2017-12

和田はつ子

江戸城御用達の甘い罠。一番悪どいのは「御上」かも — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 大江戸料理競べ」(時代劇文庫)

さて、調理人季蔵シリーズの第14弾は、江戸城への料理御用を独占している有名料亭「八百良」と並んで、江戸城へ料理を納入する店を決める料理勝負がメインテーマ。   収録は   第一話 新年福茶話 第二話 大江戸料理競べ 第三話 ごちそう大根 第...
ヤマザキマリ

プリニウスを通して描かれる「ローマ帝国」の健全さと退廃 — ヤマザキマリ「プリニウス」(新潮社)1〜6

テルマエ・ロマエで一挙に人気作家となった、ヤマザキマリ氏がとり・みき氏と組んでのローマもの。個性ある二人の合作で、しかも題材が、稀代の博物学者プリニウスである。 物語はヴェスヴィオ火山の噴火の場面から始まるのだが、これは全体のプロローグ。第...
ビジネス

創業物語の「苦い」部分も書かれているのが良いね — 遠山正道「スープで行きますー商社マンがSoup Stock Tokyoを作る」(新潮社)

三菱商事の商社マンで、食品産業とは縁のなかった筆者が、日本で初であろうスープのファストフード専門店の立ち上げから、軌道に乗せるまでの奮闘の数々を綴ったもの   構成は   第一章 成功することを決めた 第二章 Soup Stock Toky...
和田はつ子

小猿を従えた美少女くノ一の登場 — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 祝い飯」(時代小説文庫)

シリーズが定着してくると、キャストも固まってきて、話の展開も安心して読めるのは一つのメリットなのだが、マンネリ感が滲み出してくるのはどうしようもなくて、その弊害から逃れるのは、いかに魅力的で気を引く、短期的なキャストを用意するか、であると思...
和田はつ子

お茶屋の小町娘が手折られる話は悲しいね — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 涼み菓子」(時代小説文庫)

シリーズも12弾目となると、登場人物に少々の変更というか、環境変化が欲しくなるところなのだが、本作で、季蔵の弟分・豪介の身の上に変化が起きる。 収録は 第一話 涼み菓子 第二話 婿入り白玉 第三話 夏の海老 第四話 乙女鮨 となっていて、ま...
和田はつ子

陰惨な事件は「獣肉」料理で口直しをしよう — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 ひとり膳」(時代小説文庫)

季蔵捕物控シリーズの第11弾は、季蔵の師匠・長次郎の残した「三段重提げ弁当」に関わる話。 収録は 第一話 梅見鰤 第二話 饅頭卵 第三話 吹立菜 第四話 ひとり膳 2月の声が聞こえるようになると、塩梅屋でも「梅」にちなんだ「梅見弁当」をつく...
西條奈加

菓子の甘さに隠された江戸の「家族」の人情話 — 西條奈加「まるまるの毬」(講談社文庫)

親子三代で営む、小さな江戸の菓子屋「南星屋」を舞台にした時代小説。   収録は   「カスドース」 「若みどり」 「まるまるの毬(いが)」 「大鶉(おおうずら)」 「梅枝(うめがえ)」 「松の風」 「南天月(なんてんづき)」   の7編。 ...
和田はつ子

10年前の殺人が発端となる、隠された秘宝をめぐる大量殺人 — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 思い出鍋」(時代小説文庫)

第9弾で、秘宝探しにまつわっておきた事件の解決編が第10弾。9弾目の「菊花酒」の最終話「黄翡翠芋」の続きといったところ。 収録は 第1話 相愛まんじゅう 第2話 希望餅 第3話 牛蒡孝行 第4話 思い出鍋 第1話で、塩梅屋が筍の調達で世話に...
ビジネス

「一日」を分で計算してマネジメントする — ケビン・クルーズ「1440分の使い方」

「1440分」とは1日を「分」で表示したもの。確かにこれぐらいの数字で見ると、多いようで少ない、微妙な分量感を覚えるから不思議だ。 本書は、その「1440分」の時間管理術ではあるのだが、アメリカの時間管理本らしく、成功者へのインタビューから...
和田はつ子

元許嫁・瑠璃の心を騒がせる”男性”が登場するのだが・・・ — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 菊花酒」(時代小説文庫)

最初、短編で始まった物語もシリーズ化してくると、だんだんと中編・長編となることが多いのだが、この料理人・季蔵シリーズも一冊で筋立てが完了するといった態になってきた。 さて、シリーズ第9弾の収録は 第一話 下り鰹 第二話 菊花酒 第三話 御松...