「いつも疲れている」ビジネスマンのお父さんがたにエールを贈ろう — 渡部 卓「明日に疲れを持ち越さないプロフェッショナルの仕事術」(クロスメディアパブリッシング)

グローバル化やダイバーシティの議論や働き方改革の議論などワークスタイルの議論は数々あるが、そうは言っても日々の仕事に追われているのが現実。議論より、仕事で疲れない、翌日以降に負担をもちこさない術(すべ)を教えてくれよ、というのが本音のビジネスマンも多いはず。
本書は、仕事のやり方とか、モチベーションの視点からだけではなく「仕事の疲れ」ということに着目したあたりがユニーク。
 
構成は
 
序章 プロフェッショナルの定義
 ー「仕事で疲れない」にはコツがある
第1章 疲れと仕事の関係 基礎知識
 ーベストコンディションをキープする
第2章 プロフェッショナルの生活習慣
 ー疲れにくい心と体のベースをつくる
第3章 心の疲れを溜めない思考法
 ーストレス、プレッシャーに強くなる
第4章 超・効率仕事術
 ー残業ゼロでも結果が出まくる
第5章 ムダなストレスを生まない調整力
 ー仕事は人間関係が9割
第6章 働くための休息術
 ー疲れを最速で吹き飛ばす
終章 「仕事で疲れない」人の資質
 ープロフェッショナル総論
 
となっていて、「疲れを溜めない」「ストレスを生まない」といったところから見て、筆者によると、「メランコリー気質」「執着気質タイプ」「自己愛・依存タイプ」は結果に執着しすぎて、自らの心身に負荷をかけ、気づかないうちに過労や睡眠不足で「バーン・アウト(燃え尽き症候群)」になる心配があるそうなのだが、それぞれの特質をみると、日本人の多くがこれらに属するんじゃないか、と思えて、ちょっと憂鬱になる。
 
ただ、そんな多くの日本人に向けて、プレッシャーに打ち勝つには
 
成果主義によるプレッシャーには、どうすればよいのでしょうか。最も大事なのは、成果主義という幻想に惑わされないことです。成果主義といいつつ評価側も絶対的な基準を持ち合わせているわけではないのです。
成果主義が進んでいると言われている米国の企業において、常に満点を目指しているような人は、自滅したり、潰されたりするのを多く眼にしてきました。
(中略)
結果に対してシビアだと言われる外資系企業でも、70点取っていれば、給料は下がることはないというのが実感でした。
 
といった提案があるなど、我々が抱いている「欧米の」成果主義幻想を壊してくれるのが嬉しい。ひょっとすると、我々は自分たちが創り上げた「ファスト・トラッカー幻想」に自ら陥っているのかもしれない。欧米のビジネス社会はもっと幅広いのでは、と思わせる。もちろん、
 
アメリカの企業では、働いている時間の3分の1は手を動かしていません。外資系の企業にいるときは、「3分の1はThinkTimeに充てろ」とか「4分の1は勉強に使え」ということをよく言われました
 
とか
 
外資系の企業に長く勤めていて、常に求められたのは「完璧じゃなくてもいいから、速く」ということでした。
(中略)
失敗を嫌う、失敗を回避したいという文化が日本にはあるのですが、むしろ早く取り組んで、早く失敗して軌道修正した方がコストは安く済むというのが、世界のビジネスの流れです。
 
といった一風変わった、「働き方」の提案もあるのは良いね。
 
そして
 
日本のビジネスパーソンを見ていて感じるのは、集団と同じことをしていないと挫折感を感じる人が多いということです。皆それぞれに違っていいと頭では分かっていても、根本では人と同じでいたいという欲求があるのです。これは根深いものと思わざるをえません。
 
とか
 
日本人が休み方が下手だというのは、ひとつには先述したように休むことに罪悪感を覚えてしまうことがありますが、もう1つには、休んでも何をしたらいいか分からない、休み方を知らないということもあるでしょう。
 
といった日本人のビジネスマンが「はた」と我が身を振り返ってしまうこともあるところが油断のならないところではある。
 
さて、いつも」「疲れてるなー」と感じているビジネスマンが多いのが日本の会社社会。当方も含め、自衛をしていかねばなりませんな。
 

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