — 鈴木敏文「売る力ー心をつかむ仕事術」(文春新書)

その時代をリードする企業の経営トップの経営書というものは、どうしてもその時代のトレンドその企業の栄枯盛衰の影響を受けるものである。本の内容とは別に、様々な評価がくだされるので、手放しで褒めておけばよいというものではないらしく、さて今回はどう...
ビジネス

「働き方改革」はWorkの根本課題に取り組めるか — 常見陽平「なぜ、残業はなくならないのか」(祥伝社新書)

過労死問題をきっかけに「働き方改革」が声高に主張されはじめているところで、管理者側、労働者側あるいは政府側から、様々に論じられている最中なのだが、感情論が混じってしまいがちで、熱っぽい議論ほど薄っぺらに感じてしまう。 そうした中にあって、ど...
池上彰

リベラル・アーツとは何なのか — 池上 彰「おとなの教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか?」(NHK出版新書)

「教養」あるいは「教養主義」というのは、特に日本においては毀誉褒貶の幅が広いもののように思えて、半藤一利氏や出口裕明氏は「世界史としての日本史」あたりでも「教養主義」の重要性を口を酸っぱくして言われるのだが、新自由主義や効率のみが基準となり...
池上彰

新聞は”読み飛ばす”だけが能ではない — 池上彰「池上彰の新聞勉強術」(文春文庫)

以前レビューした「新聞活用術」の対といっていいのが、この「新聞勉強術」。エピローグのところをみると社会人にはじめてなるか。あるいは就活中の学生さんたち向けかなとも思うのだが、「新聞」に親和性があって、なおかつ聖域感があるのは、当方のような中...
マーケティング

「成功物語」で自らを元気づけないとやってられない時もあるよね — 田村潤「キリンビール高知支店の奇跡 勝利の法則は現場で拾え」(講談社+α新書)

「ブラック企業」といった働き方改革ものをレビューした直後に、こうした企業成功ものである。節操が無いと言えばないのであるが、精進料理の後は、がっつりとした肉も食いたくなるというものなのでお許しを願いたい。 さて、今回はビールの老舗、「キリン」...
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ブラック企業問題の芯にある原因は「気綺麗事の社会」であるか — 今野晴貴「ブラック企業2 「虐待型管理」の真相」(文春新書)

前作「ブラック企業」で、日本の労働問題の重要な課題となっている、ブラック企業の実態を赤裸々にしたのであるが、本書は、その第2弾。 構成は 序章 ブラック企業問題とはなんだったのか? 第1章 わかっていても、入ってしまう 第2章 死ぬまで、辞...